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生み出すひとたちとKOMONO。  Vol.3 スケートボードデッキスピーカー職人 松田雪音

生み出すひとたちとKOMONO。 Vol.3 スケートボードデッキスピーカー職人 松田雪音

ベルギーはアントワープを拠点に、時計やサングラスなど洗練されたプロダクトを中心に展開するアクセサリーブランド〈コモノ(KOMONO)〉。以前、アート界隈にも造詣の深いデザイナーにこんなインタビューをしましたが、シンプルでユニセックスなデザインはもとより、ポエティックなビジュアルによってここ日本でもその知名度を着実に広めてきています。今回、そのブランドの新作モデルをアートやカルチャーに精通した4人のクリエイターのフィルターを通してご紹介していきます。第三回目は、〈ダジャック(dajac)〉という名のスケートボード型スピーカーを手掛ける松田雪音さんが登場します。

  • Photo_Tetsuo Kashiwada
  • Text_Yuho Nomura
  • Edit_Shinri Kobayashi
  • Special Thanks_prime skateboard
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松田雪音

1984年宮城県生まれ。幼い頃から美術館などで芸術やアートに触れる機会が多く、漠然とものづくりへの興味を持ち始める。その後サーフィンと出会ったことが人生の転換期となり、25歳で新島に単身移住。その間にスピーカー作りとデッキのシェイプやスケートのセクション設営における、それぞれの師匠との出会いがあり、2016年にスケートボードのデッキとサウンドシステムを融合させたスピーカーを開発。〈ダジャック〉という名の下、大掛かりなプロモーションを行うことなく、SNSでの告知と手売りをベースに展開。現在は、東京都下と新島を行き来しながらの生活をしている。

人生の転換となった出会い。

「Walther/Camel」¥22,000+TAX
ベルトに上質なイタリアンレザーを採用し、高い視認性とデザイン性を兼ね備えたドーム型ムーブメントのモデル。防水や日付機能付きの文字盤など機能性も十分。

ーまずは雪音さんのお仕事について教えて下さい。ご職業としては、スケートボードデッキのスピーカー職人という肩書きになるのでしょうか?

雪音:はい。元々私にはスピーカーとデッキシェイプの師匠がそれぞれいたんですが、その二人との出会いがきっかけとなって、このスケートボードのデッキを使ったスピーカーを作り始めたんです。

ーそれぞれの師匠とは何をきっかけに出会うことになったのですか?

雪音:スピーカーの師匠とは上京してすぐに足を運んだ喫茶店で出会いました。最初こそ気付かなかったのですが、そこはどうやらアーティストや作家さんが集うたまり場のような場所だったみたいで。それから仲よくなって、その師匠からは音楽について沢山の事を教わりました。

それから生活の拠点を新島に移してしばらくしたころに、撮影で島にやってきた大場組(デッキブランドとしては〈woodentoy〉名義で活動)と呼ばれる大工をしているスケーターの人たちに出会い、お仕事を少し手伝うことになったんです。そこではスケートランプの設営やスケートデッキのシェイプなど、これまた様々なことを経験させてもらいました。

ーなかなかの巡り合わせですね。実際には、どのようにしてスピーカーは作られていくのですか?

雪音:スケートデッキに関しても市場には出回らなくなってきている貴重なデッドストックを師匠のつてなどから譲っていただき、それをカスタムして作っているんです。もちろん廃棄物であればなんでもいいわけではなく、スケートデッキは自分の好きなスケートのスタイルのスケーターに無理言ってもらったりしていますし、スピーカーも師匠の教え通り、高音質で今ではなかなか手に入らなくなったヴィンテージのものを全国から探しています。

ーどんなデッキでもいいわけじゃないんですか?

雪音:機能としては問題ないですよ。でも、デッキに残ったこすれた跡もひとつのデザインとして捉えています。どんな跡が残っているかは、そのひとのスタイルによるところが大きいんです。

最近の移動手段としてよく活用しているのがピストバイク。こちらは親交の深い西麻布の「ダイナー(DINER)」で組んだもの。

ーそれって実はかなり大変な作業ですよね。

雪音:そうなんです。それぞれの材料を探すのも製作するのも決して簡単ではないんです。デッキのシェイプは新島のアトリエで行っていますし、スピーカーに関しては自分が納得のいくものと出会えなければ、いつまでたっても製作できませんから。それでもブランドとして立ち上げてまだ日は浅いですが、SNSなどで直接欲しいとメッセージをくれる方やお店に置いて欲しいと言ってくださる店舗様が次々と出てきてくださっているので、そういったお声は確実に私自身のものづくりの原動力になっていますね。

一貫した価値観によって磨かれていく“モノ選び”と“モノづくり”。

ーデザイナーというよりは職人としての気質も感じられる雪音さんですが、今回〈コモノ〉の「Walther/Camel」を実際に付けてみた感想はいかがでしょうか? また今回この素材とカラーを選んだ理由はなんだったのでしょうか?

雪音:パッと見た瞬間にまず直感でレザーの質感がいいなと思いました。男性的な感覚に近いと思いますが、経年変化することによって味わい深くなっていくものが昔から好きなんですよね。特にレザーは好きです。あとはモデル名の通り、どこかクラフトマンシップを感じさせてくれるし、仕事をするときにでも馴染んでくれそうですよね。

ーこちらのモデルの時計をつける人はどんな人物像がイメージできますか?

雪音:街着なら少し品のある着こなしや無骨なスタイルの人にも合いそうですよね。あと個人的にはやっぱり仕事をしている人に付けて欲しいかな。私自身も普段は仕事をするときにはほとんど時計をつけないんですけど、これなら毎日つけたくなる。そう思える時計って意外と少ないと思うんです。

ー広くものづくりに精通する雪音さんが時計に求めるものってなんですか?

雪音:個人的にはサーフィンもするし、機械を使った仕事もするので、防水性と頑丈性は重要ですね。あまりにチープすぎると実用性が感じられないと思うので。あとはもちろんデザインも意識してチェックしますね。シンプルなものが一番で、なおかつやっぱりレザーにはどうしても惹かれますね。

ーそういったモノを選ぶ基準というのも、今のお仕事や雪音さんが出会った師匠との影響が大きかったりするのでしょうか?

雪音:そうだと思いますね。それこそ音楽に対する考え方やスケートやサーフィンのカルチャーとの関わり方などはそれぞれの分野で息づく人たちとの出会いが大きかったと思います。道標になってくれたとも言えますし。でもそれは一方的に影響を受けたわけではなく、私自身もきっとそういう考え方だったんだろうなと思います。じゃないとこんな生活していないと思うので(笑)。洋服も昔から変わらないし、かっこいいなと思うモノや人も一貫していると思いますね。

ー今回、実際に雪音さんのスピーカーが設置されている神田のスケートショップ「プライム スケートボード」さんにお邪魔させてもらいました。ここはどんな場所ですか?

雪音:いくつか私の作ったスケートボードのスピーカーを什器として扱ってくれている店舗さんがあるのですが、その中でも一番最初にオファーをくれたお店で、私がブランドとして立ち上げるときに色々と相談に乗ってくれたよき理解者。店長の金井さんやスタッフとも仲がいいので、用事がなくてもふらっと足を運んでしまう場所ですね。

ギアが陳列する棚の両脇には、「プライム スケートボード」特注のスピーカー。

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