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『続・日々の100』刊行記念。松浦弥太郎の愛用品について、改めて。
2011.12.16

『暮らしの手帖』の編集長、書店主、文筆家と様々な顔をもつ、松浦弥太郎氏。自身の100の愛用品を集めた書籍『日々の100』が2009年に刊行され、その類い希なる審美眼が、多くの人の耳目を集めました。続編となる『続・日々の100』が発売されたこのタイミングで、皆が気になる氏の生活様式や、くらしの中での規範などを、本の内容と織り交ぜて、伺ってきました。
Photos_Shota Matsumoto
Edit_Ryo Komuta
―最新刊の発売、おめでとうございます。松浦さんの最近の仕事のバランスについて教えて下さい。
松浦:仕事の9割が、暮らしの手帖です。残りの5%が執筆、5%がCOWBOOKS、そんな具合ですね。今回の本も、文章を書いて、写真を撮ってという作業をすべて自分でやっているので、1年半くらいかかりました。
―アイテムはどのようにして選んでいるんですか?
松浦:自分の身の回りにあるもので、物語とか思い入れがそこまであるものって、パッとは見つからないんです。なので、仕事をしたり、普段の生活を送るなかで、気づいていくことが多いですね。最近は、1日の中で、何もしない時間を作るように努力していて。そうすると、色々なことが思い浮かぶんです。
―最終的に100集まったときに、どこの国のものとか、アイテムの種類などを意識的に選り分けているんですか?
松浦:いや。そんな余裕はないですね(笑)。やっぱり一人の人間が持っているものなんて、限られているので。
―文章も写真もご自分で手がけられているかと思うんですが、今回は写真が少し違う印象を受けたんですが。
松浦:そう、上手くなったんです(笑)。最初の方はすごく個人的に撮っていたものだったんですけど、今回は本になったときの見え方とかを考えて撮ったんです。やっぱり僕は編集者なので。2回目なので、バージョンアップさせたかったんですよね。もちろん文章もそうですが。
―基本的には同じカメラですか?
松浦:そうですね。だいたいはライカで撮ってます。
―フィルムですか?
松浦:いや、デジタルも混ざってますね。
―全部フィルムだと思ってました。質感がいいですね、やっぱり。
松浦:ライカで撮ると、雰囲気よく撮れますね。やっぱりレンズですよね。

―こうした自身の愛用品を紹介するという趣旨の本は、ソニア・パークさんも出されていますよね。
松浦:欲しいものがなければ、自分で作ってしまうというソニアさんの考え方はすごくよくわかります。彼女はショップを持っているし、僕の場合は自分で行きたい本屋がなかったんで、「COW BOOKS」を作ったわけで。仕事の発端って意外とそういったことなんですよね。他の誰かがやっていたら、僕がやる必要はないわけで。ものづくりってそういったことがありますよね。
―松浦さんは、信頼できる職人さんなどと一緒に「ものづくり」をしていきたいという考えはありますか?
松浦:うーん。まぁタイミングとか環境が整えば、という感じですかね。でも、僕は作るよりは選ぶほうが好きですね。
―やっぱり編集者、というか。
松浦:そうそう。だから、まだみんながあんまり興味持ってないものをいち早く紹介して、という方が好きですね。あとは「作る」って時間かかるじゃないですか。僕、基本せっかちなんで、待ってられないんですよ(笑)。できたときにはもう違う気分になってたりするし。