王道ブランドの定番品はやっぱりいい。定番と言われるだけあって歴史があるし、信頼できるスペックもあって、何歳になっても飽きない。でもこれはちょっと天邪鬼なひとに向けた連載企画。あのブランドの、実は知られていない、けどグッとくるものを紹介します。第14回目は〈ストーンアイランド〉のマイナーグッド。
Photo_Arata Suzuki
Styling_So Matsukawa
Text&Edit_Yuri Sudo
ディテールがブランドを物語るという例はいくつかあります。〈ストーンアイランド〉の場合はコンパスバッジ。軍の勲章からインスピレーションを得ていて、ブランド創立の1982年から使用されています。
古着においては、バッジの種類で年代を見分けるくらい重要な要素をになっていますが、実はバッジ無しのアイテムがあるのをご存知でしょうか?
ダウンジャケット ¥181,500
こちらはメインコレクションではなく「STONE ISLAND MARINA」のアイテム。マッシモ・オスティが愛した海からインスピレーションを受けたカプセルコレクションで、メインとは異なり、よりデザイン豊かなラインナップです。ポップな色使いも魅力。
このダウンジャケットは、マットな質感のコットンナイロンテラ素材を採用しています。裏側に樹脂加工を施してからガーメントダイすることで、適度な防水性と防風性を備えたアウターに。大きめのスクエアステッチデザインが印象的で、ベルトを絞ってシルエットを変更することも。
ボディからフードにかけてのシームレスなデザインや、さりげないロゴプリント、バックル金具のチョイスなど、こまかな作り込みがニクい逸品です。
アノラック ¥193,600
同じシリーズのアノラックも。3層構造の「PERTEX® SHIELD」素材を採用していて、軽量性・柔軟性・耐久性があるだけではなく、高い撥水性と透湿性も兼ね備えています。つまり雨を弾いて、蒸れないんです。
ジップは斜めに設置されていて、ポケットは2種。真ん中にリフレクター付きのフラップポケットと、下部にスナップボタンのカンガルーポケットです。サイズはややゆったりめで、裾についているドローコードで絞ればシルエットが変えられます。
一見シンプルだけれど、必要な機能が適度に配されている優秀な一着です。
バケットハット ¥34,100
同じくMARINAからローゲージのニットバケットハットも。柔らかなピュアウールを使用しているから被り心地がよく、アイスブルーのボディにブルーのロゴが爽やかに映えます。
アイスジャケット ¥407,000
※12月上旬発売予定
※左袖にホワイト刺繍のバッジ付き
1989年の初登場で、アパレル業界だけではなく素材業界においても革命を起こしたのがこの「アイスジャケット(ICE JACKET)」。外気温が下がると色が変化する素材を採用したアイコニックなジャケットです。
同ブランドが不定期にリリースする冬の定番アイテムですが、今シーズンは2層構造のパフォーマンス素材を採用しました。外面にはわずかにストレッチ性を持つ高強度ナイロンを使用し、温度に応じて色が変化するリキッドクリスタルによる熱感応性コーティングが施されています。
ガーメントダイのフリース製バラクラバと、フィンガーレスグローブが付属していて、ジャケットから覗くのもかわいらしい。取り外しもできるので、もちろんお好みで使い分けができます。
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振り返れば、ブランドの歴史はファブリックに対する飽くなき探究と実験とともにありました。創設のきっかけは、軍用トラックに使用された頑丈な幌。創設者のマッシモ・オスティが目をつけて、それを服に落とし込めないかと探ったそうです。そして前出の「Ice Jacket(1989)」に加え、はじめて金属素材を洋服に落とし込んだ「Pure Metal Shell Silver & Bronze Jacket(1999)」など、他にも多くのファブリックを開発。そんなブランドは世界を見渡してもまずないでしょう。
〈ストーンアイランド〉らしさはコンパスバッジだけにあらず。革新的な素材こそ、ブランドを象徴しているのです。
偶然にもブルーで彩られたアイテムたち、ぜひ冬の相棒にどうぞ。きっとたしかな品質で、日本の凍てつく寒さから身体を守ってくれるはずです。
ロケ地メモ:あるカメラマンの作業部屋。アルゼンチン代表のゲームシャツがお気に入り。