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断絶と融合。森山未來が突き進む“未来”。
This is ADAM ET ROPÉ JEANS.

断絶と融合。森山未來が突き進む“未来”。

この春登場する〈アダム エ ロペ(ADAM ET ROPÉ)〉の新ラインは、時代のミューズに愛されてきたジーンズにモードのエッセンスを加えた服。服をまとうことによって自らの身体がどのように動かされるのか…今回は、そんな実験的アプローチのもと、森山未來が「アダム エ ロぺ ジーンズ(ADAM ET ROPÉ JEANS)」とともに舞い、踊る。

  • Photo_Tatsuki Nakata
  • Styling_Hiroki Matsui
  • Hair & Make-up_Motoko Suga(Hoshino Office)
  • Text_Akiko Maeda
  • Edit_Naoya Tsuneshige

国内で文化を醸し、味わいを深める。
アフターコロナの未来図。

―俳優やダンサーとして演じる際にも衣裳は重要な役割を担っていると思いますが、どんな部分にこだわりを持っていますか?

森山: 今日の撮影に関しては、ぼくの身体は素材であくまでデニムをフィーチャーすることがコンセプトでしたが、舞台や映像の現場において衣装を解釈していく時には、僕は僕なりにビジュアルについて考えることがあるし、監督や演出家、衣裳さんはそれぞれに考えることがあるので、お互いの物語を掛け合わせていくことで面白いものが生まれるという考えが大前提としてあります。

作品に関わるみんなの意見によってレイヤーが生まれていく。ビジュアルが作品中の場面や状況にどのように組み込まれていくのかを突き詰めていくなかで、物語に深みが生まれるんですよね。

映像だと寄り引きのアングルでいろいろ見せることになりますけど、舞台の場合は基本的には引き画として見せることが多いです。それぞれの枠組みで何を見せるかがその都度変わるなかで、作品のコンセプトに対して衣裳や身体がどのように見えるべきかはつねに考えています。

―今回の撮影は静止画でしたが、後ろ姿であってもその前後の流れが垣間見えるというか…まるで森山さんに語りかけられているような感覚になりました。

森山: ありがとうございます。それはうまくセッションができたということですね(笑)。

―先ほどもお話したように、今回のアイテムは製造工程で発生した廃材をブレンドした素材を使用しているのですが、森山さんが長年大切にしているアイテムはありますか?

森山: ものというのは一旦手にすると愛着がわきます。そして自分のなかで馴染みはじめたものは10年、20年と使い続けます。服って長年着ていると高校生の制服みたいにツヤツヤになってくるじゃないですか(笑)。そんな状態になっても気にせず使い続けているものもあります。

―使い続けていく決め手は着心地ですか?

森山: もちろん使い勝手とかデザイン性とかそういうのもありますけど、自分が生活したり旅したりするなかで、その“もの”自体が自分を構成する要素のひとつになっていて、着心地うんぬんを超えて一緒に過ごした時間も含めて大切にしたい、という想いが生まれます。

ただ、もの持ちがいいという割にしょっちゅうものをなくすんですよ(笑)。海外だったらクレジットカードとパスポートだけは死守する、みたいな絶対に気をつけなければならないことはもちろんあるんですけど。

どうしてもなくなるときはなくなるし、そのときはもうお別れのときだったんだなと思ってスパッと諦めます。ある意味でものに対しても、“これじゃなきゃダメだ” “こうじゃなきゃダメだ”っていう執着心をなくすことで、表現できる側面もあるというか。こだわりを捨てるっていう“こだわり“。なんか、やっぱりこだわりまくってますね(笑)。

―最後に、今後についてのお話を少しうかがいます。これからの活動についてのビジョンのようなものがあれば教えてください。

森山: ここ15年くらい海外のクリエイター、アーティスト、作家さんと関わりながら作品づくりをしていることが多くて、海外で何かをやるというイメージを持ちながらやってきた部分はあるし、もちろんいまもその感覚は続いています。

ただ、コロナのタイミングで物理的に国外に出られない環境になったことによって得たものも自分のなかには確かにあった気がしています。外との交流によって新しく花が咲く文化もあれば、外との交流を断絶したことによって円熟する文化もあると思うので。日本でいうと国風文化や江戸文化のような。

―鎖国のあとの江戸文化では、歌舞伎や浄瑠璃、浮世絵などの日本独自の文化が生まれましたね。また、コロナ禍にはデジタル化やAIの進化など芸術文化的に見ても大きな変化がありました。そのなかで森山さんご自身はどのように表現をしていこうと考えるようになりましたか?

森山: 外に出ることが難しい状況下で、日本の重要な文化である“醸す”にすごく意識が向いた瞬間がありました。それこそ日本では自分たちのことを何かと“ガラパゴス”と言いがちで、それに対してネガティブなニュアンスで語られることが多いですけど、それは本当にダメなことなのか…。逆にいうと、いまのグローバリゼーションの波のなかで世界中の物事が全部混ざり合って均一化していくことは文化にとって本当にいいことなのか…。

ツーリズムに関しても、国が外貨獲得のために観光大国を大々的に打ち出している反面、過剰に流入してくる観光客やその対応によって破壊されている文化が確実にある。だからコロナ禍を経て、ローカリゼーションというものをどう捉えて、それをどうやって外に打ち出していくのかを考えるのは非常に重要だと思っています。

いまは外に発信することが以前よりは容易な世界なので、海外に出なきゃ何もできないという考え方ではなくて、“国内で腰を据えて何かをつくる”ということ自体が外に対してのインタラクションになるようなものづくりをしていきたい。そして、それを方法論的にどうやって行動に移すか、これからいろいろ探りつつやっていきたいなと思っています。

―コロナ禍からトランプ時代と社会は大きな変化を迎えていますが、森山さんにとっても転換のタイミングになりそうですね。

森山: 上で話しているような活動を展開していくならば、正直なところ文化に関わる範囲のひとたちとだけでは語り切れない部分があり、クリエイター以外にもいろいろなひとたちと関わることが必要不可欠になってくるでしょう。経済や行政、まわりを巻き込みながらどういう風に歩いていけるかを考えながら、着実に積み重ねていきたいと思います。

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