「ビートルズは個性的過ぎて、“まだ”興味を持てない」
では、音楽的にはザ・ビートルズはどうでしょう? ドラマーとして影響を受けたりした部分はあるのでしょうか? 2023年に新エディションがリリースされた、通称“赤盤”“青盤”と呼ばれるベストアルバムのレコードに触れながら話してもらいます。
「もちろんベストアルバムにセレクトされるような楽曲は全曲知っていますけど、自分から興味を持って掘り下げようとしたことはないんですよ。ビートルズはビートルズ、音楽という枠すら超えちゃっているって印象です。物心つく前から聴いていて当たり前に知っているというか。でも、(年齢を重ねて)聴いてみると本当にすごいことをやっていて。漫画家で例えるなら手塚治虫というか。1番有名でポピュラリティがあるのに個性的過ぎて、変。うん、変すぎて興味がないんです(笑)。参考にできないし、何かと混ぜなたら面白そうだって気持ちになれないですから」
たしかに、ザ・ビートルズを現行のロックバンドのように語ることはできません。世界中の誰もが知っている存在なのに、アルバム単位でガラリと音楽の雰囲気が変わる。そこがまた実に魅力的です。レイジさん的に1番気に入っているアルバムと言うと何になるのでしょう?
「『Rubber Soul』もよく聴いたんですけど『Revolver』ですかね。『Tomorrow Never Knows』が入っているじゃないですか。オレの場合はケミカルブラザーズの『Setting Sun』(2ndアルバム『Dig Your Own Hole』収録)のドラムパターンが同じだよねってところから入っているし、そこでクラブミュージックやアンダーグラウンドカルチャーとビートルズが紐づいた部分があったんです」



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今回の赤盤から追加された『Tomorrow Never Knows』のクラブカルチャーとの関係性から、ザ・ビートルズの世界へ入っていくというのもまたレイジさん的な解釈。この撮影時、新曲『Now And Then』のレコードをかけて視聴していました。
「やはり純粋にいい曲だなって思います。みんなはジョン・レノンのデモテープバージョンもいいって言うので聴いてみましたけど、それもビートルズっぽい。アレンジを変えてリリースされた新曲の方もいい。そういうことなんでしょうね」と感想を教えてくれました。
「今後、何かのきっかけでビートルズがマイブームになって聴き込む日がくるかもしれないですね。それが明日かもしれないですし、随分先かもしれないですし。まだ全然わからないですけど」というのが、レイジさんがザ・ビートルズに向き合ったときに考える、シンプルでストレートな思いなのです。
