フォーマルっていう言葉の意味を捉え直してもいいんじゃないか。

BOUTIQUE × HOUYHNHNM Made by ’47 the formal CAP ¥8,580
ーそしてもうひとつ。金子さんが愛用する〈フォーティーセブン(’47)〉のキャップに、“the formal”という刺繍を加えたアイテムもつくりました。
金子: キャップというリクエストもいただいて、なにがいいかなって考えたんですよ。それでシャツの方向性がある程度固まってきたときに、“the formal”という言葉が浮かんできました。ジョークといえばジョークなんだけど、シャツの仕立てはすごくフォーマルですよね。そうゆうファッション的な考え方って、ある意味ぼくがずっと追求していることだよなぁと思いながら。
ーシャツのつくりはあくまで道具を意識しているけど、その根本にあるのはやっぱりファッションなんですよね。
金子: いまはフォーマルだからといって、肩パットや毛芯が入ったスーツを着なくてもいい時代になってますよね。その言葉の意味を現代的に解釈したら、もうちょっと広く捉えることができるんじゃないかなとふと思いついたんですよ。たとえばぼくが履いているレザーのスニーカーも、革靴と捉えていいかもしれないし、スラックスはシルク混の生地でカジュアルな仕立てになっている。そうゆう遊びがあってもいいんじゃないかなと思ったんです。いまはこの格好でいいホテルに行けちゃう時代なので、フォーマルっていう言葉の意味を捉え直してもいいんじゃないかなって。

ーたしかに、時代によってフォーマルの意味合いも変わってくるのかもしれないですね。
金子: カジュアル派生のフォーマルというか、その考え方が浸透したらおもしろいですよね。レザーのスニーカーをあえてサフィールのクリームで磨いてみたりとかしてもいいですし。
ーそうゆう考え方は『フイナム』で提唱している“HIP”という言葉とも通じるような気がします。
金子: むかしのアメ車の広告にも“the formal”という言葉が使われていたりして、ネイティブにもそういう発想があるんです。だからあながち間違ってもいないんですよね。今後もこういう考え方でものづくりができたらおもしろいなぁと思いました。5ポケットのジーンズにクリースを入れてスラックスっぽく穿いたりとか。

ー着こなし方の解釈も広がりそうですよね。
金子: そうですね。今回のシャツに関しては超王道的なボトム、〈リーバイス®〉の501®とか、普通のチノと合わせたいなと思いました。逆にスラックスとかを合わせるなら、腕に「G-SHOCK」をつけたりとか、そうゆう遊びを加える余白があると思うんですよ。
ーその余白というのは、カジュアルなのにドレスという振り幅の広さがもたらすものなのでしょうか。
金子: そうかもしれないですね。スラックスならシャツの上からスエットを肩がけしたりとか、ジーパンならイギリス製のケーブルニットにするのもいいかもしれない。カジュアルも、トラッドも、ドレスも。いろんなシーンで使えると思います。この振れ幅がやっぱり魅力的ですよね。