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FEATURE
又吉直樹が夢見た、龍と眠るパジャマ。
MADE IN PEACE

又吉直樹が夢見た、龍と眠るパジャマ。

お笑いや執筆など、マルチに活躍する一方、芸人屈指の洒落者としても知られる又吉直樹さん。そんな又吉さんが、自身のブランド〈水流舎(つるしゃ)〉を立ち上げ、生まれ故郷である寝屋川に思いを馳せたパジャマをリリースします。これまでの人生やファッション遍歴が、一本の川のように繋がった今作。ファッションへのこだわりと共に、地元への愛情も淀みなく流れていました。

  • Photo_Kyohei Nambu
  • Text_Shun Koda
  • Edit_Yuri Sudo

PROFILE

又吉直樹

1980年大阪府寝屋川市生まれ。芸人。1999年に上京し吉本興業の養成所に入り、2000年デビュー。2003年に綾部祐二と「ピース」を結成。現在、執筆活動にくわえ、テレビやラジオ出演、YouTubeチャンネル『渦』での動画配信など多岐にわたって活躍中。またオフィシャルコミュニティ『月と散文』では書き下ろしの作品を週3回配信。著書に、小説作品として2015年に第153回芥川賞を受賞し累計発行部数300万部以上のベストセラーとなった『火花』のほか、2017年には初の恋愛小説となる『劇場』、2022年4月には初めての新聞連載作『人間』に1万字を超える加筆を加え、文庫化。2023年3月、10年ぶりのエッセイ集となる『月と散文』を発売。他『第2図書係補佐』『東京百景』、共著に『蕎麦湯が来ない』(自由律俳句集)、『その本は』などがある。

街行くひととサッカー雑誌がファッションの教科書。

自他ともに認める服好き芸人の又吉さん。今回のパジャマについて触れる前に聞いておきたいのは、ファッションに目覚めたきっかけについて。その出合いは想像以上に早く、小学生時代まで遡ります。

「ずっとサッカーをしてたから、学校もジャージとかで通ってて、おしゃれするってなると、おじいちゃんおばあちゃんの家へ行くときだけだったんです。いつも祖父母の家へ行く前に、母親と寝屋川のデパートみたいなところに行って、自分で服を選んでたんです。それで祖父母の家へ行った帰りに同級生と外で遊んでたら、自転車に乗った同級生の女子5、6人のグループとばったり遭遇して。いつもジャージしか着てない僕が、グレーと黒のバイカラーのベースボールシャツにブラックジーンズを合わせてる姿を見て、『えっ、又吉いいやん、めっちゃおしゃれやん。自分で選んだん?』『え、うん』みたいなやり取りがあって。そこで『俺っておしゃれなん?』って浮かれてしまって。たまたま色合わせが良かったんでしょうけど、思いも寄らぬ角度から褒められたので、すごくうれしかったんです」

思春期真っ只中、小学6年生の又吉少年にとって、予想だにしなかった褒め言葉は、初舞台でウケたときに匹敵するような衝撃だったと振り返ります。ロケットスタートを決めたこともあり、急激にファッションの熱を帯びていきます。

「そのことがうれしすぎて家に帰ってから、姉に『アメリカ村っていうおしゃれなエリアがあるんやろ? 今度連れてって』みたいな感じでお願いして、後日姉と2人でアメリカ村に行ったんです。そこで黒と青のバッファローチェックのネルシャツとカーゴパンツを買ったりして、それから古着とか服を本格的に好きになりましたね」

大阪のアメリカ村は、東京でいう下北沢や高円寺のような古着屋がひしめくファッションエリア。スマホはおろか、ネットも普及していなかった時代のお店の開拓方法は、まさかすぎる方法でした。

「雑誌とかも見たりしてたんですけど、いちばん参考にしてたのは街を歩いてるおしゃれなひとたちでした。月イチくらいで日曜日の練習終わりに、1人でアメリカ村に行って三角公園でじっと座って人間観察。おしゃれやなって思うひとがいたら、古着屋に入るまで尾行するんです。怪しい雑居ビルの4階とかにあったり、ついていったら服屋じゃなくてめっちゃ気まずい雰囲気になったり、失敗も重ねて店を開拓していきました。ヴィンテージのジーンズが欲しいけど、どこの店がいいかわからないから、いい感じのジーンズを穿いてるひとが通う店なら確実にあるだろう、みたいに思ってましたね」

いまのご時世、真似することはおすすめできないけれど、理に適っているし、予期せぬ出合いがありそうでおもしろい。それともう一つ、色使いの教科書として役立ったのは意外にもサッカー雑誌だったそう。

「服を好きになる前からサッカーのジャージーに関しては、すごくこだわってたんです。サッカー雑誌で世界のいろんなチームのユニフォームを見て『かっこいいな』って思って、ユニフォームからチームを覚えたりして。インテルもいいけど、ユヴェントスもかっこいいなとか。そういうので、ジャージ、ゲームシャツで色の組み合わせとサイズ感を学んでいった感じですね。ユニフォームが単色のチームも多かったりするなか、アルゼンチンとかブラジルとか南米のチームって 3、4色使ってたりしていて、配色がすごくきれいで見てておもしろいなって思ってました。色を増やすと合わせるのが難しくなるけど、そのバランス感覚はサッカーのユニフォームから教わったかもしれないです」

INFORMATION

ポップアップストア「まだ、起きてたで」

日時:2024年2月17日(土)12:00 開場〜15:30 終了
会場:LIVE HOUSE VINTAGE(〒572-0042 大阪府寝屋川市東大利町 5-10)

又吉直樹の朗読会「まだ、起きてたで」

日時:2024年2月17日(土)16:45 開場〜17:00 開演〜19:00 終演予定
会場:LIVE HOUSE VINTAGE(〒572-0042 大阪府寝屋川市東大利町 5-10)
チケット:前売券 4,500円(取り扱いはFANYチケット

ポップアップストア「まだ、起きてたよ」

日時:2024年2月25日(日)12:00 開場〜16:00 終了
会場:ADRIFT(〒155-0031 東京都世田谷区北沢 3-9-23)

又吉直樹の朗読会「まだ、起きてたよ」

日時:2024年2月25日(日)16:30 開場〜17:00 開演〜19:00 終演予定
会場:ADRIFT(〒155-0031 東京都世田谷区北沢 3-9-23)
チケット:前売券 4,500 円(取り扱いはFANYチケット

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