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【FOCUS IT.】銀座ソニーパークに出現した「MIN-NANO」GOROさんの作業場。好きなものと振り返る17年の歴史。

2009年に東京・池ノ上でオープンしたセレクトショップ「ミンナノ(MIN-NANO)」。そのオーナーであるGOROさんの作業場を再現した空間が、「銀座ソニーパーク(Ginza Sony Park)」に出現しました。

この企画は、銀座ソニーパークが新たに始めた、お店やブランドをつくる人の「棚」をその人自身のポートレートとして眺めるプログラムシリーズ「SHELF PORTRAIT」によるもの。商品や仕事だけではなく、好きで集めてきたものや、なぜか手元に残っているものまで並べることで、その人の輪郭を浮かび上がらせます。

第1回となる今回は「ミンナノ」のGOROさんをフィーチャー。長年集めてきたフィギュアや雑誌、音楽にまつわるアイテムから、これまでに制作してきたプロダクトまで、GOROさんの私物やアーカイブが展示されています。そこに並ぶのは、ジャンルや時代を問わず、自分の感覚を頼りに選び取ってきたものばかり。

普段はなかなか目にすることのない私物や仕事場の風景から、GOROさんの感性を育んできたカルチャーや、その原点が浮かび上がってきます。音楽やファッションとの出会い、モノへの愛着、そして17年間続けてきたお店への思いを聞きました。

  • Photo_Shinji Serizawa
  • Edit_Yuichiro Tsuji

PROFILE

GORO
MIN-NANO 店主

2009年、池ノ上にショップ「ミンナノ(MIN-NANO)」オープン。2015年、原宿にショップ「トゥーゴー(TOXGO)」を共同オープン。2024年には自転車専門店を中野に移転オープン。日本未展開の海外ブランドの一早いセレクトや、 企業、ブランドとのコラボレーションアイテムの制作・ディレクションなど、「MIN-NANO」のショップ経営以外にも活動は多岐に渡る。


「ミンナノ」のアイデンティティを表現するもの。

ー今回の展示は、GOROさんの仕事場を再現したような空間になっていますね。

GORO:普段、自分がどういうものを大切にしているのかを見せてほしいというリクエストがあったんです。実際にはお店のバックヤードと事務所、自宅の作業場という3つの場所があるんですけど、それらをMIXするような感じで表現しました。むかしから好きだったものもあれば、子どもの頃に好きで、大人になって買い直したものもあって。自分の好きなものの総集編になってますね。

ーフィギュアやぬいぐるみがあれば、音楽にまつわるものもある。GOROさんの好きなものって、ジャンルが幅広いですよね。

GORO:むかしからアニメーションが好きだったので、自然と集まってきたんだと思います。ただ、メジャーなキャラクターではなくて、〈パタゴニア(patagonia)〉のぬいぐるみだったり、ハードコア界隈の人たちがつくっているものだったり。ちょっとオルタナティブなものが好きなんですよね。自分でグラフィックをデザインするときもキャラクターっぽいものが好きなので、そういうところから影響を受けていると思います。

音楽も中学生の頃に友達の影響でパンクを聴きはじめて。当時、大貫憲章さんが地方のFM局で番組をやっていて、そのなかにDJヒカルさんのコーナーがあったんです。そこでノーエフエックス(NOFX)とかスナッフ(SNUFF)、バッド・レリジョン(BAD RELIGION)なんかがかかっていて、めちゃくちゃかっこいいなって。

ー当時から、音楽とファッションはつながっていたんですか?

GORO:ファッションとバンドは同じくらいの時期に自分のなかにあったので、ファッションだけというより、音楽がよりどころになっていた感じがありますね。

高校生の頃にはヒップホップも聴くようになって。当時はサブスクもYouTubeもないので、深夜にテレビで流れていた海外のミュージックビデオを見て、いろいろ調べたりしていました。

ーパンクもヒップホップも、というのがおもしろいですね。

GORO:正直、その頃は音楽の文脈なんかも理解していなくて、ただかっこいいと思ってサイプレス・ヒル(Cypress Hill)を聴いたり、彼らが着ているようなTシャツを買いに行ったり。B-BOYの影響も受けていましたし、スケートブランドも好きだったので、結構ぐちゃぐちゃでしたね(笑)。

あと『ジャッジメント・ナイト(Judgment Night)』のサントラも大きかったです。オルタナティブ・ロックのバンドとラップグループが一緒に曲をつくっていて、当時はすごくセンセーショナルだったんですよ。それでデ・ラ・ソウル(De La Soul)なんかを知るきっかけにもなりました。

ーそうやっていろんなものに触れてきたことが、いまのGOROさんのデザインにもつながっているんでしょうか。

GORO:「ミンナノ」を始める前はバンドをやっていたので、Tシャツやレコードのジャケット、フライヤーなんかもDIYでつくっていました。そこがはじまりだったと思います。自分でデザインするようになって、いろいろ分析していくうちに「自分はこういうものが好きなんだな」って気づくようになったというか。

ーいまでも音楽からインスピレーションを得ることは多いですか?

GORO:ありますね。デザインするときもそうですし、やっぱりミュージシャンから影響を受けることが多いです。最近だったらターンスタイル(Turnstile)のメンバーを見て、かっこいいなと思って〈アディダス(adidas)〉の靴を買ったり、マック・デマルコ(Mac DeMarco)の帽子の被り方を参考にしたり。女性アーティストの立ち振る舞いを見て、素敵だなと思うこともあります。「ミンナノ」のブログにもミュージックビデオを貼るようにしていて、それを見たお客さんから「このアーティストを知りました」って言ってもらえることもありましたね。

あと、布袋さんも好きなんですよ。

ー布袋寅泰さん?

GORO:そうなんです。はじめて行ったコンサートも布袋さんでした。これは、90年代初期のアートワーク集なんですけど、いま見るとデザインがかっこいい。スマッシング・パンプキンズ(Smashing Pumpkins)のアルバムなんかもそうですけど、ああいう当時のファンタジーな世界観も好きなんです。

ー結構物持ちはいいほうですか?

GORO:結構衝動的にモノを処分しちゃうタイプなので、むかしのものはあまり残っていないんです。布袋さんの作品集もメルカリで探して買い直したものなので。

GORO:でも『リラックス(relax)』だけは残っていたので展示してますね。雑誌から受けた影響もめちゃくちゃ大きくて、『リラックス』以外にも『ブーン(Boon)』、『アサヤン(asayan)』、『メンズノンノ(MEN’S NON-NO)』をよく読んでいました。とくに裏原のカルチャーにはすごく影響を受けているので、藤原ヒロシさんのページなんかは隅々までチェックしてましたね。

雑誌にそういう人たちの部屋や事務所が紹介されていて、めちゃくちゃかっこいいなって。フィギュアを置いているのも、スケシンさんや西山徹さんのデスクからの影響があると思います。もちろん完全にコピーすることはできないし、そうはならないんですけど、そこに自分の好きな別の音楽やカルチャーが混ざって、自分らしいものになっていたらいいなと思います。あの頃に見たものは、いまでも自分のベーシックな部分に染み付いている感じがあるので。

ー仕事以外のとき、作業場ではどんなことをして過ごしているんですか?

GORO:基本的に買い物ですね。何かいいものがないかなってウェブショップをさまよっていると、3時間くらい経っていることもよくあって(笑)。リサーチといえばリサーチなんですけどね。急にライブ映像を見始めて、2時間くらい経っていることもありますね。でも、そうやっていろいろ探している時間が一番楽しいのかもしれないです。例えば、あるブランドを好きな人と知り合って、そこからまた別のものを知ったり。バンド同士のつながりとか、一緒にツアーしている組み合わせを調べるのも面白いですし。

あと、お店に置いてあるものを見て「これ好きなんです」って話しかけてもらえることもあります。好きなものが共通言語になるというか、カルチャーがきっかけで、どんどん話が盛り上がることもありますし。ここに置いてあるものは、自分はこういうものが好きなんだ、「ミンナノ」はこういうお店なんだっていうアイデンティティを表現するものでもあると思います。


ミュージアムショップのお土産をイメージしたアイテムの数々。

ー展示の他に、今回のために用意されたアイテムもあるとか。

GORO:そうなんです。美術館に行くとミュージアムショップがあるじゃないですか。今回はそういう感じで、お土産として買ってもらえるものをつくりたかったんです。

PARK CREWNECK(NAVY/BLACK) ¥13,200

GORO:「ミンナノ」の定番で、フロントにお店のロゴ、背中に「CREW」と入ったスウェットがあるんですけど、今回はその「CREW」を「PARK」に変えたものをつくりました。「PARK」という言葉は普遍的だし、意味も広いのでおもしろいなと思って。

PARK TOTE BAG 各¥4,620

GORO:トートバッグはレコードが入るサイズです。女の子とかが持っててもかわいいという感じを意識しました。

Lao Tee(White) ¥8,800

GORO:「ソニーパーク」ってコンクリートのイメージがあるので、今回はグレーをキーカラーにしています。お店で定番として販売しているキャラクターTシャツも、キャラクターをグレーにしたスペシャルバージョンをつくりました。

Mofu Mofu ¥4,400

GORO:グレーつながりで、モフモフのキーホルダーもつくりました。これがいますごくお店で人気で、皆さん結構買ってくれる商品なんです。

Self Employee Tee(Black) ¥8,800

GORO:あとは某スポーツメーカーのキャッチフレーズをオマージュしたTシャツもあります。「SELF EMPLOYEE」という名前で、個人事業主Tシャツという意味です。「仕事をしなさい」という、自分への戒めですね(笑)。

Insence ¥2,200

GORO:今回はお香も用意しました。これは〈ルーム(ROOM)〉というブランドにつくってもらっているもので、「ミンナノ」でも別注のお香を販売しているんです。香りを考えてもらうときにリファレンスが必要だったんですけど、香水みたいな直接的なものはダメだと言われて。それで、ル・コルビュジエの建築写真を送ってイメージを伝えました(笑)。

Penco Clip 各¥715

Penco Bullet Pen 各¥1,430

Pack Tape ¥1,320

GORO:それから、オフィスグッズもあります。今回は仕事場を再現した展示なので、デスク周りで使えるものもつくりたかったんです。クリップにはTシャツと同じプリントを入れました。ASAP的なメッセージと一緒に書類を挟んだら、急ぎの仕事だってひと目でわかるじゃないですか(笑)。請求書なんかを挟んで使ってもらえたらいいなと思って。

ペンは〈ペンコ(PENCO)〉の定番モデルをベースに、某有名万年筆メーカーのような質感を取り入れています。あとはテープですね。以前つくったものは黄色地に黒のデザインだったんですけど、今回はコンクリートをイメージしたグレーの新色にしました。

すでに一部完売してしまっているアイテムもありますが、会期中に再入荷する可能性もあります。あと、今週末には追加の限定アイテムも発売できるかもしれません。


「ちゃんとやってきたんだな」って、改めて自分でも思えた。

ーデスクの裏側には〈ポーター(PORTER)〉とコラボした歴代のバックパックも展示されていますね。

GORO:自分でもこんなにつくっていたんだって驚きました(笑)。歴史を感じたというか、結構長いことやってたんだなと。

ー「ミンナノ」ってオープンしてから何年経つんですか?

GORO:もう17年ですね。全然そんな重みを感じてなかったんですけど、このバックパックを見て「結構やってたんだな」って自分でも感慨深くなる瞬間があって。

今回のお話をいただいたときに「棚卸しをしてほしい」というサブテーマがあったんですけど、最初はなかなか動き出せなくて。でも、むかしのブログを見返すところから始めたら、いろいろ思い出してきたんです。

ーそうなると、今回の展示はある種の集大成でもあるわけですよね。

GORO:そうですね。現時点での集大成。単独でこうやって大きな展示をさせてもらうのも初めてなので。そういう意味でも、いろいろ考えちゃいましたね。

ーその棚卸しの作業は、どんなところからスタートしたんですか?

GORO:お店をオープンした頃からずっとブログを書いていたので、そこにある写真を見ていると、自分では3年前くらいのことだと思っていたのが、実際は7年前だったりして。こうして並べてみると、結構長いことやってきたんだなって思いましたね。

ーいろいろと思い起こすものもあったとは思いますが、そうした棚卸しの作業がご自身に与えた影響ってありますか? 過去の自分が、いまの自分に対してもたらしたことというか。

GORO:普段はお店をキープすることが大前提なので、過去を振り返ることってあまりないんです。「今月やばいな」とか言いながら、日々やっているので(笑)。

自分のマインドも、お店を始めた1年目くらいから変わっていないんです。ずっとペーペーのつもりなので、誰かに「リスペクトしています」なんて言われても、そんなわけないだろうって思っちゃう。「嘘つけ!」みたいな(笑)。でも、こうやって俯瞰してみると、これだけやってきたんだから、そう言ってくれる人がいてもおかしくないのかなって。

もちろん、周りのひとたちにすごく恵まれていたし、助けてもらってここまでやってこられたんですけど。普段は一つひとつの出来事を点で見ているので、こうしてまとめて見る機会がなかったんですよね。

GORO:だから今回、「ちゃんとやってきたんだな」って、改めて自分でも思えました。それが今回の収穫ですかね。もうちょっと自信を持ってもいいのかなって。ちょっとだけですけどね(笑)。

INFORMATION

SHELF PORTRAIT #01 MIN-NANO

会期:2026年10月10日 (土) ~10月25日 (日)
時間:11:00~19:00
場所:Ginza Sony Park : B2
住所:東京都中央区銀座5-3-1
入場無料
特設ページ

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