Item02:遊びの効いたデイリーウェアとして活躍する「スーツアップ」。
H:こちらは、「スーツアップ」というモデルのセットアップです。先ほどのトラックスーツとの違いを教えてください。
泉:よーく見ると総柄なので、ファッション好きな人は、街でより楽しんでもらえるセットアップかと思います。柄とボディが同系色なので、総柄なのにいやらしさがないのもポイントです。
H:これもサイズ感にこだわって、モデルに着させているんですか?
泉:あまり大きく着させないようにしました。もともとドロップショルダーじゃないですし、肩の位置に合わせてジャストサイズで着る方がカッコいいと思いまして。
Style① sports casual
H:こちらの着こなしは、サッカー好きの泉さんらしいスタイルですね。
泉:フットサルやサッカーのグラウンドに向かっている人をイメージしてスタイリングを考えました。ヘアバンドを巻いているのは、海外のサッカー選手がモチーフです。
H:ヘアバンドを街でつけるのは新鮮に感じます。
泉:日本ではあまり馴染みがないかと思いますが、ロンドンではヘアバンドをファッションとして身につける人も少なくないんです。
H:インナーには何を合わせているんですか?
泉:これは、80年代の〈アディダス〉のゲームシャツです。
H:オレンジを選んだのは、色を取り入れるためですか?
泉:そうですね。スポーツテイストのアイテムは、色物と相性がいいと思っていて。ツルッとした素材のゲームシャツはトラックスーツの生地とマッチするので、派手な色も馴染みます。
H:色があると気分も上がりますよね。イエローのソックスもその意図ですか?
泉:はい。サッカーのプレイ中はサッカーソックスに履き替えるので、あくまで移動用というか、街着ぽさを演出するために履かせています。
Style② Stylish
H:最後は、テーラードジャケットを羽織ったスタイルです。
泉:これは、ラグジュアリーブランドのコラボでよく見かける、ジャケットにトラックパンツを合わせるスタイルをモチーフにしています。インナーにはスポーティながらトラッドな印象もあるラガーシャツを挟んで、品良くまとめました
H:スポーツテイストのパンツは、上品なトップスに馴染みやすいですね。
泉:ボトムスが綺麗なテーパードのパンツなら、トップスは古着などの野暮ったいものではなく、品のあるものを合わせた方が上手くまとまります。
H:ヘッドホンを合わせた意味は、何かあるんですか?
泉:ジャケットを羽織って着飾るスタイルに、クラブカルチャーの要素を加えたかったので、ヘッドホンを首にかけました。それに、モデル自身がダンサーということで、アクセサリーとしてもヘッドホンがハマるなと。プロモーションムービーでは、彼が踊ってくれました。
H:そんな狙いがあったんですね。話は変わりますが、この「スーツアップ」のように、タイトなつくりのものをジャストサイズで着させた理由はありますか?
泉:シルエットが崩れてしまうからです。もともとタイトなサイジングで設計されているものは、ジャストで着た方がカッコいいと思うんですよね。
H:それはどうしてですか?
泉:つくり手を尊重するというか、タイトに着るためにつくられたものをあえてオーバーサイズで選ぶ必要はないと思っています。この手のアイテムは、サイズ感で着崩すというより、合わせで崩した方がオリジナリティが出るはずです。
H:ここ数年、トラックジャケットやパンツを履いている人達が、街に増えたと思います。その要因はどんなところにあると思いますか?
泉:スポーツブランドとラグジュアリーブランドのコラボが多くなったからだと思います。トラックジャケットを使ったスタイル提案が増えたので、その影響でファッションとして取り入れやすくなったのかなと。それに、古着屋さんにもスポーツウェアがたくさん並んでいますしね。
H:たしかに、古着屋で2000年代のトラックスーツを目にすることも増えました。
泉:あと、個人的に最近ハマっているのは、そうしたスポーティなアイテムに本格的なワークウェアを合わせること。そうすると、当時現地にいたフーリガンのような着こなしになるんです。彼らは、作業着みたくチープなワークパンツにトラックジャケットを合わせた格好で、スタジアムに向かっていたので。でも、日本でそんなスタイルをしていると怪しまれるかもしれないので、ベーシックにチノパンやデニムを合わせるのがいいかもしれません(笑)。