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Episode 1:ショップ Interview with Hirokazu Yamazaki
ブランドの世界観を凝縮して具現化する内装デザイン。
“ショップ”の顔はもちろん商品ですが、それがどんな空間に置かれているかも非常に重要。それが旗艦店であればなおのこと。なぜならその内装には、ブランドが提示する世界観が凝縮されているから。東京と大阪に居を構える「エフシーイー フラッグシップストア(F/CE. Flagship Store)」。その設計デザインは、山根さんが所属するバンド「toe」のメンバーでもある山㟢さんによるもの。全てをカッチリ新建材で囲ってしまわず、それぞれの躯体の名残りを残しつつ、新しい造作とのコントラストが際立つように仕上げられているのが特徴です。「伝統や記憶を今の技術と融合させてアップデートするような〈エフシーイー〉のプロダクトやデザインにも通じるところがあるのでは。と思っています」と山㟢さん。公私ともに付き合いの長い山根さんを「言葉で多くを語りはしないが、ひっそりじっくりと自分の表現を固めて、かっちり表現できる人」と評します。常に新たなアイデアを考えている山根さんと、それを具現化する山㟢さん。次なる一手を聞けば、宿泊施設や住宅など、“食”“住”を含めたプロジェクトに興味津々のご様子。言質は取りましたので、ぜひとも期待して待っていたいと思います。
PROFILE
山根さんも所属するインストバンド「toe」のメンバーとして、ギターとたまに唄を担当。20代前半から店舗設計施工業務に従事し、2007年に自身が主宰するデザイン会社「Metronome Inc.」を設立。現在に至る。
Episode 2:旅 Interview with Takahiro Otsuji
旅で得た出会いを、クリエイションの源に。
先述のように、実際にテーマとなる国へと赴き、そこからインプットしたものをデザインに落とし込んで展開される〈エフシーイー〉のクリエイション。デザイナー2人が、テーマとして決めた国を自分の足で旅し、そこでの出会いを深く掘り下げ、独自のフィルターに落とし込んで新たなモノへと変える。その姿を長年、真横で見てきたのが、ビジュアルイメージを撮影する大辻さんです。「毎回、車で時間をかけてその国を一周するんですが、道中は見るもの、感じるものの全てが新鮮。その中で鋭い視点と嗅覚をもって、無駄なく素早く情報を吸収する2人を見ていて、この感覚こそがブランドの魅力に繋がっているんだなと、常々感じていました」。一方、ルック撮影は日本国内で行われるため、当地にいながらテーマとなった国の匂いが感じられるように、大辻さんが旅から得たインスピレーションをエッセンスとしてひと振り。それは空気の色だったり水の味だったり、レタッチのタイミングでこっそりと。12年で干支はひと回りしても、まだまだ未訪の国ばかり。3人の終わりなき“旅”は、これからも続いていくのです。
PROFILE
2023年に「株式会社Nitoland」設立。雑誌や広告だけでなく、写真展やプロダクトの製作など、ブランドや企業とのコラボレーションも度々発信し、幅広く活躍。新たなweb媒体『building-building』を立ち上げ、注目を浴びている。
Episode 3:服 Interview with Satoshi Yamane
23 AWは、北欧のデザイン哲学からインスパイア。
次なるお題は、クリエイションの中心にある“服”についてです。今回訪れた先は、北欧諸国の1つであるデンマーク。伝統とアイデンティティに根ざした同地のデザイン哲学“Purpose/Equality”をテーマに、シンプルで美しいフォルムをさらに洗練させ、機能性を向上。ミニマルかつ利便性・実用性に優れたラインナップが生まれました。「とはいえこれまでのシーズンに比べて、大きく変わったような部分はありません」と山根さんは話しますが、ワイドでリラックス、それでいてスタイリッシュなシルエット構築など、“自分たちが今着るとしたら”という時代の気分と“快適性の追求”という普遍的コンセプトをさりげなく融合させる手腕が光ります。曰く、「あると嬉しいなという機能は、ほぼ全てのアイテムに共通装備として取り入れています。例えば、旅先でクレジットカードを隠し持つことのできる袖部分のシークレットポケットや、キンドルの端末が収まるポケットなどです」。革新性とともに実用性を追求。小さなディテールに新たな意味を見出し、そこに使いやすさと付加価値をプラスする。神は細部に宿り、服は着る人によって育てられる。要は、着てこそ分かるモノづくりの深化。
PROFILE
1997年からデザイナーとしてのキャリアを積み、2010年に自身の会社「オープンユアアイズ(OPEN YOUR EYES INC.)」を設立。アパレルブランド〈エフシーイー(F/CE.)〉と、同ブランドが並ぶショップ「エフシーイーフラッグシップストア(F/CE. Flagship Store)」、デンマークのアウトドアブランド〈ノルディスク(NORDISK)〉の世界初のコンセプトショップを運営。その他にもいくつかのグローバルブランドのディレクションやデザインを務める。バンド「toe」のベーシストでもある。
Episode 4:ロゴ Interview with Naomi Hirabayashi
ブランドの世界観を、わずか5文字で表現。
ブランド設立から5年後の2016 SSシーズン。ブランド名がそれまでの〈フィクチュール(FICOUTURE)〉から〈エフシーイー(F/CE.)〉へ変更されたことに伴い、ブランドロゴも心機一転されました。そのデザインを手掛けたのが、アートディレクターとしてシーンの一線で活躍する平林さん。「ファッションというよりも、ツール的な見え方を意識した」というデザインに込められた想いは、“機能的であること”。その言葉が示すようにシンプルかつ明瞭。デザイン変更前は「創っているプロダクトと実際の(ブランドの)見え方にずいぶん差があるなという印象を覚えた」という平林さん。新たに誕生させたこのロゴでは、プロダクト的性格を強めたリニューアル後のラインアップを象徴する頭文字の Fが意味するファンクショナリティ(機能性)を、わずか5文字のテキストで表現することに成功しています。逆にショーのインビテーションなどでは、ソリッドにし過ぎず、そのシーズンのコレクションの気分を上手く出すように心がけているとも。これからも変わることなく、〈エフシーイー〉というブランドの持つ世界観を、シーズンごとに異なるビジュアルで表現し続けてくれるに違いありません。
PROFILE
「資生堂」のアートディレクターとして働いたのち、イギリス・ロンドンの「MADE THOUGHT」で1年間経験を積み、帰国。現在は、東京を拠点にフリーランスのアートディレクター・デザイナーとして活動中。
Episode 5:サスティナブル Interview with Satoshi Yamane
肩ヒジなんて張らず、まずは身近な一歩から。
今や現代社会における必須課題となった“サスティナブル”。〈エフシーイー〉でも4年前から、環境問題への意識を高め、より持続可能でポジティブな影響を与えるための解決策として、リサイクル素材への切り替えが推進されていましたが、今季はコレクションの70%がサステナビリティを意識したものに。その中でも白眉が、パートナーである「エコペル(Eco-Pel)」と共同開発した環境に優しいエコボア素材。かといって押し付けがましいのはノー。目指すところは、人々の生活をより向上させる価値を、アイテムを通して提供していくこと。そのためにはモノと人との親密な関係を築き、積極的に体験してもらう必要があります。「あくまでファッションのアイテムですし、日々の生活とともにあるモノ。なので、洗濯機で洗えるかどうかを重要視しています」と山根さん。手入れの仕方を実店舗でスタッフに尋ねる。そこで生まれるコミュニケーションこそが“人と人を繋ぐことが社会的な課題の解決に繋がる”というソーシャルデザインの観点。「どうせなら、環境や生活に配慮されたものであると嬉しい」。そんな肩ヒジ張らないスタンスも“らしさ”。本当の持続可能って、こういうことじゃないでしょうか。
PROFILE
1997年からデザイナーとしてのキャリアを積み、2010年に自身の会社「オープンユアアイズ(OPEN YOUR EYES INC.)」を設立。アパレルブランド〈エフシーイー(F/CE.)〉と、同ブランドが並ぶショップ「エフシーイーフラッグシップストア(F/CE. Flagship Store)」、デンマークのアウトドアブランド〈ノルディスク(NORDISK)〉の世界初のコンセプトショップを運営。その他にもいくつかのグローバルブランドのディレクションやデザインを務める。バンド「toe」のベーシストでもある。
Episode 6:コラボレーション Interview with Kohei Nishimura & Tomoyuki Yokota
普段とは違う一面を見せる試みとその強み。
「いつものように、山根さんやハルちゃんと最近のムードについて話をしながら進めました」と西村さん。そうして完成したのが、初コラボ以来の定番となっているダウンジャケットとトラウザー。前者は、懐かしさも感じるリアルな質感にストレッチ性を備えたソロテックススエードを採用。対する後者は、高い防水・透湿性を誇るパーテックスシールドの表地と蓄熱素材のオクタの裏地が合体。ともに〈ディガウェル〉では普段使わない生地とパターンの融合が見どころです。自分たちだけでは見過ごしてしまうディテールやムード、経験が商品に反映できるのがコラボの強みとのことで、来年の冬に向けて、次なるプロダクトも進行中。首を長くしてお待ちあれ。(西村浩平)
続いてお話を伺ったのは、ブランド立ち上げ当初より毎年コラボアイテムの制作に取り組んできた〈ナンガ〉の横田社長。「山根さんのこだわりの詰まったデザインを具現化していくことで、機能性とファッション性を融合できた」という話の通り、長年ダウン製品で培ってきた〈ナンガ〉の技術力が〈エフシーイー〉のデザインと見事に呼応し、ブランドの顔とも呼べるダウンシリーズは毎年人気を博しています。「コラボする度に新たな学びがある。日本のみならず世界に認めてもらえるようなものづくりをともにし続けていきたい」そう話す横田社長と、今年ロンドンに支社を構える〈エフシーイー〉、両者のベクトルは同じ方向を向いているようです。(横田智之)
PROFILE
大学卒業後、雑貨屋にて販売、企画などを経験。2006年に独立し、東京・目黒にショップをオープンさせるとともにファッションブランド〈ディガウェル(DIGAWEL)〉を立ち上げる。
PROFILE
高校卒業後、貸衣装屋に就職し、2年間トップ営業として活躍。2001年に家業である〈ナンガ(NANGA)〉に就職。2ヶ月の山ごもりを経て営業職に就き、2009年より代表取締役社長を務める。
Episode 7:マテリアル Interview with Satoshi Yamane
言葉の引き出しからひと掴み。求めるのは快適性。
先にくるのは鶏か卵か。これを服に照らし合わせるとすれば素材とデザイン。〈エフシーイー〉のモノづくりにおいてはそのどちらが先かと山根さんに聞けば、素材が先との回答。しかもその方法がちょっと変わっていて、言葉を収集したノートのページをまずはめくるところから。シーズンテーマの国を訪れた際に、そこで見たり触れたりした建築物や自然から感じたものを書き溜めた引き出しの中から、言葉を選び、ニュアンスを抽出して、当てはまる素材を探す。その方法論は、どこか音楽制作にも似ているように感じます。この2023 AWシーズンでは、20デニール以下の極細糸を高密度に織り上げることで、非常に軽量かつ、優れた引裂強度と縫い目強度を実現させたパーテックスクァンタムに注目。他にも、軽く速乾性を備え、蓄熱性も高いポリエステルの三重織や、ウール混の防水トラウザー、これまでのコレクションの定番であったソロテックスを天然素材とブレンドする試みも。その根底にあるのが、ライフスタイルに寄り添うような快適性の追求です。「ひと目で“ザ・機能”と感じさせるのではなく、手に取って初めて気付く。そんなバランスを狙っています」と山根さん談。その出発点にあるのが、“マテリアル”なのです。
PROFILE
1997年からデザイナーとしてのキャリアを積み、2010年に自身の会社「オープンユアアイズ(OPEN YOUR EYES INC.)」を設立。アパレルブランド〈エフシーイー(F/CE.)〉と、同ブランドが並ぶショップ「エフシーイーフラッグシップストア(F/CE. Flagship Store)」、デンマークのアウトドアブランド〈ノルディスク(NORDISK)〉の世界初のコンセプトショップを運営。その他にもいくつかのグローバルブランドのディレクションやデザインを務める。バンド「toe」のベーシストでもある。
Episode 8:ユニセックス Interview with Ryota Yamada & Nobuko Ito
男心を刺激する機能性と、女心をくすぐる個性。
山根さんと春山さんが夫妻で手掛ける〈エフシーイー〉。そこには“ユニセックス”ゆえの強みもあるようです。「テクニカルなアクティブウェアを下敷きにしつつ、大胆なシルエットと独自のカラーセンスに、いわゆるアウトドアブランドにはない遊び心を感じる」と話すのは、ルックでスタイリングを担当する山田さん。毎シーズン見たことのない付属パーツや、機能素材が追加されている点に興味が尽きないとか。さらに「ドレッシーな服やレザーシューズのようにエレガントなテイストのアイテムや、また逆に古着のように味のあるアイテムといった感じに、異質なモノ同士を組み合わせるのが面白いと思います」と着こなしのアドバイスも。ぜひとも、ご参考に。(山田陵太)
では、女性スタイリストの目からはどう映っているのでしょうか? 親交の深い伊藤さんは、完璧すぎない“隙”の部分に、“ならではの魅力”を感じているとか。また、その理由を「デザイナー2人が今まで経験してきたカルチャーが、ちゃんと出ている気がします」とも。デザインに確固たる個性があり、色々な着方で自由に楽しめる振り幅もある。そんなところがプロの琴線に触れるよう。スタイリングの際は「着てみたい! と、見る人にストレートに伝わるように意識しています」と話す伊藤さん。ご自身も、定番コーデに+1のアイテムとして愛用中。常に進化し続けるクリエイションと、新たに始まる東京とロンドンの2拠点活動。ともに乞うご期待ですね。(伊藤信子)
PROFILE
文化服装学院を卒業後、「ビームス(BEAMS)」のショップスタッフを経て、スタイリスト小沢宏氏に師事。2007年独立後、さまざまなメンズ媒体で活躍。古着への造旨が深く、音楽や映画にも精通する。その豊富な知識に裏打ちされたスタイリングで評価を高め、広告やカタログなどでも活躍している。
PROFILE
2005年から活動を開始。女優やモデルにもファンが多く、ジャンルやテイストをクロスオーバーした独自のスタイリングや世界観は、ファッション関係者からの支持も厚い。現在は、ファッション誌やカタログ、広告を中心に、アーティストなどのスタイリングも手掛けている。
Episode 9:ロンドン Interview with Asami Haruyama
期待に胸を膨らませ、第三の人生スタート。
これから数年、数十年先、もし〈エフシーイー〉を振り返ることがあるならば、今年2023年はトピックとして欠かすことはできないでしょう。ひとつは関西エリア初の旗艦店となる大阪店のオープン。そしてもうひとつが、日本に次ぐ拠点としてロンドンに子会社を設立したこと。「新たな景色が見えてくると思いますし、人生一回きりなので、それを楽しもうと思っています」そう話すのはウィメンズデザイナーとして〈エフシーイー〉の一翼を担う春山さん。ヨーロッパ圏にも顧客を抱える〈エフシーイー〉は、海外販売における価格の上振れをどうにかしたいと常々考えていました。ロンドンを海外流通の拠点にすることができればそれを解消でき、クリエイティブ面に関しても新しい価値が発見できるのではないかと子会社の設立を決意。「大阪で生まれ27歳で上京、そこが第二の人生の始まりでした。そして第三ステージとしてロンドンへの移住。不安はもちろんありますが、それ以上に楽しいことや仕事でもステップアップできる気がしていて、今はロンドンでの生活に期待しかありません。ファッションもカルチャーもたくさんのコミュニティーがあるはずなので、そこに自分も入っていきたいです」。新たなステージへと歩みを進める〈エフシーイー〉、そして春山さん個人としては第三のステージへ。次々に新しいことにチャレンジする山根夫妻の動向に、これからも目が離せません。
PROFILE
某大手セレクトショップの企画バイヤー、ウィメンズPRを歴任したのちに退職。2013年より〈エフ シーイー(F/CE.)〉のウィメンズデザイナーを務める。また2児を育てる良き母でもある。
Episode 10:バッグ Interview with Satoshi Yamane
自由な発想で快適性を追求する、モノづくりの哲学。
ここまで10の視点から紐解いてきた〈エフイーシー〉の過去・現在・未来。その始まりにある“バッグ”が、服と並びクリエイションの中核をなす存在であることは、疑いのようのない事実です。「ウチでは定番タイプが3種類あって、中でも1番人気はバックパック」と山根さん。専業ブランドには思いつけない自由な発想で、本当に必要と思える機能を合理性に基づいてデザインする。なんて、言うは易く行うは難し。それでも挑戦の価値ありと、今季は「インビスタ(INVISTA)」と新素材を開発。通常ならバッグには使われることのない50デニールの軽量コーデュラナイロン糸で織り上げた生地に難燃加工を施しました。さらには、定番デイパックのフロント部分を観音開きにアップデートしたモデルなど、新たなチャレンジもそこかしこ。もちろん根底に、快適性を追求したモノづくりの哲学があることは言わずもがな。重ねて述べますが、バッグづくりは非常に困難。でも、だからこそ改心作が完成した際の喜びはひとしお。「今はナイロンの素材としての可能性をバッグという枠組みの中で探っているところ。次のコレクションでは、その答えを見ていただけると思います」。ココロはすでに、次なる国へ。
PROFILE
1997年からデザイナーとしてのキャリアを積み、2010年に自身の会社「オープンユアアイズ(OPEN YOUR EYES INC.)」を設立。アパレルブランド〈エフシーイー(F/CE.)〉と、同ブランドが並ぶショップ「エフシーイーフラッグシップストア(F/CE. Flagship Store)」、デンマークのアウトドアブランド〈ノルディスク(NORDISK)〉の世界初のコンセプトショップを運営。その他にもいくつかのグローバルブランドのディレクションやデザインを務める。バンド「toe」のベーシストでもある。
F/CE.
電話:0120-85-7120
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