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デビュー20周年。R&B界の歌姫がビルボードにやって来る!

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ビリー・ホリディの再来といわれる歌声と、一度見たら忘れない強烈なキャラクター。美貌と才能、知性、ファッション・センス、高い生殖能力、ヘーゼル色の瞳。これらすべてを一人の女性が併せ持つとどうなるのか? エリカ・バドゥ(ERYKAH BADU)。1997年、『Baduizm』で鮮烈にデビューしてから20年、ワン&オンリーな存在として、アメリカのポップ・カルチャーの特別シートに座り続けています。その影響力は絶大で、どこから切り出せばいいのか迷うほど。10月初旬に控えるビルボードライブへの来日を前に、あらためてエリカ・バドゥについて振り返ってみます。

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まず、なにはともあれ、音楽。温かみのある昔のソウル・ミュージックを90年半ばに蘇らせたネオ・ソウル・ムーヴメントのミューズは、彼女。同じマネージメントだったディアンジェロや、マクスウェルらと一緒にブレイクし、ギラギラしていた当時のヒップホップ・シーンの対極にいるようで、バランスよく共存してシーン全体を盛り上げました。ヒップホップ・バンドのザ・ルーツら社会的にコンシャスなアーティストと近く、 90年代後半から00年代の頭までソウルクエリアンズという、ゆるい音楽ユニットの一員としても活躍。コモンやア・トライブ・コールド・クエストのQティップ、天才プロデューサーの故J・ディラらも居たソウルクエリアンズは、お互いの音づくりを手伝ったり、一緒にライヴを開催したりと深い共感とリスペクトに支えられた、商売っ気のない集まりで、彼女はここで紅一点だったのも素敵でした。このユニットのミュージシャンとつくったのが、00年の『Mama’s Gun』、03年の『Worldwide Underground』。いま聴いても全く色褪せない音世界が広がっています。最近、ロバート・グラスパーを聴いている、なんていう人は、チェックするといいかもしれません。2010年代の『New Amerikah』シリーズは、音はアブストラクトに、リリックは政治的になって、リリース直後は物議を呼んだものの、その年が終わってみれば評論家筋からもファンからも高い評価を得ました。

ファッション・アイコンとしての、エリカ・バドゥ。デビュー当時の目印だったヘッドラップとオーガニックな生地の服、大ぶりのシルバー・アクセサリーの組み合わせは、日本まで飛び火して多くのフォロワーを産みました。ブランドにも、仕掛けられたトレンドにもなびかない、ましてや「男性ウケ」など眼中にない、自分のスタイルを貫く姿勢が、エリカらしさ。実際のところ、彼女は小顔の美人で、出るべきところは出ている理想体型の持ち主。デビュー直前のショウケースから、2010年のリスニング・セッション、マクスウェルのコンサートでのゲスト出演など、近くからも遠くからも、幾度となく彼女を見ていますが、オーラがあるとか、オシャレとか、シンプルな言葉ではその魅力を伝えきれないほど、生命体として美しい人です。長年、アイコンとして崇められるのは当然。

魔性の女としての、エリカ。彼女は、次々と有名なラッパーと交際しています。アウトキャストのアンドレ3000、日本で根強い人気を誇るコモン、映画『ストレート・アウタ・コンプトン』にも出てきたThe D.O.C.、ジェイ・Zのレーベルと契約しているジェイ・エレクトラ。この、ちょっとしたヒップホップ・フェスができそうな顔ぶれ全員が、エリカの元彼です。コモン以外はひとりずつ子どもをつくっているので、ベイビーズ・ファーザーでもあり、男女の仲が終わったあとも、大きな意味で家族として機能しているそう。アメリカは、必ずしも妊娠=結婚、とならないし、3人の子どもを育てる精神力と経済力を彼女は持っているので、世間からひんしゅくではなく、リスペクトを一身に受けています。アンドレが彼女と別れた直後、アウトキャストがさらに大ブレイク、コモンはエリカとのコラボ曲「The Light」や「Love Of My Life」が大ヒットしたので、あげまんだと思われている節もあり。「Love Of My Life 」は、「An Ode To Hiphop」と副題がついているように、ヒップホップへの愛を歌った曲で、03年、ベストR&Bソング部門でグラミー賞を受賞しています。R&Bに席をおきながら、ヒップホップ・カルチャーへも多大な影響を及ぼしているところにエリカの特異性があります。菜食主義を実践し、スピリチャリティを説き、全力で子育てをする。アーティストとしても、女性としても自分流を曲げないところに、スター級の男性もひれ伏してしまうのでしょう。

エリカ・バドゥの近況。2015年に電話をテーマにした面白いミックステープを発表したり、BET(Black Entertainment TV)のソウルトレイン・ミュージック・アワーズの総合司会を2年連続で務めたりと、40代に入ってますます自由に活動しています。彼女の最大の強みは、そのシアトリカルなライヴ・パフォーマンス。可憐さと力強さの両方を持つ歌声が日本で聴けるのも、もうすぐです。

Text_Minako Ikeshiro
Edit_Jun Nakada


「BBL 10th Anniversary Premium Stage エリカ・バドゥ」
会場:ビルボードライブ東京
日程:2017年10月1日(日)
開場:17:30, 開演:19:00
日程:2017年10月3日(火), 10月6日(金), 10月12日(木)
開場:18:30, 開演:20:00

会場:ビルボードライブ大阪
日程:2017年10月9日(月・祝), 10月10日(火)
開場:17:30, 開演:19:00
※すべて1日1ショーの特別営業時間公演。
www.billboard-live.com

「MTV presents SOUL CAMP」
会場:東京都新豊洲エリア
日程:2017年10月7日(土), 8日(日)
開場:13:00, 開演:14:00(予定)
※エリカ・バドゥの出演は7日のみ。
http://soul-camp.jp/

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