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中平卓馬の作品集と展覧会「氾濫」。巨大インスタレーションが表現する都市の姿とは?

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森山大道と同じ1938年生まれの日本を代表する写真家・中平卓馬。77年に篠山紀信との共著『決闘写真論』を刊行直後、病に倒れて生死の境をさまよい、記憶の大半を失ったものの、翌年から撮影を再開した中平の姿は神々しくもありました。

CASE TOKYO」では、3月10日(土)から4月14日(土)まで、中平卓馬の展覧会「氾濫」を開催します。

『氾濫』は、1974年に開催された「15人の写真家」展(東京国立近代美術館)のために中平が制作・出品した、48点のカラー写真からなる横方向6メートル、縦方向1.6メートルにおよぶインスタレーション作品です。壁を這う蔦、路上のマンホール、大型トラックのタイヤ、ガラス越しにみる水槽の鮫、地下鉄構内…『氾濫』の写真群は、写真家が日々遭遇し捕獲した都市の断片…それらは情報と商品、そして事物が氾濫する都市空間の無気味な裂け目にも捉えることができるでしょう。

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本展では、同名作品集『氾濫』(CASE Publishing)の刊行に合わせ、出来上がった写真集を分解して再構成されたインスタレーションをスペース内の壁面に再現。

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3月24日(土)には、倉石信乃(詩人・批評家)と八角聡仁(批評家)によるクロストークショーが行われます。最初は、編集者という職業に就いた中平は、表現の道へと進む際に、詩か写真どちらかを選ぼうとしたと言われています。もちろん結果は後者だったわけですが、言葉メインの本なども出しています。ギャラリーによる、とても意欲的な人選ではないでしょうか?

予約はこちらから

表現者のよさは、やはり本人が故人になってしまったとしても、作品を通して後年の人びとともコミュニケーションができること。中平による40年以上前の作品で何を感じ取るか、ご自身で確かめてみててください。

All photo_中平卓馬_Takuma Nakahira © Gen Nakahira Courtesy of Osiris
Text_Shinri Kobayashi


中平卓馬「氾濫」
会期:2018年3月10日(土)〜4月14日(土)
会場:CASE TOKYO
住所:東京都渋谷区渋谷2-17-3 渋谷アイビスビルB1
開廊時間:火〜土/11:00〜19:00
休廊日:月・日・祝祭日

【関連トークイベント】
倉石信乃(詩人・批評家)x 八角聡仁(批評家)
開催:3月24日(土)17:00〜18:30
参加費:1,000円
※下記URLより事前予約をお願いいたします。
https://www.shashasha.co/jp/ticket/case0324
*キャンセルの場合は、返金ができませんので予めご了承ください。
*当日は受け付けますが、満席の場合は立見でのご観覧となります。

中平卓馬|プロフィール
東京生まれ(1938-2015)。東京外国語大学スペイン科卒業後、雑誌『現代の眼』編集者を経て、60年代半ばから写真を撮りはじめ、同時期より雑誌に写真、映画、メディアに関する執筆を開始。68~69年には多木浩二、高梨豊、岡田隆彦、森山大道とともに写真同人誌『プロヴォーク』を刊行。70年に写真集『来たるべき言葉のために』を上梓した後、73年には映像論集『なぜ、植物図鑑か』で、それまでの自作を批判的に検証。77年に篠山紀信との共著『決闘写真論』を刊行直後、病に倒れて生死の境をさまよい、記憶の大半を失うが、翌年から撮影を再開。2003年には横浜美術館で初期から2003年にいたる800点におよぶ作品群による「原点復帰-横浜」が開催され注目を集める。以降も旺盛に撮影・発表を継続。没後の2017年には、シカゴ美術館で「Circulation」展、台北で「中平卓馬」展が開催され、評論集の翻訳出版も進行中。

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