新しい表現を追求した初のフルアルバム。

右から、バックDJのRyo Ishikawa、リーダーのSart、MCのWeird the art。
-2019年のデビュー以来、コンスタントに作品をリリースしながら、音源と同様に精力的なライブ活動で着実にファンを定着化させているのも「Flat Line Classics」の躍進に繋がっていると思いますが、ライブに対する想いについてもお聞きできますか?
FLC:ライブに関しては、ぼくらがライブ活動をする上で欠かせない“箱”となる場所で働いているメンバーがいたり、学生時代から遊びに行っているスポットのスタッフと仲良くさせていただいていることで、イベントにお声がけしてもらったり、主催させてもらえる機会をいただけていて。環境に恵まれているなというのが正直なところですね。
ーストリートでの繋がりが活動の幅を広げているんですね。
FLC:それこそDazは「LIQUIDROOM」で働いていて、音楽の裏方的な現場の方々とのコミュニケーションがあるから、恵比寿の「BATICA」や中目黒の「Solfa」などでも定期的にイベントに出演させてもらったり、主催イベントを開催できているんです。あと、BIG FAFもセレクトショップの「GROW AROUND」で働いていて、そこで渋谷界隈の音楽関係者との親交も深くなって、「HARLEM」のイベントにもお声掛けいただけるようになりました。
-所縁のある場所でライブ活動を続けていけることは、アーティストにとってとても意味のあることで、ファンとの絆も深まっていきますよね。その中でも特に印象に残っているライブはありますか?
FLC:どのイベントもそれぞれに思い出がありますが、やっぱりぼくらにとって「BATICA」は特別な場所ですね。そこでDazが4年前から主催する「Deepdrunker」っていうイベントがあって、当初は身内周りでの忘年会的な位置付けだったのが、気が付けば「Flat Line Classics」のシグネチャーイベントとして認識されつつあるんです。ゲストも年々豪華になっていって、ぼくらはもちろんお客さんも一緒になって楽しんでくれているので、大切なイベントのひとつですね。
あとは初のフルアルバム『THROW BACK LP』のリリースパーティを「TIME OUT CAFE」で開催したときは、客演で参加してくれたビートメイカーの方々やともに切磋琢磨してきた仲間のアーティスト達も出演してくれて、とても印象深いライブでした。
-ちなみに最新作である『THROW BACK LP』では、お話にもあった通り、DJ SCRATCH NICEさんやGRADIS NICEさんをはじめとした豪華なビートメイカー陣が名を連ね、大きな話題にもなりました。
FLC:これまでリリースした2枚のEPは、Sartを中心にビートメイクを行なっていました。ただ、『THROW BACK LP』は客観的なアイデアやインスピレーションを加えて、もっと自由に作品表現をしたいという想いがあって。それで、関係性の深いビートメイカーや憧れの先輩に参加してもらったんです。
-「Flat Line Classics」の根幹にあるブーンバップのスタイルとの親和性を考えると納得のキャスティングで、1枚のアルバムを通じて、まさに新しい時代のクラシックが体現しているようにも感じました。オファーはどのように実現されたのですか?
FLC:人選はメンバー内で議論して、それぞれが理想だと思える方に直接会いに行ったりしましたね。特にGRADIS NICEさんやDJ SCRATCH NICEさんは、実際に東京でイベントがあったときには会いに行って想いを伝えたことで実現しました。
ーこれまでとは違う制作になったと思いますが、そこでの気付きや得たものはありましたか?
FLC:MASS-HOLEさんにビートを手掛けてもらった『HOT MAGIC』はぼくらにとっての代表曲のひとつになったし、もともと親交のあったdhrmaさんやGQさんとも一緒に作品をつくれて、作品としてのクオリティが高まったことはもちろん、ラップの乗せ方やリリックのつくり方、ビートメイクの考え方など、さまざまな視点で刺激をもらえた貴重な経験でしたね。
