SELECTOR 1. TAKASHI SUZUKI “UA” で最も日本酒を愛する男が選ぶ二本。
PROFILE
「ユナイテッドアローズ ボトルショップ」ディレクター。2007年、「ユナイテッドアローズ」に入社。事業戦略部で数値管理、出店シミュレーションなどの店舗運営管理業務、レーベルのMDや立ち上げに携わる。20年より開発推進課のメンバーとして新規事業開発を担当し、翌年に「ユナイテッドアローズ ボトルショップ」をオープン。ディレクションとバイイングを担当する。
Instagram:@ua_bottle_shop @takashi_ipa
NO.1 「仙禽ユナイテッドアローズコレクション」の「UA打上げ花火」
「ユナイテッドアローズ」が「仙禽」の酒造りに参加し、今年8月に発売された一本は、夏の夜空に見上げる大輪の花をイメージしたスパークリングの日本酒。冷やしたグラスで飲めば、炭酸が弾け、すっきりした味わいが広がるとか。
「『仙禽』は日本酒に魅了されるようになったきっかけの蔵のひとつ。現在の蔵元がソムリエ出身で、酒造りのドメーヌ化を進め、木桶や生酛といった江戸時代の酒造りを復活させながらも、日本酒をいまの食生活に合ったモダンな味わいへ進化させたパイオニア的な存在です。はじめて飲んだ時は、日本酒ってこんなことになっているの!? と固定観念を覆されました。昨年から『仙禽ユナイテッドアローズコレクション』として複数のコラボ商品をリリースしていますが、「UA打上げ花火」はスイスイ杯が進むので、知らずに飲んだら、ブリュットのシャンパンだと勘違いする方もいるかもしれません。世界で日本酒は注目を浴びていますが、その最前線の味わいをぜひ試してほしいです」
NO.2 「大嶺酒造」の「大嶺3粒 火入れ 山田錦」
山口の酒蔵で丹精込めてつくられる一本は「大嶺酒造」の看板商品。2021年に世界的なお酒のコンペティション「IWC」でシルバー賞を受賞した名作です。
「約8年前、『ユナイテッドアローズ&サンズ』に携わっていた時、上海のイベントに出展しました。ぼくたちの隣でブース出店していたNIGO®さんのチームに『大嶺酒造』の秋山社長が訪れていて、知り合ったんです。『日本酒を造っているんですよ』と仰っていたなと思い、帰国してからこのお酒を飲んでみたところ、美味しすぎてびっくり! マスカットのようなジューシーな甘さにバランスのよい旨味と酸味が合わさり、アルコール度数が低めにも関わらず膨らみを感じる味わいです。『大嶺酒造』は、NIGO®さん、ファレル・ウィリアムスさんと一緒に「SAKE STORM COWBOY」という日本酒ブランドを展開されていたり、アーティストの河村康輔さんやたなかみさきさんとコラボしたラベルがあったり、お酒とカルチャーを融合する大注目の酒蔵です」
鈴木的家飲み論
Q1. 普段どんな「家飲み」をすることが多いですか? 「外飲み」と比べて「家飲み」 はどんなところに魅力があるのか教えてください。
あまり参考にならないかと思いますが、何もない休日の朝一番に日本酒を口にします。日本酒は世界にも稀な並行複発酵という高度な技術でつくられ、非常に繊細で豊かな味わいの要素が美しく表現された飲み物。それを余すことなく堪能したいので、身体が枯渇していて五感が鋭い時に味わいます。ジュワーっと口いっぱいに広がった時のめくるめく美味しさの感動に身震いします(笑)。家飲みでは時間を気にせず好きな酒を好きなだけ好きなように楽しめるのが魅力かと思います。
Q2. いつも「家飲み」をするときに用意する料理はありますか?
私はお酒とじっくり向き合いたいタイプなので、あまりつまみを食べません。その代わりに、お気に入りの酒器を用意します。陶芸家の鈴木麻起子さんや濱中史朗さんの作品を大切に使っています。また、日本酒を飲む際は、冷酒だけではなく、お燗にもして、味わいの変化を楽しみます。燗をつけるときは「京都清課堂」で購入した錫のちろりを長年愛用しています。お気に入りの酒器とのマリアージュは更に贅沢な気持ちになっておすすめです。
Q3. 思い出に残っている「家飲み」を教えてください。
コロナ禍で外出もままならないときに、お酒が好きな友人たちとリモート飲みしたことは印象深いです。みんなお気に入りのお酒をその日のために用意しておいて、お互い披露しあってそれを後日買ってハマったり、楽しかったです。
T-SHIRT
居酒屋やバーに置いてあるTシャツって、なんか欲しくなる。酔いのせい? いやいや、酔わせるデザインの仕業です。単なるスタッフTの域を超えた精鋭を全国津々浦々から取り寄せました。
NO.1 大衆酒場 加賀家
長野県は松本市にある「大衆酒場 加賀家」の一着は、「待て〜」なんて声が聞こえてきそうなくらい、ユル〜いムード感。このデザインを手がけたのは、なんと「ミンナノ(MIN-NANO)」のGOROさん。ほかにも〈ディアスポラ〉とコラボしたTシャツもあったりと、約6坪のこじんまりとした店ながら、影響力は絶大。目も舌も唸らせる一軒だけに、「待て〜」と動向も追いかけたくなります。
NO.2 Hobo Beer Store
特定の醸造所を持たない“ファントムブリュワリー”こと、クラフトビールメーカーの「ホーボー ブリューイング(Hobo Brewing)」。その拠点として福岡は警固にオープンしたのが、「ホーボービアストア(Hobo Beer Store)」です。2人の店主が、福岡と北海道を中心に全国津々浦々を渡り鳥のように飛び回り、製造、仕入れたビールをフレッシュな状態でサービング。それを表現したのが背中の“WE LOVE TO SERVE FRESH”。それを〈フレッシュサービス〉がデザインするなんて最強のタッグすぎます。つくり手の温かさが伝わりますね。
NO.3 THE MUSEN IN SHOCK
関西人の心拍数を上げる立ち飲み屋「ザ ムセンインショック(THE MUSEN IN SHOCK)」。インスタに並ぶゴキゲンな赤ら顔の数を見れば、街人からの愛されっぷりは一目瞭然です。ティファニーブルーのカラーリングといい、さりげないロゴといい、「ザ ムセンインショック」、日常使いに最適です。
NO.4 寄
ワイングラス片手に蕎麦を嗜む江戸美人。その耳にはAirPods、着物の内側にはスマホもチラリ!? さまざまな時代もカルチャーもギュッと寄せ合ったこのTシャツが買えるのは、角打ち「寄(よせ)」。ナチュールワインやオリジナルのクラフトビールをはじめ、締めには京都の名店「すば」が監修した蕎麦もズズッといけます。食とカルチャーのマリアージュは、Tシャツでも見事に表現。
NO.5 SOMEWHERE
京都でひとしきり食べて飲んだ人々が集まるお酒と簡単なおつまみの店「SOMEWHERE」。季節ごとに変わるメニュー同様、不定期でリリースされるTシャツもロックバンドの新譜ばりに気になる存在です。新作は、USオルタナをオマージュしたド派手な蛍光プリント。元グラフィックデザイナーの店主が手がけているだけあって、イカし過ぎ!
NO.6 Human Nature
予測不能なワインの染みと「ヒューマンネイチャー」が好んでいるブドウの品種名をプリントしたスエット。デザイン性だけに甘えることなく、〈Somewhere in Tokyo〉のしなやかなボディに落とし込むなど、相当なこだわりが垣間見えます。このスエットならワインをこぼしたとしても、デザインの一部として許容できる…はず。
NO.7 混混
ワイン、酒肴、カルチャーが交差する池尻大橋の秘密基地「こんこん(混混)」。店名よろしく、可愛さとスタイリッシュさが混ぜこぜになったグラフィックT。何を食べても飲んでも美味い店は、マーチャンダイズだって酔わせるデザインなのです。