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5人のレッドウィングと、その味わい。
Great Variety of RED WING

5人のレッドウィングと、その味わい。

ブーツはただ履くだけではなく、自分だけの一足に育てるのも醍醐味のひとつです。〈レッドウィング〉のワークブーツもまさに、そうした成長を楽しみたいもの。靴に足を通し、たくさんの道を歩き、ようやく生まれてくる味わい。そこにアイテムの真価が現れるような気がします。では、このブランドの愛用者たちはどのようにブーツを履いて、どのようなエイジングを楽しんでいるのでしょうか? 5人のユーザーたちのブーツに込められたストーリーを通して、〈レッドウィング〉が抱く秘めたる魅力を探ります。

RED WING Lovers

迫村岳

神谷龍

高雄大善

東山貴広

石井陽介

RED WING Lovers
  • 迫村岳
    SUPERSOLE 6″ MOC
  • 神谷龍
    IRON RANGER
  • 高雄大善
    6″ CLASSIC MOC
  • 東山貴広
    IRON RANGER
  • 石井陽介
    CLASSIC CHELSEA

Style 01:Gaku Sakomura with SUPERSOLE 6″ MOC コーディネートにすっとなじみつつ、いい意味で主張もある。

PROFILE

迫村岳
BIOTOP ディレクター

地元大阪で「アダム エ ロペ」の販売員としてJUNに入社し、その後上京。31歳で「アダムエロペ」と「ビオトープ」のクリエイティブディレクターに就任。現在は「ビオトープ」のディレクター兼バイヤーとして活躍する一方、常務取締役としてJUNを牽引する。

ー「ビオトープ」では近年、〈レッドウィング〉の別注モデルをリリースするなど、ブランドとの関係性を深めていますよね。

迫村:〈レッドウィング〉といえば従来はアメカジのイメージがあったと思うんですが、新たな視点を加えるという意味で、モードなスタイルとの調和みたいなことを提案できないかとブランドの方々にご相談いただいたんです。ぼく自身もよく〈レッドウィング〉のブーツを履いていたんですよ。それでお声がけいただいて、別注の企画がスタートしたんです。

ーいつ頃から〈レッドウィング〉を履いていたんですか?

迫村:高校生の頃からずっと履いていますね。90年代の半ばとか、それくらい。

ー当時はアメカジ全盛の頃ですよね。

迫村:そうですね。でも、ぼくの場合は藤原ヒロシさんの影響が大きいです。雑誌で〈レッドウィング〉を履かれている姿を見て、自分も欲しいなと思ったんです。

ーいわゆるなアメカジ文脈ではなく、ストリートファッションの文脈で履きたいと思ったんですね。

迫村:そうですね。当時の〈レッドウィング〉といえば赤茶のモックトゥのアイリッシュセッターが人気でしたが、ぼくはヒロシさんに憧れていたので、スエードのプレーントゥを手に入れて履いていました。着こなしもヴィンテージを合わせるというよりは、〈グッドイナフ〉のスエットパンツとか、〈A.P.C.〉のスタンダードデニムとか、そうゆう合わせをしてましたね。

ー今日の着こなしも、その当時のムードを感じます。

迫村:そうかもしれないですね。いまの時期はTシャツにブルゾンを羽織って、ボトムはブラックデニムで引き締めるようなイメージがちょうどいいかなと。

ー「スーパーソール」がすごくなじんでますね。

迫村:実はスーパーソールっていままで履いたことなかったんですけど、いまになって気になりだして。何年か前から知人が履いているのを見る機会が増えて、合わせやすそうだなって思っていたんです。オールブラックの表革でコーディネートになじみやすいし、トゥの白いステッチがちょうどいいアクセントになっているところが気に入ってます。ボリューム感もちょうどいいし、自分で足元を上から眺めても、バランスがいいなぁって思いますね。

ーどのくらい履いているんですか?

迫村:手に入れたのは半年くらい前ですが、ぼくは毎日のように足元をコロコロ変えるタイプなので、トータルでは10回くらい履いた程度です。だけど、やっぱりレザーのクオリティがすごくよくて、品質管理を徹底しているんだろうなっていうのがすぐに分かるんです。履いていて足なじみのよさを強く感じるので。

ー他に〈レッドウィング〉の魅力を挙げるとすれば、どんなことが思いつきますか?

迫村:デザインがシンプルなんだけど、ちょうどいい主張があるんですよね。コーディネートにすっとなじみつつ、だけどいい意味で履いている感も出る。そのバランス感もすごく魅力的だなと思います。

ー〈レッドウィング〉といえば育てるのも醍醐味のひとつですが、この「スーパーソール」をどんな雰囲気にしていきたいですか?

迫村:いままで履いてきたスエードのブーツは最初に防水スプレーをかける程度でほとんど手入れをしてこなかったんですが、これに関しては表革なので定期的にメンテナンスをして艶っぽく履くのもいいなと思っています。鏡面まではいかないけど、ちょっとキレイにピカっとさせて履きたいですね。

SUPERSOLE 6″ MOC

「スーパーソール」といえば、軽くて耐久性に優れるソールが特徴。「はじめて足を通したときに、ビックリするくらい履き心地がいいと感じた」と迫村さん。「製法の効果なのか、すごく返りがよくて歩きやすいですね」と続ける。レザーも履けば履くほどに足の形になじみ、フィット感も増していったという。

SUPERSOLE 6″ MOC ¥34,760

レッドウィング社が1970年代に開発し、特許を取得した「スーパーソール製法」によってつくられた一足。グリップ力や耐摩耗性、クッション性に優れる発泡ウレタンのソールを使用し、従来のワークブーツとは異なるユニークなルックスも魅力的。アッパーにはブラック・クロームレザーを採用。力強さと色気が同居したモードなアイテムに仕上がっている。

Style 02:Ryu Kamiya with IRON RANGER ワークブーツの登竜門であり、アガりのブランドでもある。

PROFILE

神谷龍
ALONE デザイナー

セレクトショップやドメスティックブランドでの勤務を経て、自身の会社を設立。現在は様々なドメスティックブランドの企画やプランニングを手がけるほか、自身のブランドである〈アローン〉、〈スペクターファブリックコミュニケーション〉のデザイナーも務める。

ー今日乗っているのは、どんなバイクなんですか?

神谷:これは〈ランブレッタ〉というイタリアのスクーターなんですが、自分が尊敬するブランドの展示会で世界観を表現するために、十数年前に置いていたものらしく。それが巡りに巡って、自分のもとへやってきました。ぼくの前のオーナーたちが色々といじっていたのか、ペイントがされていたり、ハンドルが低い位置へカスタムされているのも気に入っていますね。

ーそうしたバイクと、ヒールがついた「アイアンレンジャー」の色気のあるシルエットがマッチしているように感じます。

神谷:そうかもしれないですね。このバイクはスクーターとはいえワンタッチでエンジンがつかないので、キックをしてスタートするんです。だからスニーカーだとちょっと不安があったりして、やっぱりタフなシューズじゃないと乗れないんです。〈レッドウィング〉だと思い切り蹴っても壊れる心配はないですし、安心ですよね。

ーそうなると、日頃からブーツの登場機会が多いですか?

神谷:すごく多いです。昔からブーツが好きで、一時期ワークブーツからは離れていた頃もあったんですけど、やっぱり年齢を重ねてからは歴史のあるブーツブランドのアイテムを改めて履きたいと思い、最近は好んで履いていますね。

ーいろんなブランドがある中で〈レッドウィング〉の魅力はどんなところにあると思いますか?

神谷:ワークブーツの登竜門的なブランドであり、アガりのブランドでもあると思います。もっとコテコテなワークブーツにも傾倒していた時期もあったんですけど、デザインやディテールにトゥーマッチな部分を感じて、もっと要素を削ぎ落としたシンプルなブーツのほうが、自分が憧れるリアルなスタイルを感じられるようになったんですよ。そのときに〈レッドウィング〉のちょうど良さに気づいたんです。それ以来、ずっとこのブランドのブーツを履くことが多くなりました。

ー「アイアンレンジャー」はどれくらい履いているんですか?

神谷:履きはじめて1年経たないくらいですね。もともとはエンジニアブーツとかをよく履いていたんですが、もっとライトなブーツが欲しくて手に入れました。そういうハードなブーツを履いていたからか、「アイアンレンジャー」はもっと軽い気持ちで履けるのがいいんです。あとはクッションソールよりもヒールのソールというのも気に入っています。その見た目と履きやすさのバランスが好きですね。

ーワークブーツではあるんだけど、ちょっとドレスっぽさも感じるというか。

神谷:そうなんです。きれいめに履けるというか。

ーケアはしていますか?

神谷:アッパーに関してはあまりケアしていないですね。レザーの質感が乾いてきたらちょっとオイルを塗って保湿するくらい。ラフに履けるのもワークブーツの魅力だと思うので。そうやってハードな扱い方をしながら育てるのも好きで、この「アイアンレンジャー」もトゥの部分がすこし削れたりしているんですけど、そういったところに愛着が湧いてきます。

ー神谷さんならではのエイジングですね。

神谷:そうですね。きっとバイクに乗っているからだと思うんですけど、こうやって自分らしい一足になっていくのもブーツの魅力だと思います。自分でいうのも変ですが、すごく漢らしいブーツに育っているなと(笑)。

ーコーディネートで意識したことはありますか?

神谷:バイクに乗りながらだとこの時期でも上着一枚じゃ寒いんです。なのでレザーの上にベストを重ねました。70年代のものかなと思うのですが、転写プリントされているのが珍しくて気に入っていますね。自分は大昔に古着屋で働いていたこともあるので、コーディネートのどこかに古着やヴィンテージを混ぜていることが多いかもしれません。

IRON RANGER

甲のシワやトゥの傷がハードな使用を連想させる神谷さんの「アイアンレンジャー」。「エンジンオイルやバッテリー液がこぼれてシミになったりとかするんですけど、それによっていい表情になりました」と神谷さんもうれしそうに語る。バイク乗りならではの佇まいが〈レッドウィング〉のタフなつくりを際立たせている。

IRON RANGER ¥50,710

レッドウィング社の拠点であるアメリカ・ミネソタ州の北部にある鉱山地域「アイアンレンジ」で働く鉱夫達が名前の由来。つま先を保護するためのキャップドトゥのブーツを現代的にリファインし、ゆったりとした設計で履きやすく設計。レザーは肌目を活かしたブラックのオイルドを採用。ラウンドトゥとヒールソールの組み合わせが、どこかドレスなムードを醸し出す。

Style 03:Hiroyoshi Takao with 6″ CLASSIC MOC こうしたアイテムこそ長く履いて愛さなければいけない。

PROFILE

高雄大善
LEAD オーナー

大学在学中から古着屋で働き、地元広島ではもちろん、神戸や東京でもスタッフとして勤務しながら知識を深める。2018年、広島に古着店「LEAD」をオープン。“伝統と革新”をテーマにしたお店づくりを行っている。

ー高雄さんはスニーカー好きとしてメディアにも登場されていますが、〈レッドウィング〉はこれまでに履いてこられたんですか?

高雄:もちろんです。はじめて履いたのはスエードのエンジニアブーツでした。古着にハマってクラシックなシューズを知る中で、やっぱり〈レッドウィング〉も避けては通れなかったんです。それで自分で欲しいとリクエストをして、祖母に買ってもらいましたね。それが18歳くらいの頃。20歳で成人を迎えたときには父が「ポストマン」をプレゼントしてくれて履いていました。

ーそうして家族からプレゼントされると、より愛着が湧きそうですね。

高雄:そうなんです。自分にとって〈レッドウィング〉は縁を感じながら履くブーツだと思っています。今日履いている「クラシック モック」は友人をきっかけにこのカラーの存在を知って手に入れたものです。まだ間もないですが大切に履きたいと思っていますね。

ーブーツもスニーカーも革靴も、これまでにさまざまなシューズを履いてこられたと思うのですが、〈レッドウィング〉を履くときはどんな気分のときですか?

高雄:ぼくは基本的にコーディネートに合わせて靴を決めていて、ちょっときれいめな格好に武骨な要素を加えたいときに〈レッドウィング〉のブーツを合わせています。今日の「クラシック モック」はピンクがかった色味が気に入っていて、春らしさと色気がスタイリングにプラスされるイメージで履いてみました。ワークパンツにエンジニアブーツを合わせるといかにもな雰囲気になってしまいますが、このブーツの色がちょっとした抜けの要素になってくれていると思います。そうやってバランスを見ていますね。

ーピンクの〈レッドウィング〉ってなんだか新鮮です。でも、トーンが淡いから、光の当たり具合によっていろんな表情を見せてくれますね。

高雄:そこが気に入っているポイントですね。コーディネートを組むときに、ぼくは全体のトーンバランスを調和させたいんです。ここに黒いブーツを履いたらコントラストが強くなってしまうけど、この色で、しかもスエードだからすごくなじんでくれるので。

ー時計の色と合わせているのも見事だなと思いました。

高雄:時計は独立して1年の節目に購入したもので、色がばっちり合いました。

ーまだ履いてから間もないとのことですが、これからどのように育てたいですか?

高雄:〈レッドウィング〉ってタフに履いて汚すのがかっこいいのかもしれないけど、このピンクのスエードに関してはあえてきれいに履きたいと思っています。ベージュのスエードならあまり手入れはしないんですが、これに関してはこまめにブラッシングとかしているんですよ。「あんまり履いてないの?」ってよく言われるんですけど、じつはちゃんとケアをしていて。

ーそうして履くことで品のあるブーツに育ちそうですね。

高雄:品があって味のあるブーツになってくれたらうれしいですね。一見するときれいなんだけど、よく見るとレザーの味がしっかり出ているみたいな。なので今後も丁寧に履きながら、長く育てる予定です。ぼくは古着を生業にしているからこそ、いつでも買えるものって後回しにしがちだったんですが、ここ最近〈レッドウィング〉を履くようになって、こうしたアイテムこそ長く履いて愛さなければいけないなと強く感じていますね。自ら育てたものに勝るものはないと思うので。

6″ CLASSIC MOC

丁寧に履きながら1ヶ月ほど育てた「クラシック モック」。程よく入った履きシワが表情に奥行きを加えている。「正直、足がなじむまでに時間がかかるかな? と思ったんですが、ぼくの杞憂に終わりました」とのこと。いまではすごく履きやすくなっているそう。「このクオリティで、なおかつアメリカ生産で、しかもこのプライスで出せるというのは、偉大なことだなと思います」と熱量を込めて語る。

6″ CLASSIC MOC ¥45,870

ワークやハンティングをルーツとする〈レッドウィング〉の代表的なアイテム。足先の自由度が高いモックトゥや、どんな場所でも歩きやすくて長時間履いても疲れにくいトラクショントレッド・ソールが特徴。アッパーにはダスティローズ・アビリーンのラフアウトレザーを採用し、淡いトーンのピンクカラーがさまざまな装いにフィットしながら足元に華を添てくれる。

Style 04:Takahiro Higashiyama with IRON RANGER ソールカスタムにより、見た目も履き心地も理想的な一足に。

PROFILE

東山貴広
オフィス東山 代表

「ビームス」のショップスタッフとして勤務したのち、広告会社に転職。2021年に独立して自身の会社である「OFFICE HIGASHIYAMA」を設立。現在はアパレルを中心にさまざまなブランドのクリエイティブやコミュニケーションの分野でプロデュースを行っている。

ー東山さんと〈レッドウィング〉のつながりを教えてください。

東山:高校生の頃から履いていて、はじめて手に入れたのはサイドゴアブーツだったんです。その後に「スーパーソール」や「アイリッシュセッター」も購入しましたね。

ー1足目にサイドゴアブーツをチョイスするのは珍しい選択ですよね。

東山:当時はデルカジというのが流行っていて、きれいめなファッションが好きだったんです(笑)。サイドゴアブーツにホワイトジーンズやブラックジーンズを合わせていましたね。あとはアウトドア系の服も好きだったので、とくにアメリカのブランドのアイテムはよく着ていました。そうしたスタイルにも〈レッドウィング〉のブーツがフィットしたんです。

ーその後もコンスタントに履き続けるんですか?

東山:そうですね。「ビームス」で働いていた頃も〈レッドウィング〉を扱っていたので、別注企画のレアなブーツも持っています。だからずっと身近なブランドなんですよ。

ーそしてここ最近もよく履かれていると。

東山:ここ数年で再び盛り上がりを感じますね。そもそも〈レッドウィング〉ってブレないブランドだと思うんです。いまだにアメリカ生産でしっかりとクオリティをキープし続けていますからね。いいものは長く愛せるし、そうした魅力に若い子たちが気づいて、彼らの感度で自由に着こなしている。そうした光景を見て自分も感化されるし、新鮮さを取り戻したというのもありますね。

ー今日は「アイアンレンジャー」を履かれていますが、ソールがヒールタイプではなくてトラクショントレッドソールにカスタムされてますね。

東山:もともと武骨な印象があって履いていないモデルだったんですが、〈レッドウィング〉のスタッフの方に勧められて試したら、意外としっくりきたんです。そのときにトラクショントレッドソールに変えてみたら現代的に生まれ変わるイメージが湧いたので、思い切ってカスタムしてみました。いざやってみると、思い通りのものができて満足してますね。ルックスが自分好みになったのもそうだし、履き心地もすごくよくなったので。

ーそうしたカスタマイズのサービスも〈レッドウィング〉はオフィシャルでやっているんですよね。

東山:それもブランドの魅力のひとつですよね。ソールはどうしても消耗してしまうし、こうして張り替えることで愛着のあるものを長く履き続けられますから。

ー履きはじめてどれくらいですか?

東山:去年の暮れに手に入れて、週に2~3回のペースで履いています。まったく手入れはしてないけど、なんとなく表情は変わってきたように思います。履きはじめに比べてレザーもだいぶ柔らかくなりました。フィット感がすごく増していますね。

ーコーディネートはどんなことを意識しましたか?

東山:上下ともに〈ノンネイティブ〉のアイテムでコーディネートしました。いわゆるな往年系のアメカジスタイルよりは、スラックスとかイージーパンツで合わせるのがいまの気分なんです。デザイナーの藤井くんはスニーカーや革靴、ブーツなど、いろんな靴を履いていて、そこで得られたデータをパンツのシルエットに落とし込んでいる。最近は〈レッドウィング〉の別注モデルの監修もやっていたし、それもあってか、彼のつくる服とこのブーツは相性がいい。すごくナチュラルに見えるけど、裾幅とか丈感がしっかり計算されているからきれいなシルエットが出るんです。だからいつもこの組み合わせですね。

IRON RANGER

履き込んだことによってスエードの毛羽が引き立ち、味わい深い表情へと移り変わろうとしている東山さんの「アイアンレンジャー」。「きれいな状態はちょっと恥ずかしいので、ガシガシ履いてどんどん汚していきたい」と東山さん。「履きジワとかもっとつけたいし、ソールも汚れてもっと黒くなっていったらカッコよくなりそうですよね」と、自身のブーツを眺めながら優しい表情で語る。

IRON RANGER ¥50,710

ベージュカラーのスエードを使用した「アイアンレンジャー」。オイルを含ませたラフアウトレザーはドライタンのスエードに加えて色が濃いのが特徴。それによる深みのある色合いとスエードの毛並みが落ち着いたムードをまとわせている。木型はラウンドトゥタイプのブーツに幅広く使われる8番ラストを使用し、さまざまなパンツにフィットするシルエットになっている。

Style 05:Yosuke Ishii with CLASSIC CHELSEA レッドウィングはワークブーツ。ラフに履くくらいがちょうどいい。

PROFILE

石井陽介
フイナム編集長

アパレル、出版社での編集を経て2016年にフイナム編集部に参画。現在は編集長を務め、ヒップな記事制作のために脳内をフル回転させながら媒体を運営している。釣りが趣味。

ー石井さんは普段から自転車に乗ることが多いと聞きました。

石井:自転車って小まわりが効くから、自分のワークスタイルに合っているんです。自宅から編集部に出勤するときもそうだし、展示会や打ち合わせに向かうときもそう。仕事でまわるところのほとんどは編集部から自転車で20分圏内なので、バスや電車に乗るよりも効率が良いんですよ。

ー自転車に乗るときに、シューズは気にしますか?

石井:あまり気にしませんが、強いて言うならペダルがギザギザしているので、レザーソールは避けるようにしています。そういういった意味では、〈レッドウィング〉のトラクショントレッドソールは相性がすごくいいんです。アウトソールがフラットだから安定感があるし、強く踏み込むこともできる。頑強なつくりなので足元も安全ですし。そう思うと意外と自転車向きかもしれませんね。

ー今日は「クラシック チェルシー」を履かれていますね。

石井:このモデルは3年前に発売されて、その時期に手に入れたものです。ぼくはシューレースがない靴が好みで、過去には〈レッドウィング〉のペコスブーツをよく履いていました。この「クラシック チェルシー」も、どこかペコスっぽい雰囲気を感じる。スタイルこそイギリス由来のチェルシーブーツですが、肉厚なスエードや、太番手で処理した武骨なコバ、それにおなじみのソールなど、つくりは〈レッドウィング〉らしいワークブーツのこなしになっていますよね。そのハイブリッドなデザインに面白みを感じたんです。

ーシューレースがない靴を好んで履くのはどうしてなんですか?

石井:無精者なので単純に靴紐を結んだり解いたりするのがメンドーなのと(笑)、シューレースがないと見た目もシンプルだし合わせやすいじゃないですか。ぼくは柄モノのパンツを履くことが多いので、コーディネート的にバランスが取りやすいんです。

ー3年前に手に入れたということで、かっこよくエイジングされていますね。

石井:シーンやシチュエーションは特に意識せずに履いています。それこそキャンプ場での撮影や釣りにも普通に履いて行きますし。足首がしっかりとホールドされるので、ちょっとしたアウトドアフィールドなら問題なく対応してくれますね。多少の雨であれば水が侵入してくることもないし、すごく頼もしいです。

ーケアはされていますか?

石井:まったくしていません。ドレスシューズとか、そういったものはケアするようにしていますが、〈レッドウィング〉はあくまでもワークブーツとして割り切っています。むしろ汚れているくらいの方が面構えも引き締まってかっこいい。個人的にはラフに履くくらいがちょうどいいなと思っています。

ー今日のコーディネートはどんなことを考えたんですか?

石井:〈レッドウィング〉を軸にカバーオールとワークシャツを合わせて、ワークテイストを打ち出してみました。ただ、どストレートなワークスタイルでは物足りないので、トラックパンツとアクセサリー、それと色使いで自分らしいスタイルに持っていってます。コーディネイトの柱になるテーマをひとつ決めて、そこに異なるテイストを味付け程度にプラスしていくイメージです。

ー色使いも春らしくていいですね。

石井:色はなるべく3色くらいにまとめるようにしています。今日の場合はオフホワイトとベージュ、そして差し色としてのパープルですね。トップスのオフホワイトとベージュの色合わせは、ブーツのアッパーとソールの配色を意識したもの。それとブーツのコバの色を、ヌメ革のネックレスで拾ってみました。パンツのパープルも落ち着いた色味だし、サイドラインもオフホワイトなのでうまく調和したと思います。

CLASSIC CHELSEA

3年間ラフに履き続けたことで武骨なエイジングが現れた石井さんの「クラシック チェルシー」。「ベージュのスエードが汚れた感じがぼくは好きで、理想に近い一足になっています」と石井さん。毛羽立ったスエードの表情や、履きジワ、ところどころについたまだらな黒ずみがブーツに深い奥行きを与えている。「革も自分の足にかなりなじんでいます。履き心地も最高です」とのこと。

CLASSIC CHELSEA ¥43,450

靴の側面に配置されたゴア(ゴム布)によって着脱がスムーズになり、足首にしっかりとフィットして泥などの侵入を防いでくれる「クラシック チェルシー」。中底にはスーパーソールで定評のある、クッション性の高いポロン素材を採用し、履き心地と快適さをプラス。アッパーはオイルを含ませたラフアウトレザーを使用。深みのある色合いになっているのも魅力的。
INFORMATION

RED WING JAPAN

電話:03-5791-3280

Instagram:@redwingheritage_jp
redwingheritage.jp/

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