知って驚く。仕掛け人に聞く施設の裏側。
柴田恭亨さん／「フリークス ストア」の母体である「デイトナ・インターナショナル」にて、クリエイティブデザインオフィス ディレクターを務める。出店にまつわるあれこれを統括しながら、今回の「”The Camp” FREAK’S STORE」の大改装では、コンセプトメイキングや空間ディレクションなどを担当。
ー 全体を貫くコンセプトから教えてください。
柴田：この場所の軸として「ディスカバー」「シェア」「コネクト」という3つのキーワードがあります。見つけて、共有して、つながるということです。そのあとに、自分らしくいてほしいというメッセージが続きます。ここは、自分自身のことや夢中になっていることをシェアして、他者とつながっていくような場所にしていきたいと思っているんです。
柴田：そして、ここの”The Camp”という名付けは、アウトドア用品を取り扱っているためではなく、“拠点”という意味。1Fと2Fは分けずに、合わせてひとつのお店だと捉えています。
ー オンライン化が進むというトレンドがあるなかで、実店舗の存在意義については、どうお考えですか？
柴田：実店舗ゆえの広がり方やつながり方があるんじゃないかと。お店に来てもらい、自分の好きなものを見つけてもらって、誰かと共有したり、この場所で表現したりしてもらう。するとコミュニティが広がっていく…ということをイメージしています。夢中になるものを何でもよくて、たとえば自転車でも、映画でも、ざっくり夜とかでもね（笑）。
ー なんと言っても、2Fのコワーキングスペースが改装の目玉だと思います。コワーキングスペースをはじめ、アトリエやオフィスとしても使えたりと、都心では考えられない規模感だなと。
2階に位置する広大な「＆FREAK.」。エキシビションスペースは誰でも訪れることができる。
電源コネクタ、Wi-fiも完備されたフリーアドレス。990円/日で利用可。
柴田：もちろんそうした機能もそうなんですけど、自由な使い方ができるスタジオスペースをいくつか用意しているのが特徴だと思うんです。そこで、たとえばヨガや手話などワークショップを開いてもいいし、壮大なイベントでなくても、小さな部屋で趣味を共有するくらいでも構いません。何か、地域の方々の拠り所のような場所になるといいな思っています。ここは、何かとつながるための居場所にもなりうるんじゃないかと。
ヨガ、手話教室などを開くことができるスタジオスペース。
オフィス用のスペース。有孔ボードが壁を覆い、穴にフックを差し込める仕様に。
作品作りに没頭できる、個室タイプのアトリエ。資料などが置ける棚も充実。
ー 2Fも天井が高く開放感もあるし、全体の色もブラウンで統一されているのが印象的です。
柴田：“ネオモーターロッジ”と称して、粗野でいて上質な空間として現代版のロッジを目指しました。天井などは、ラワン材という下地に使われる構造材を使用しています。あまり木目が目立たず、色味をできるだけ絞るために、ラワン材の板を1,000枚くらい集めて、その中から色柄が合うように適材適所、細かく600枚分けました（笑）。
ラワン材が配された吹き抜けの天井。
ー サスティナブルな取り組みもされていると伺いました。
柴田：各部屋にサインボードが付いているんですが、素材の50%が廃棄される服、40%が家具を製作したときに出る粉や廃材を使っています。それを圧縮したものです。
柴田：照明も昔に比べて質が上がっていて、演色性が高いハイビジョンのように見える光なんですが、肌の写りがよくなったり、商品がより上質に見えるんです。やはり五感で感じる体験は、ネットの映像などに比べると、圧倒的なものになるんですよね。
