CLOSE
FEATURE | TIE UP
マジックナンバーを形づくる、中村竜という男の話。
SEE YOU IN THE WATER.

マジックナンバーを形づくる、中村竜という男の話。

プロサーファーであり、アパレルブランド〈マジックナンバー〉のディレクターを務める中村竜さん。早いもので、ブランドを立ち上げて今年で15周年を迎えました。5年続けるのも難しいと言われるアパレルの世界で、竜さんはいかにして時代の波に乗り、ブランドを成長させ、いまに至るのか。彼の過去と現在に見る、〈マジックナンバー〉への思いと、その輪郭。

  • Photo_Sohei Kabe
  • Surf Shot_Nao Miyake
  • Text_Keisuke Kimura
  • Edit_Hideki Shibayama

自分をオフにするための新しい拠点。

ブランドディレクションのほかにも、数々の事業を手がけている竜さん。ここ「WITH KAMAKURA」もまた、自身がディレクションを手がけ、2023年1月に完成させた複合施設。海が近く、すぐそこには長谷寺があり、施設の後ろにはドープな神社が鎮座。江ノ電も12分に一回、ドドっ、ドドっと音を立てて通り過ぎていきます。

「この建物は、70年前に白川郷から移築されたものなんです。自分が小学生の頃は『懐古亭』という名の料亭でした。長らく空き家だったんですけど、鎌倉の企業さんが買って、ここを本社にしようとしていたんです。でも、コロナになってオフィスが必要ないことに気づき『竜くん、ここをプロデュースしてみない?』って言ってくれて」

水風呂は元気炉の内部に設置。捨てられていた大きな釜を再利用し、その深さは150センチ以上。

こうしてできた「WITH KAMAKURA」は、衣・食・住・遊・働のすべてが揃います。まずは庭部分。手がけたのは、竜さんとも親交のある現代美術家の栗林隆さん。奥に見える切り株のアートは、「stump 001 kamakura」という名の体験型インスタレーションであり、そのなかにあるのはハーバルスチームサウナ。予約をすれば誰でも利用できます。

「普通のサウナではなくて、あくまで体験型のアートなんです。庭で摘んだハーブを窯で煮出して、そのスチームを『stump』に送り込む。中温で湿度も高いから、ずっと入っていられて本当にリフレッシュできるんです」

一階部分は、カフェとポップアップスペース。

カフェのメニューはとても充実していて、こだわりのコーヒー類をはじめ、恵比寿「サンシャインジュース」の特製ドリンクや、「パシフィックベーカリー」のパン、加えて月曜と水曜限定で、そばもいただけます。このそばが、もう絶品。

「朝比奈町の近くに『竹庵』っていう蕎麦屋があったんですけど、めちゃくちゃ美味しくて人気だったのに、数年前に店を閉めちゃって。それで、鎌倉住民もがっかりしてたんですけど、『竹庵』をやっていたのが幼馴染だったから、この機会に復活させようぜって。特にごぼう天が美味いので、みなさんもぜひ」

2階に上がると、お座敷のシェアオフィスが広がっていて、時間貸しもしているし、マンスリーで契約することも可能。利用中、ソフトドリンクは飲み放題。都内で忙しく働いている人も、ここでチルして、仕事をして、そばも食べれば、サウナなしでも完璧にととのえちゃう。

三角屋根の3階はイベントスペース。いまは毎朝、ヨガのレッスンが行われています。気持ちいい風と鎌倉の景色を一望でき、パワーに満ちた空間でやるヨガは、いつもよりも深く、自分と繋がれるんです。

「こういう時間も必要ですよね」と竜さんが呟いたあと、こう続けます。「オンより、まずはオフにするのが大切だと思うんですよ。しっかりオフにしないと、本当のオンにはもっていけないから」

竜さんにとってオフになれる場所は、鎌倉の海であり、妙本寺であり、ここ「WITH KAMAKURA」。そこでしっかりスイッチを切り替えて、〈マジックナンバー〉のクリエイティブに落とし込んでいくのです。

この日、竜さんが着用している〈マジックナンバー〉のTシャツは、15周年を記念してつくられた一着。胸元にプリントされたオレンジは、〈マジックナンバー〉の設立当初にブランドカラーに採用した色で、15年経った今年にリバイバルしたもの。

リピーターが多いという、程よくテーパードがかかったデニムは、岡山で仕立てたこだわりの一本。肉厚で、シルエットも際立ち、使いこむほどに味わい深くなっていきます。やっぱりこんなデニムには、Tシャツとビーサンでラフに合わせるのがサーファー流。

INFORMATION

マジックナンバー

Instagram:@magicnumberjp
https://magicnumber-jp.com/

このエントリーをはてなブックマークに追加