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リーバイス®が真面目すぎるほど 環境問題に取り組む理由。

Levi’s® Sustainability Project

リーバイス®が真面目すぎるほど 環境問題に取り組む理由。

デニムブランドとして説明不要の存在感を誇り、「501®」をはじめ、数々の名品を生み出してきた〈リーバイス®(Levi‘s®)〉は、CSRの一環として「サスティナビリティ部門」を設けている。節水加工技術に注力し、10億リットルもの水を削減。ブランドを問わず古着を回収し、リターンとしてディスカウントクーポン券を配るプロジェクトも行う。世界的なアパレル企業は、環境問題に取り組むことで、どんな未来を実現しようとしているのか。同社のサスティナビリティ部門でスポークスパーソンを務めるマイケル小堀氏に話を聞いた。

  • Photo_Kaori Nishida
  • Text_Satoru Kanai
  • Edit_Hiroshi Yamamoto
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独自技術で10億リットルもの水を削減。

ーまず、サスティナビリティ部門がどんな活動を行っているのか、おしえてください。

マイケル小堀(以下、マイケル):わたしたちの仕事は、〈リーバイス®〉が企業として環境への負荷を確実に抑え、製品をつくっている人たちを、ちゃんと保護しているかどうか確認することです。

たとえば、〈リーバイス®〉独自の節水加工技術である「ウォーターレス」の取り組みが始まったのは、だいたい7年前。その当時、デザイナーは水の使用量に関して議論を重ねていました。製品をつくるために大量の水を使ってはいけないのではないか、もっと削減するにはどうすればいいのか、というようなことです。ただ、デザインやフィット感、肌触りはこれまで通りでなければいけない。これが一番の課題でした。

ー地球環境を考えて水の使用量を減らしても、製品の質を落としては本末転倒である、と。実際にどのようなアプローチで節水を実現しているのですか。

マイケル:大きくはレシピの変更です。まさに料理と一緒で、それぞれのデニム製品には決められたレシピがあり、この見直しを行いました。石を入れて色落ち感を出すために行う“10分間のウォッシング”を3回から2回に減らし、水で洗濯槽を満杯にせず半分にする。

試行錯誤の結果、水を減らしてもクオリティを保つことができる13のテクニックがまとまりました。現在、ウォーターレス技術を使って生産している〈リーバイス®〉製品は、全体の40パーセントです。その結果、わたしたちが削減できた水の量は、実に10億リットルにもなります。

ーいかに大量の水が使用されていたのか、可視化されたわけですね。このウォーターレス技術は、オープンソース化もされていますね。

マイケル:アパレル業界内でシェアされるよう、ホームページでやり方を公開しています。1年半ほど前になりますが、競合他社を招いてウォーターレス技術をレクチャーする機会も設けました。

ー〈リーバイス®〉の働きかけによって、アパレル業界全体で節水の必要性は広がったのでしょうか?

マイケル:わたしたちが使っている工場は、他社も使います。水の使用量が減るということは、コストも下がりますよね。そうした理由からも、ウォーターレスへの理解は広まっていると思います。

ーアパレル分野のなかでも、とくにジーンズは製造時に大量の水を使うアイテムだと思います。他のアイテムと比べて、どのくらい違うものなのでしょう。

マイケル:10年ほど前、ジーンズのライフサイクルについて調査をしたことがあるんです。綿を栽培して、ジーンズをつくり、出荷して、消費者の手に渡る。消費者は使えなくなるまで洗って履く──。その結果、ジーンズ1本が消費する水の量は3,781リットルであることが分かりました。

大まかな内訳は、綿の栽培段階で使用される水が68パーセント、生産の際に9パーセント、残りの23パーセントは消費者が洗濯するために使用されます。わたしたちはこの調査結果を見て、非常に驚きました。それまでは、工場での製造段階こそが大量の水を消費するタイミングだと考えていましたからね。ですので、綿の生産者と消費者、双方に水を減らす必要性を呼びかけることが必要なのです。

ー綿花の生産者には、どのように働きかけているのでしょう。

マイケル:〈リーバイス®〉は、世界規模で実施されている「ベターコットンイニシアティブ」に参加しています。水を減らし、化学物質の使用もなるべく抑える。そうして、効率的に綿を栽培するにはどうすればいいかを生産者に伝える取り組みです。

水や化学薬品の使用量が減ればコストも削減できますし、効率がよければ収穫も増えます。結果的に生産者の収入が増えるわけです。同時に、たとえ家族であっても児童労働に相当することを強要してはいけないということも伝えることで、包括的な“サスティナビリティ”の取り組みとなっています。

ー〈リーバイス®〉製品のなかで、ベターコットンイニシアティブで生産されたコットンは、どれくらいの割合を占めていますか。

マイケル:現在、21パーセントがこの取り組みで栽培されたコットンです。2020年までにすべての製品をウォーターレスで生産し、2025年には〈リーバイス®〉が扱うコットンのすべてをベターコットンイニシアティブで栽培されたものにしよう、という目標を持っています。

また消費者に向けて、「あまり頻繁に洗濯はしない」、「洗濯をするときはお湯ではなく水を使うように」など、水やエネルギーの節約方法を記したタグをすべての製品に付けるようにしました。

ブランドを問わず不要な衣類を回収。

ー昨年からは、古着を回収してリサイクルする「クロージング リサイクリング プロジェクト」もスタートしています。このプロジェクトについても教えて下さい。

マイケル:不要な衣類をショップにお持ちいただければ、〈リーバイス®〉製品を購入する際に使えるディスカウントクーポンを差し上げています。集められた衣類は分類され、使えるものは慈善団体などを通して必要としているひとに届けます。傷んでいて、そのまま着るのは難しい場合には、細かく裁断し、防音壁や自動車のドアなどの原材料にしています。

ーライフサイクルという観点からいうと、デニムは特に長く使われるアイテムです。不要になったデニムをリサイクルに回すことで得たクーポンで、またライフサイクルの長いアイテムを買うというのが、ユニークに感じます。

マイケル:わたしは「クローズド・ループ」と呼んでいるのですが、切れ目のない円のように、ここにあるジャケットも着られなくなったら、もう一度糸にして、あたらしいデニム製品に戻す。そうすれば、水もいりませんし、化学薬品もいりません。綿だって栽培しなくていい。一着あれば、それが途切れることなく循環していく──。最終的に、そうしたことができたらいいなと思っています。

もしかしたら、〈リーバイス®〉は“サスティナビリティ”という問題を真面目に捉えすぎなのかもしれませんね(笑)。しかし、非常に意義のあることです。そのためにも、ただ単に「このコレクションはエコフレンドリーです」というだけではなく、〈リーバイス®〉がつくるすべての製品が「サスティナビリティに貢献するものである」ということを認知してもらうことが重要です。

そうすれば、消費者も「このブランドのジーンズだったら環境への負荷がないのかな」と考えて選ぶ必要がなくなりますからね。〈リーバイス®〉製品であれば、どれを買っても地球に負荷をかけない。すべての製品で信頼を勝ち取るのが目標なのです。

リーバイス® クロージング リサイクリング

実施店舗:全国26店のリーバイス® ストア、25店のアウトレットストア
対象古着・条件:リーバイス®以外の古着も可。洗濯済みなこと、乾いていること、明らかな汚れがないことなどの条件あり。
特典:1回の来店につき一枚のディスカウントクーポン券(リーバイス®ストア 15%オフ、アウトレットストア 10%オフ)
リーバイ・ストラウス ジャパン
電話:0120-099-501
levi.jp/progress/
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