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100年前のタイムピース、復刻の裏にあるストーリー。ハミルトンのCEOが明かす「クッション メカ」の開発秘話。

「〈ハミルトン(HAMILTON)〉にはゆうに100年を超える歴史があります。この歴史を丁寧に紐解いていくことはブランドにとってなによりも大切でした。『カーキフィールド』『ベンチュラ』『ジャズマスター』…。名作は数あれど、アメリカン・ヘリテージを考える上でどうしても欠かせないものがありました。それがクッション型ウォッチでした」

そう語るのは、新作のお披露目で今年8月に来日したフランチェスカ・ジノッキオ。2025年に「ハミルトン インターナショナル」のCEOに抜擢されました。

「ハミルトン インターナショナル」のCEO、フランチェスカ・ジノッキオ

懐中時計にはじまる〈ハミルトン〉の歩みは1919年に転換点を迎えました。男性用腕時計へと射程を広げたのです。同年のカタログに掲載されたのがラウンド型とクッション型。クッション型とは、まさにクッションのように四辺が膨らんだスクエアのケースのこと。シェイプドウォッチ(非ラウンド)の一角をなす一本です。

〈ハミルトン〉のクッション型は以来、四半世紀にわたってつくり続けられたヘリテージです。1926年にはこれをモデル名に冠した「クッション プレーン」と「クッションエングレーブド」が誕生しました。それから100年という節目の年に蘇ったのが、ここで紹介する「クッション メカ」です。

「クッション型をかたちにしようと思えば、乗り越えなければならないハードルがありました。それは薄く、小さなケースに収まる手巻きムーブメントを開発すること。手巻きにこだわったのは〈ハミルトン〉のアイデンティティだからです」

オリジンから導き出したサイズは30ミリ径と34ミリ径。総力を結集したムーブメント「H-42」のベースとなったのは、ペセオの名で知られる名機「ETA 7001」でした。要した期間は実に1年以上。

「そのサイズに収まるだけならただの焼き直しに過ぎません。現代の技術で進化させる――これが至上命題でした。どこをとっても一筋縄ではいきませんでしたが、パワーリザーブの更新には苦労しましたね」

従来比130%となる57時間のパワーリザーブは新たに採用したエリンフレックス製メインスプリングが実現しました。耐磁性に優れたニヴァクロン製ヒゲゼンマイの採用もポイントです。

デザインはオリジンのシェイプやエングレービングを再現しつつ、針やインデックスは現代の感性でブラッシュアップしました。

「ローマ数字を採用したのは、それが〈ハミルトン〉に相応しいモダニティだからです」

アール・デコを彷彿とさせるデザインはアメリカが希望に満ちあふれていた1920年代の空気をいまに伝えてくれます。

この復刻プロジェクトの背中を押してくれたのは、〈ハミルトン〉を愛する人々。

「それはひとつの映画がきっかけでした。そう、『オッペンハイマー』です。クリストファー・ノーランはリアルな小道具にこだわることで知られる監督です。そんな彼がキリアン・マーフィー演じるオッペンハイマーの手首に巻いた一本が『クッション B』でした。クッション型の系譜に連なるタイムピースです。映画館に足を運んだ観客は言いました。『こんな時計があったなんて!』と。『クッション メカ』のこだわりのひとつであるスモールセコンドは『クッション B』から引き継いだものなんですよ」

〈ハミルトン〉はレイルロードからアーミー、そしてハリウッド…といった具合にこの国の発展とともにありました。ハリウッドとの蜜月はいまも続いています。

「2026年はファンタスティックな年でした。『バイオハザード レクイエム』(カプコンの人気ゲームの最新作)のコラボレーションモデルや『カーキ フィールド メカ 36mm ジャパン エディション』が牽引し、前年比138%で推移しています。そしてこの秋には本命となるノーランの最新作『オデュッセイア』が控えています」


CUSHION Mechanical 34mm
上から¥183,700、¥166,100、¥166,100

CUSHION Mechanical 30mm
上から¥183,700、¥166,100、¥166,100

Photo_Kazuma Yamano
Text_Kei Takegawa

INFORMATION

ハミルトン/スウォッチ グループ ジャパン

電話:03-6254-7371
オフィシャルサイト

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