Case03_古橋尚樹さん 歴史に残るのは、高いクオリティだけじゃない。

PROFILE
「ベルベルジン」の手がける、古着の量り売り店「Straight From L.A. Powerd By
BerBerJin」の店長。「ベルベルジン」に入社後、ショップスタッフやバイヤーなどを歴任し、今年オープンした同店の店長を務める。
Instagram:@berberjin_naoki


ー店長を務めている「Straight From L.A.Powerd By BerBerJin」は、どんなお店か教えてください。
ベルベルジンの系列店の量り売りの古着屋です。いま世の中では古着ブームと言われていて、古着の価格が高いものでは100万円アップもザラで、若い人たちにとっては気軽に手に取れるファッションアイテムとして楽しみづらいと感じています。そんな風潮のなかで、おもしろいことができないかと考えてできたのがこのお店で、比較的新しい古着から50、60年代の古着まで幅広く揃えています。
ー古橋さんはそもそも何をきっかけに古着に目覚めたんですか?
デニムとかにヴィンテージ的な価値を見出したというよりも、ファッション的な興味が先かもしれません。周りにおしゃれ好きな友達が多いなかで、あまり人とかぶりたくなくて古着に着目していくうちに、50、60年代のシャツが好きになりました。この年代のシャツは、男らしいボックスシルエットが多いんです。

ー自身のスタイリングで、古着と新品をミックスするときに意識していることはありますか?
ぼく個人の意見ですが、古着だけだとどうしてもコスプレになってしまう感覚があるし、古着と新品を掛け合わせることがリアルな説得力が出てくると思っています。でも、それが自分の中の背景やカルチャー由来でないとハリボテだと思っていて、例えばぼくは学生時代からスケートボードをしているからこそ、そのあたりのストリートブランドを掛け合わせたりとか。そうやって、自分のライフスタイルにも通じるようなファッションを提示していくことを意識しています。


TONGUE(EYELET)¥26,400
ー古橋さんは〈ワイルドスワンズ〉の財布とウォレットチェーン、ベルトを使っていますよね。魅力を教えてください。
まず財布ですが、特徴的なのが、この角を取った丸コバ処理だなと。耐久性を高めるための仕様だと思いますが、この形、デザインがすごくかわいい。あとぼくはバックポケットに財布を入れることが多いんですが、通常の財布だと使っているうちに角がどんどん折り曲がってしまいます。でも、触ってみるとわかるんですけど、この財布は皮が硬くて、なおかつツヤが出ています。古着もそうですが、これくらいクオリティにこだわっているものは、探そうと思ってもなかなか見つかりません。あったとしても値段が張ってしまうはずですが、〈ワイルドスワンズ〉は手が届くお値段というのがいいなと。長年使えるクオリティだし、経年変化も楽しみな財布です。
ー使い勝手はどうですか?
スナップボタンのはめ心地がバチっとしっかりしていて気持ちいいんです。これも狙っているんですか?
ーそうだと聞いています。ブランドとしては、開け閉めする際のバチっとボタンが収まるその気持ちよさを味わってもらい、愛着を持ってほしいと。〈ワイルドスワンズ〉としては「長い歴史のなかでは、もの自体のクオリティが高くても、愛着が湧くような魅力がどこかなければ最終的には残っていかない」というのがその考え。その個性のひとつとして、スナップボタンも特注して使用しているんです。

FULL GRAIN BRIDLE/COLYTON ¥33,000

WALLET CHAIN ¥132,000
ーウォレットチェーンも同じで、ステンレス製だそうです。一般的にウォレットチェーンの最高峰と言えば…。
やはりシルバーですよね。
ーそうですよね。ただしシルバーはもろいのが欠点なので、すごく加工が大変だけど、硬いステンレスを使ったそうです。ベルトもレザーという素材をダイレクトに味わってもらいつつもお直しがしやすい縫製にするなど、こだわりがいっぱいだと聞いています。
このウォレットチェーンもベルトも使っていてすごくいいです。ヴィンテージもの、ブランドものもそうですが、高いもの=いいものというわけではないと思うんです。ぼくがものを選ぶ際に意識しているのは飽きがこないかということ。10年単位で使っていく上で、耐久性がいくらよくても飽きてしまったら終わりです。ではそのためには、同じようなもののなかで、こういう丸みのある形やスナップボタンなど、他とちがうところがあるかどうかが大切だと思います。
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TONGUE ¥25,300