今年2月、目白にオープンした「ロウダウン メジロ(LOWDOWN MEJIRO)」。
店を営むのは、長年ファッションや音楽などのカルチャーに親しんできたオーナー・さとるさん。1階には長年集めてきた古着と、親交のあるデザイナーやクリエイターによるブランド、レコードが並び、階段を上がると酒場「ミッドナイトブルー(MIDNIGHT BLUE)」が広がります。さらに、この場所ではプロデューサーの庄司信也さんとともに、FM山形で放送中のラジオ番組『深夜群青』の収録も行われています。
「もともとは飲み屋をやりたかったんです。」
そう振り返るさとるさん。現在の「ロウダウン メジロ」につながる最初の構想は、酒場をつくることでした。
きっかけは、親交の深い「ザ・コレクターズ」の古市コータローさん。
池袋でよく酒を酌み交わしていた古市さんが、気兼ねなく飲める場所をつくれたら。そんな思いを抱いていた頃、古市さんの実家だった建物が空くことになります。
最初に考えていたのは酒場だけ。古着も、レコードも、今のような店の形も、当時は想像していなかったそうです。
「気づいたらこうなっていました(笑)。」
服好きの友人がいて、音楽好きの友人がいて、お酒が好きな仲間がいる。好きなものを持ち寄っていくうちに、ロウダウンは少しずつ今の姿になっていきました。
目白という街も、最初から決まっていたわけではありません。
「物件がここだった。それだけなんです。」
それでも店を開けてみると、この街ならではの穏やかな空気が心地よかったそう。
現在は〈TANG TANG〉の今季のTシャツが全ラインナップ揃うなど、ブランドのセレクトも見どころ。
1階へ入ると、まず目に飛び込んでくるのは古着です。並ぶのは、さとるさんが長年集めてきたもの。
「売るために買ってたわけじゃないんですよ。単純に好きだっただけ。」
ヴィンテージブームよりずっと前から、自分の感覚を頼りに選んできた服が並びます。
セレクトするブランドも、基準は同じです。古着と並ぶのは、親交のあるデザイナーやクリエイターのブランド。
「結局、人なんですよ。」
ブランド名や流行ではなく、つくり手に惹かれるかどうか。
「この人の服を紹介したい。」
そんな思いで選ばれた服が、古着と自然に同じラックへ並んでいます。
レコードもまた、この店らしいラインナップです。
棚に並ぶのは、さとるさんや庄司さんだけでなく、お店に縁のあるミュージシャンやクリエイターたちが長年聴いてきたレコード。それぞれがコメントを書き、その一枚にまつわる思い出ごと紹介しています。
お店を始めてから、印象に残っている出来事があったそうです。
ある日、一人の女子高生が迷うことなく、1980年代に活動した日本のバンド「あぶらだこ」のレコードを手に取りました。
「本当にこれでいいの?」
思わずそう声をかけ、一度店内で試聴してもらうことに。それでも彼女の気持ちは変わらず、そのままレコードを購入したそうです。後日にはお母さんと一緒に再び店を訪れ、今度は2階でコーヒーを飲みながら、音楽や映画の話に花を咲かせたのだとか。
「店があるからこその出会いだと思いました。」
階段を上がると、そこには酒場の「ミッドナイトブルー」があります。
紹介制というスタイルですが、「誰かを排除したいわけじゃない」とさとるさん。
古市さんをはじめ、仲間たちがゆっくり過ごせる場所をつくりたかったことが、この酒場の始まりでした。
先日ミッドナイトブルーで行われた収録。この日の収録は〈エヌハリウッド(N.HOOLYWOOD)〉のデザイナー尾花大輔さんと行われた。
この場所では、FM山形で放送中の庄司さんがパーソナリティを務めるラジオ番組『深夜群青』の収録も行われています。
庄司さんの「ラジオやらない?」という一言から始まった番組ですが、東京ではなく出身地でもある山形の放送局を選んだのは、地元で深夜に働く人たちへ届けたいという思いがあったから。
「FM山形だからよかったんです。」
そう話す庄司さん。東京ではなく、地方局だからこそ、深夜に働く人や車を走らせる人の日常に自然と入り込める。そんな距離感が、この番組にはちょうどよかったといいます。
SNSのように一瞬で流れていくものではなく、誰かの日常にそっと寄り添う。その距離感は、この場所にもどこか重なります。
取材の最後、お店を一言で表すなら?と聞くと、お二人は少し顔を見合わせて笑いました。
「たまり場ですね。」
今後は餃子パーティーを開いたり、友人が一日店長を務めたり。その日の顔ぶれによって、流れる空気も変わります。
古着を見に来る人もいれば、レコードを探しに来る人もいる。
一杯飲んで帰る人もいれば、ラジオがきっかけで店を訪れる人もいる。
目的は違っても、気づけば誰かと話をしている。
そんな景色が、今日も「ロウダウン メジロ」には広がっています。
- Photo_Go Tanabe
- Edit_Daiki Yamazaki(Rhino Inc.)

