ドキュメンタリーの裾野を広げる。次世代のフィルマーを育てる。
ー 先ほどおっしゃっていた全盲のクライマーのほかに、現在取材中のものはありますか?

水俣病で知られる水俣を舞台にした作品を、絶賛撮影中です。水俣っていまだに悲観的な見方をされてますけど、本当に綺麗な場所なんですよ。いま撮影をはじめて2年目で、来年いっぱいは撮影しようと思っています。
ー それと並行して、現在はドキュメンタリー映像のコンテストを企画しているとか。
ドキュメンタリーってすごくニッチな世界なんです。好きな人は好きだけど、裾野がまったく広がっていかないんです。担い手もどんどん少なくなってる。だったら自分がやるかと思い立って、「ヌーベルヴァーグ」というサーフドキュメンタリーコンテストを開催することにしました。

ー 簡単に概要の説明をお願いできますか?
テーマは「自分が思うサーフな1日」です。時間は3〜5分。最優秀賞が10万円で、アイデア賞とか、観客賞も用意しています。来年の1月1日から公募をはじめて、6月いっぱいまで受け付けようと思っています。
ー 素人もプロも問わないと。
そうですね。もちろん機材なんかなんでもよくて、スマホもOKだし、縦動画でもOK。悪ふざけのやつもいていいと思っています。あと、別にサーフィンのシーンがなくたっていいんです。沖で波を待ってるだけでもいいし、海で撮影する必要もない。極論、原宿を舞台にしたサーフな1日でもいいわけです。
ー 普段、スマホで撮影することはありますか?

スマホで撮影したゴルフの動画を見ながら「普通のカメラよりスマホのほうがいい場合もありますよね」と清野さん。
全然ありますよ。普通の内臓のアプリで。最近ゴルフの動画を撮ったんですけど、これをガチのカメラで撮ろうとすると難しいんです。置けるからやれるわけで。あとぼく、テレビ番組のときも使っちゃってますもん。バレない自信があるから(笑)。実際バレたことは一度もないです。
ー となると、ハードルはかなり下がりますね。機材がない若い人も参加しやすい。
年齢制限も小学生以上にしているから、若い人たちが早い段階でクリエイティブに触れて、それが人生のベースになってくれたらいいなと思ってるんです。だからベストフィルム賞は25歳以下にしてるんです。
ー 逆に70歳以上の人が送ってくれてもいいですしね。
そこまでいったらいいですよね(笑)。「それスマホで撮ったんですか⁉︎」みたいなね。あと、裾野を広げたいって思いもそうなんですけど、何かを創るって、自分のなかにある鬱屈した思いを吐き出す手段なんです。だからどんな形であれ作品が世にでると、本当に気持ちいいんですよね。それを知ってもらいたいっていう側面もあったりします。