FEATURE
どうなる、未来のサウナ。これからのサウナブームを予言する。 〜サウナ師匠編〜
Sauna talk 2022 Part.02

どうなる、未来のサウナ。これからのサウナブームを予言する。 〜サウナ師匠編〜

もはや一大コンテンツに昇華したサウナ。最近ではライフスタイルのひとつとして定着してきた様子も。それを裏付けるかのように、ここ一年でさまざまなスタイルのサウナ施設が急速に増えてきました。それでは、今後拡大し続けるサウナシーンは、一体どのように進化していくのでしょうか?
サウナコミュニティ「AMAMI」に続く連載第二弾は、〈TTNE〉を運営するサウナ師匠こと秋山大輔さんが登場。昨年8月にオープンしたサウナ併設のパーソナルジム「med.」を舞台に、聞けば入りたくなるサウナのことや、サウナシーンの未来について語ってもらいます。

  • Photo_Yuya Wada
  • Text_Shinri Kobayashi
  • Edit_Hideki Shibayama
  • Special Thanks_med.

PROFILE

サウナ師匠(秋山大輔)

2017年、サウナ専門ブランド〈TTNE(ティーティーエヌイー)〉をととのえ親方(松尾大)と立ち上げる。20代よりサウナに開眼し、国内外のさまざまなサウナを経験。フィンランドをはじめ、北欧を中心とする10ヵ国40サウナを体験するEUツアーや、NYのファッション系サウナなど7施設を巡るNYツアーを敢行。「ととのえの日」記念日制定、「CORONA WINTER SAUNA」監修、「サウナシュラン」ローンチ、「日本サウナ学会」設立、「SAUNA FES JAPAN」「SKYTREE SAUNA」「RoofTop 37」プロデュース、「ソロサウナtune」サウナ監修など、数々のサウナ関連のプロジェクトを仕掛ける。
Instagram:@saunashisho

TTNEのサウナサクセスストーリー。

ー 師匠は、いつからサウナにハマったんですか?

20歳の頃からサウナが好きで、いま44歳なので24年前くらいです。“ととのう“という言葉がなかった時代からですね。海外に行っても、いまみたいに片っ端からしらみつぶしに入る感じではなかったけれど、サウナを見つけたら大体入っていました。

ー 師匠という名前の由来は何かあるんですか?

ぼくの本業はイベントプロデュースなんですけど、周りのクリエイター界隈のひとたちにサウナの入り方を手ほどきしていたら、「師匠、師匠」と呼ばれるようになって。

ー 相方のととのえ親方(松尾大)との出会いは?

「北に有名なプロサウナーがいる」と、友人の小橋賢児に紹介してもらったのがきっかけです。一度、一緒にサウナに入ってみたら、こんなにディープなサウナトークができる人がいるんだってほど詳しくて。その1年後には、親方とフィンランドやデンマークなど5ヵ国11サウナを回りました。観光名所には脇目も振らず、とにかくサウナだけに入るというストイックな旅でしたね。

ー サ旅のはしりですね。

そのときに、親方が「“SAUNNER”というロゴTが欲しいんだけど…」と言い出して。というのも、当時はあまりイケてるサウナウェアがなく、サーファーにはサーフブランド、スケーターにはスケートブランドがあるのに、なぜサウナーには着るものがないんだと。で、知り合いのデザイナーに連絡して、ボックスロゴのデザインをつくってもらい、30枚発注したんです。それを東京で着ていたら、周りの経営者や業界人からも欲しいと言われるようになりました。おそらく、サウナーカルチャーをファッションに落とし込む行為も初めてだったし、ストリートカルチャーをミックスしたデザインが新鮮だったんでしょうね。

ー たしかに、あのボックスロゴは強く印象に残ってます。

当時は、まだサウナが好きということを大声で公言する時代じゃなかったじゃないですか。サウナ好きを顕在化するうえで、ファッションという切り口はスゴく目新しかったですし、それによって意外と潜在顧客がいることがわかったんですよね。そのときは手弁当のように直接販売していましたが、いまはECで売っていて、売り上げは初期と比べて10倍以上になっています。

ー〈TTNE〉の活動やメンバーはどうなっているんですか?

親方とぼくの2人はマスコットみたいなもので(笑)、プロジェクトごとに外部のサポートメンバーに入ってもらっています。例えばデザイナーやフォトグラファー、それにサウルスマンというサウナの営業とか(笑)。ぼくらの仕事をざっくりと説明すると、クライアントからのオファーに対して、唯一無二のサウナ体験を提案すること。コンサルに近いのかなと。

ー 親方と師匠の間で、担当のすみ分けはあるんですか?

親方は札幌在住で、もともと北海道の案内人のような立ち位置の人。経営者や芸能人との繋がりが強く、ホテル業界の方々とも関係値があるので、ホテルからのサウナに関する相談事を引き受けています。あとはサウナをつくりたいひとの別荘や、ダイナミックなスーパー銭湯とかも。ぼくは、サウナとほかのカルチャーを繋げることが得意で、プライベートジムとサウナをくっつけた「med.」や一人で入るスタイルの「ソロサウナtune」など、これまでなかった新しい切り口のサウナを世の中に投げかけるのが好きなんです。

ー ほかにもそういう事例はありますか?

〈ニューバランス〉とやった「ランニング × サウナ」とか、ゴルフ場にサウナをつくった「ゴルフ × サウナ」。最近は「建築家 × サウナ」として、隈研吾事務所と一緒に、直島のグランピング施設「SANA MANE」にサウナを建てました。

ー その「サウナ × 〇〇」という組み合わせは、海外でもよくあるんですか?

ありますよ。例えば、ここ「med.」のようなカラーサウナはニューヨークにあります。コンディションに合わせて照明の色が選べるようになっていて、視覚的な面白さはもちろん、実際に高いリラックス効果が期待できるんです。ほかにも、「ボールパーク」という日ハムの球場の施設内にサウナができるんですけど、ベースはフィンランドのアイスホッケー場にあるサウナ。そういうものがアイデアの原型になっているんです。「フィンランドのあそこと、ドイツのあそこと、ニューヨークのあの施設をミックスしたら…」という発想でつくることが多いですね。