魚が何を求めているのか。その謎解きをするのが楽しい。
川に入ってから30分ほど経過しましたが、どうやらあまり場所がよくない様子。ということで、スポットを変更します。

新たなスポットに到着して先に川に入ったのは渓亮さん。水面をよく眺めてみると、アマゴと呼ばれる魚が2尾泳いでいるのが見えました。
「ここは川の流れがゆっくりなので、魚に対して上流のほうに立って、下流に向けてキャスティングします。そうすると魚が騙されやすくなるんです。流速の遅い川で下流に立って、上流に向けてキャスティングしてしまうと、魚が毛鉤を眺める時間が長くなってしまって、偽物だってバレちゃうんですよ」(渓亮)


そんな話をしていた矢先、流れる毛鉤が魚に吸い込まれ、見事にアマゴを釣り上げました。川に入ってものの数分で釣果をあげる渓亮さん。さすがプロです。

「作戦が功を奏しましたね。たまたま大きなサイズの毛鉤をつけて投げてみたんですけど、結果的にそれも正解だったようです。ストマックポンプで胃の中を調べたら、蜻蛉(かげろう)っていう虫を食べていたので、大きさがちょうどマッチしました」(渓亮)



この展開に黙っていられないのが友大郎さんです。先ほど見えたもう1尾のアマゴを狙います。渓亮さんが話していたように、友大郎さんも魚に対して川の上流に立ち、下流に向かってキャスティングします。



何度かキャスティングをしながら数分が経つと、やっぱり友大郎さんの竿にもヒットが。見事にアマゴを釣り上げました。短い時間でも釣る技術はさすがのひと言。

「本当に魚に対する立ち位置って大事なんですよね。毛鉤が合ってても立ち位置が悪いと釣れなくなるので。どの毛鉤をセットするかは、魚がどんなライズの仕方をしているかでなんとなく分かる。水の弾け方や口の開け方をよく観察するんです。そうやって眺めながら、魚の気持ちになってみる。あとは自然を理解しなきゃいけないし、寒くなった、暑くなった、風が吹いてきたとか、環境の変化にも敏感になる必要があります。魚が何を求めているのか。五感をフルに活用しながら謎解きをするのが本当に楽しいんです」(友大郎)
