CLOSE
FEATURE | TIE UP
川島小鳥が撮る、マーガレット・ハウエルを纏った臼田あさ美と井之脇海。後編
Just wanted to see you wearing MARGARET HOWELL

川島小鳥が撮る、マーガレット・ハウエルを纏った臼田あさ美と井之脇海。後編

良質な素材にこだわり、モダンでシンプルなデザインに落とし込む。一見簡単な言葉ですが、実現するのは至難であることは周知の通り。この言葉を長年にわたって実現してきた〈マーガレット・ハウエル(MARGARET HOWELL)〉とそのカジュアルライン〈MHL.〉は、時代や世代を超える服を生み出し続けています。そんな服を着た臼田あさ美さんと井之脇海さんと共に、海沿いの街へショートトリップ。物語の始まる予感がする二人の断片的なイメージを写真家・川島小鳥さんが切り取ります。

  • Photo_Kotori Kawashima
  • Styling_Ayano Nakai
  • Hair & Make-up_Taeko Kusaba
  • Text_Shinri Kobayashi
  • Edit_Shuhei Wakiyama

日常のなかに潜む特別なこと。

〈マーガレット・ハウエル〉とそのカジュアルライン〈MHL.〉の服は、さまざまなひとの生活に寄り添う衣としてつくられています。たとえば、そのクリエーションも独特です。

よくあるデザイナーがイメージ画を描き、素材を探すという流れを逆行し、まずは人の肌に触れる素材から考え、色に移り、最終的にデザインに着手します。色の決定もユニークで、アイテムの色のベースになっているのは、イギリスの空の下で見る色なんだとか。

イギリスは曇り空が多いので光が比較的青く、晴れた日本では赤みが強い光になります。だから〈マーガレット・ハウエル〉には、割と青みがかった服が多いのです。

そうしてでき上がった服を通して、お二人はどんなインスピレーションを受け取ったのでしょうか?

ーいま、お二人が気になるファッションはどんなものでしょうか?

井之脇:最近はとにかく機能的であることと、何を思ってつくられた服かということを大事にしています。前者は、ぼくは登山が趣味なんですが、街と山の服をあまり分けないで着られる服…たとえば、汗をかいたり雨で濡れても1〜2時間、下手したら30分で乾くものや、軽量なものを選ぶようになりました。後者は、環境への配慮など、自分が何にお金を払っているのかを考えるようになってきています。

ーそういう点では、〈マーガレット・ハウエル〉も環境に対する意識が高いブランドといえるかもしれません。服のクオリティが高いので長く着られますし、いろいろと環境に配慮した服づくりもしているそうです。その中で気になったのは、生産上で出るサンプル生地を粉砕して、オーガニックコットンの糸と撚り合わせた生地を使い、つくっているアップサイクルコレクション。いろんな生地をまとめて粉砕するから生地の表情が独特で、節がまだら状に入るんだとか。

井之脇:糸と撚り合わせた時の節の入り方がそれぞれ微妙に異なる。一点モノのようでいいなと思いますね。

ー好きなシルエットはあるんですか?

井之脇:少しだけゆとりがある方が好きですが、特に気になるのは色ですね。できるだけニュートラルにいられる服が好きで、 柄物や派手な色の服は鏡を見ると疲れちゃう(笑)。そんな点でも、今日着た服の色は全部好きだし、落ち着けました。

ー臼田さんが最近気になるファッションはありますか?

臼田:20代の頃は、たくさん可愛い服を買いたいし、着たいと思っていました。でも、最近はもっとシンプルでいいという気持ちですね。もともと好きな古着と、ずっと変わらず好きでいられる服を着たい。自分にとっての定番品でいいから、毎日楽しく過ごせる服が欲しいなって。

ー定番品といえば、どんなアイテムですか?

臼田:白の無地Tがそうなんですが、着古してパジャマのようになったものから、新しいパリッときれいなものまで持っています。好きなものが変わらないのはたしかなんですが、私の場合はいつも同じ格好というわけにもいかなくて。大事なアイテムを自分のなかでアップデートしつつ、いまの生活に合わせていくという感じですね。(前編で)話したように、〈マーガレット・ハウエル〉のアイテムもその一つです。

ー今回の撮影では、東京から離れて山が近くにある海沿いの街へとやってきました。お二人は終始リラックスしたご様子でしたね。

井之脇:この辺りは、映画などの撮影でも最近来ていて、すごく好きなロケーションです。今日行った場所はどこも光がよくて、海も夕日独特の色が気持ちよかった。昔からそうではあるのですが、特に最近光に興味があって…。

ーどういう光がお好きなんですか?

井之脇:自然光も好きですが、人工物と自然が生み出す光に特に興味があるんです。たとえば、ミラーの反射で地面に光の溜まりができている光景みたいに、人工物を経由した自然の光。自然単体でも、人工物単体でもどちらかだけでは成り立たないような、そういう瞬間を見るのが好きなんです。

ー日常に不意に現れる光なんですね。デザイナーのマーガレットさんにとっても、日常がインスピレーションになっているそうです。彼女は駅からオフィスまで30分ぐらい歩いて通うそうで、そこですれ違うひとたちの表情や何気ない動きがインスピレーションになっているのだとか。そういった何気ない日常のなかで、臼田さんが最近感じた美しさがあれば、ぜひ教えてください。

臼田:最近気づいたのが、わたしは水が好きなんだなと(笑)。いま家の前を川が流れているような東京の田舎の方に住んでいるんですけど、仕事に行くときも、子供を保育園に送るときも毎日橋を渡ってその川を渡ります。カルガモの卵からヒナがかえるまでを観察できるくらい、家の周りに自然があふれているんです。川にも入るし、ご飯を持っていって原っぱにシートを敷いて食べたり、走り回ったり。そんな瞬間や時間がすごく好きですね。特別なことはいらないし、“なにもしないのがいい”ということもあるんだなと感じています。

INFORMATION

マーガレット・ハウエル / MHL.

電話:03-5785-6445
ホームページ

このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事#MARGARET HOWELL

もっと見る