YOSHIYUKI SHIMAZU ロックTの朽ちていくよさを知る。

PROFILE
TVCM、雑誌、広告媒体の他、さまざまなアーティストやセレブリティのスタイリングを担当。また、かつてバンド活動やDJも行うなど音楽への造詣が深いことで知られる。
Instagram:@shimazuyoshiyuki
―島津さんにとってソニック・ユースとはどんなバンドですか?
80年代初期、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドやMC5、ストゥージズ、ラモーンズ、テレビジョンというNY・アートスタイルの流れを汲みながら再構築されたそれは、ソニック・ユース、あるいはオルタナティブとしかいえないものでした。彼らの音楽には繊細さとパンク、サブカルチャーとアバンギャルドアート、インテリジェンスと野蛮といったような、相反するものが両立している感覚があります。音楽だけでなくアートワークにも多大な影響を受けました。
―もし好きな曲をひとつあげるとしたら、どの曲でしょうか?
20代の頃を思い返して選ぶとしたら、自由とユーモアのセンスを感じる『デイドリーム・ネイション』の「ティーンエイジ・ライオット」でしょうか。初めて聴いたとき、不協和音を奏でながらとにかく進んでいく感じのギターが印象的で、わけも分からず走り続ける疾走感が最高の曲です。まさに“10代の暴動”のようなイメージ。


―本日のスタイリングのポイントを教えてください。
この撮影の話をいただいて、ソニック・ユースのレコードやコレクションを色々と探していたら、ファンクラブ向けの会報誌が出てきたんです。それがモノトーンで構成されていてかっこよかったので、そこからインスピレーションを受けて、スタイリングもブラックを中心にまとめました。
―なるほど。島津さんらしい音楽の香りを感じさせるスタイルで素敵です。
この歳になると、コーディネートはあんまり頑張り過ぎないで、シックにサラッと着ている方がかっこいいと思うんです。これでママチャリに乗っているぐらいの(笑)。あと、新品のアイテムに新品を合わせるのはあまり好きじゃないかもしれないかもしれないですね。だから、ジャケットは80年代の〈バラクータ(BARACUTA)〉を選びました。

―着用いただいたTシャツはいかがでしたか?
生地もいいし、サイズ感もいまっぽいですよね。ぼくはヴィンテージのボロボロなものも、新品もどちらも好きなので、そのときの気分で着ます。背面のグラフィックが、気の抜けた感じがすごく好きです。90年代にソニック・ユースがビデオを出したときに、Tシャツも一緒に売っていて、そのデザインも似たようなヘタウマ系でとても気に入っていましたね。

―ヴィンテージのバンドTシャツは、価格が高騰してしまってコレクションアイテムのようにもなってきてしまっていますよね。
サブカルチャーのTシャツは着てなんぼだと思います。朽ちていくよさもあるし。ブートでもいいかもしれないけど、値段が高いのはよろしくないよね。だったら、こういった新しい正規のものを健全に買って、それを大事に着て古着にしていった方が次に繋がっていくと思う。ロックTは育てるべきだね。