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「仕事部屋」から「東京の仕事場」へ。 写真家、平野太呂のインテリア観とは。
2011.12.23

フイナムマガジン上で連載していた、クリエイターのアトリエを巡る連載企画「仕事部屋」が、この度装いも新たに『東京の仕事場』(マガジンハウス刊)として発売されました。というわけで、この連載にかける思い、心境などを早速伺ってきました。ちなみに本書の中では、写真の他に平野太呂氏自身がそれぞれのクリエイターに対しての思いを書き記しています。今回のインタビューはそちらと合わせて読んでいただけると、倍楽しめるのではないでしょうか。
Photos_Takeshi Abe
Edit_Ryo Komuta
―まず、見本誌を見てみて、素直な感想を教えてください。
平野:この写真集は、色校を二回も出したし、プリンティングディレクターも付いてくれたし、まずは印刷がどういう風になったかな?というのが最初に気になりました。あとは、この伝票?(短冊)が入ってるのを見て、あぁちゃんと商品になったんだなっていう。一般の世の中に出ていくんだな、売れるかなと思いましたね。
―なるほど。そこはリアルな感じですね(笑)。それではググッとさかのぼって、最初の話を伺いますが、この連載の話がきたときに、どんなものにしたいとイメージしたんでしょうか?
平野:最初のオファーは、インテリアの連載をお願いしたい、そしてまとまったら本にしたいということだったので、フイナムはWEBマガジンなんだけど、ネガで撮ってプリントで渡そうと思いました。あと、ちょうど久家さん(久家靖秀氏)の『アトリエ』という本が出ていた時期だったので、同じことはできないなと。人選とか部屋を選ぶときに、違う感じにしないとな、とは思いました。
―人選についてはどのように決めていったんですか?
平野:僕らしい人、僕が何か思いを持っている人、ですね。決してかっこいい部屋があるから行くというのではなく。その思いは回を重ねるごとに強くなっていきました。それで、最後本にするという時に全員分の文章を書いたわけなんですけど、そういった人選をしてなければ、書けなかったと思いますね。僕はインテリアの評論家ではないので、部屋についてつらつら書けることはないですし。僕との関わりがなかったら書けませんでした。
―今回の連載において「部屋」を撮るときに心がけていたこととは?
平野:本人は気づいてないんだけど、これは面白いんじゃないか?という部分は、必ず撮っているような気がしますね。本人が意図的にレイアウトして、きれいに飾っているところも勿論撮っているんだけど、そういうところ以外が撮れたな、というときは嬉しいですね。無作為のインテリアというか。何らかの状況でこうなってしまっているインテリアに惹かれるんですよね。自然とその人が出てしまっているようなところを探してしまうんです。それは結局、僕の癖みたいなものなのかもしれませんが。

―この連載以外でもインテリアの仕事をやっていると思いますが、気持ち的に違いはありますか?
平野:インテリアを撮る時はだいたい同じようなテンションで撮ってますね。他の仕事でインテリアを撮っていても、これ「仕事部屋」というタイトルが付いてないだけで、同じだな、というか。もちろん「仕事部屋」の方が自由なんですが。
―平野さんが、この部屋かっこいいなとか、真似したいなと思った部屋はありますか?
平野:まぁ、この本に出てくる部屋に関しては、真似できない、というのが一番いいところでもありますし、その人にしかできないところを撮っているつもりなので。単純な真似はできるかもしれないけど、全体的な雰囲気までは真似できないというか。なので、インテリアの参考書としては、あまり合格点ではないかもしれませんね。
―確かにそういう類の本ではありませんね。
平野:でも、この連載の話をもらって一番最初に頭に浮かんだのは、小暮さんのアトリエでしたね。なので、小暮さんのアトリエありきでこの連載は始まったという気はしてます。こないだまた行く機会があって、正直まだまだ撮れるところあるな、って思いました。
―逆にこれ以上撮れないし、手強かったなという部屋はありますか?
平野:うーん。クボタさんのところですかね。本当にミニマムな部屋だし、これ以上はたぶん難しいかもしれないです。
―あとは何人かいるかとは思うんですが、撮りたかったけど、だめだった人はいますか?
平野:たくさんいるとは思いますよ。そういえば、DUNEの林さんにもオファーしていたこともありましたね。残念でした。。
―続編の可能性も??
平野:そうですね。今回は古賀君のところを除いては「東京」の仕事場なんで、まだまだ日本全国、海外まで足を伸ばせば、それこそたくさんありますね。
今後にも期待してます。今日はありがとうございました!