人生を彩る音楽との付き合い方。

これまで父親や先輩が、家や車中で何気なく流していた音楽のなかから、自分とマッチする曲をピックアップして、「飽きても繰り返し聴き込んできた」のが平野さん流の音楽との付き合い方だったそう。
「そこからちょっと広げたいなと。とはいえ、ジャンルを定めて聴いてきたわけでもないから、掘り下げるにしてもどこから手をつけていいんだろう? と。まずは関さんの一番好きなアーティストを聴いてみたいです」
「いろいろなアーティストがいて、これが一番好きとは言えないんですが、例えばヒップホップを聴かれているようなので、こんなのはどうでしょう?」と関さんが取り出したのが、A Tribe Called Questのアルバム『The Love Movement』。
「僕は世代としてヒップホップ黎明期だし、以前渋谷のレコード屋で働いていたこともあって、90年代前半ぐらいのアーティストが好きで、思い入れも強いんです」とレコード盤に針をのせると、スピーカーから曲が流れました。
「A Tribe Called Questは初めて聴きました。自分の好みの曲ばかりで狭い範囲しか聴いてこなかったからすごく新鮮です。いい感じですね。歌詞を聴きたいので邦楽を聴くことが多いんですが、歌詞も聴き込みすぎるとノリで聴けなくなっちゃうから、JAY-ZとかDR.Dreとか洋楽も聴きます」
「ノリだけ…であれば」と関さんが音楽の具体的な掘り下げ方へとつなげます。
「たとえば音の気持ちよさや曲調だけで選んでみたらおもしろいと思いますよ。結局、音楽は感覚なんでね。あとは、好きなアーティストが影響を受けた時代の曲を聴いてみるといいかもしれませんね。それだけでも自分の好きな曲調にぐっと近づけると思います」

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そして、人生を彩ってくれる音楽との付き合い方まで話は広がります。
「音楽は音を楽しむだけだと思われがちですが、風景を思い出すこともあるんですよね。生活に根付いた音楽を聴く環境があれば、いろいろなものにつながって、ああ、こんなときにこんな曲がかかっていたなあ、とか思い出せると豊かですよね」と関さん。
このアドバイスは、音楽の新しい楽しみ方を模索する平野さんにとって、すごく納得のいった様子でうなずきながら話を聞きます。ひとしきりオススメの曲を聴いてお店を後にして平野さんは、楽しそうに、そして名残惜しそうに、このひと時を振り返ります。
「僕が知らないだけかもしれないけど、こういうレコード屋が地元にあったらいいなと。好きな曲を切り口にジャンルや時代をもう少し掘り下げてみたいときに、店員さんに質問したりオススメを聴かせてもらったりと、お店がそういう入り口になっていったらいいですよね」