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名優たちの競演映画『ある少年の告白』。同性愛を“治す”という矯正セラピーを描く衝撃の実話。

知っているようで知らないアメリカ。あれだけ広い国土だから、場所によって宗教観、ジェンダー観、家族観などがバラバラで、日本にいるぼくらがあっと驚くようなことがあります。

映画『ある少年の告白』は、2016年に発表され、NYタイムズ紙によるベストセラーに選ばれるなど全米で大きな反響を呼んだ衝撃の実話をもとに、ひとりの青年の葛藤と成長、親と子が絆を再発見するまでを描いた物語です。主演は『マンチェスター・バイ・ザ・シー』で一躍その名を世界に知らしめたルーカス・ヘッジズ、共演にニコール・キッドマン、ラッセル・クロウら実力派豪華キャストが集結した、圧倒的な人間ドラマとなっています。

本作では、アメリカにも実存する同性愛を“治す”目的で行われている矯正セラピーでの驚愕の出来事が描かれ、主人公ジャレッドがなぜそのセラピーを受けることになったのかも紐解かれていきます。原題『BOY ERASED』は、映画の内容を端的に言い表したタイトルです。

〜STORY〜
アメリカの田舎町。牧師の父と母の一人息子として愛情を受けながら、輝くような青春を送るジャレッド。しかし、“自分は男性のことが好きだ”と気づいたとき、両親に勧められたのは、同性愛を“治す”という危険な矯正セラピーだった。自らを偽り、別人のように生きることを強いる〈口外禁止〉だというプログラム。施設に疑問を抱いたジャレッドは、遂にある行動を起こす…。原作は、NYタイムズ紙によるベストセラーに選ばれ、全米で大きな反響を呼んだ衝撃の〈実話〉。人はなぜ、幸せを願うほどにすれ違ってしまうのかー。
本当の自分、あるがままの相手を見つめた先に、誰にも奪うことはできない真実の愛が浮かび上がる。一筋の希望が胸を震わせる、圧倒的な人間ドラマが誕生した。

左:溝口彰子さん、右:奥浜レイラさん

先日、行われた上映イベントでは、ゲストに『BL進化論』などの著書があり、映画、アート、クィア領域研究倫理などについて論文や記事を執筆している溝口彰子さんと、数々の映画イベントに登壇、音楽にも造詣の深い奥浜レイラさんを迎え、本作の魅力を徹底解説しました。ネタバレしない程度にご紹介していきます。

本作の感想として、溝口さんは「米配給会社が一緒ということもあり、『ミルク』 (09/ガス・ヴァン・サント監督)を思い出しました」と実在の政治家、ハーヴェイ・ ミルクの半生を描いた大ヒット映画に言及しています。「『ミルク』も実話がベースですが、こちらは実際にいた人物を褒めたたえた映画。『ある少年の告白』は同じ実話でも、衝撃的な事実を描いて観る者に現実をつきつけてくる。一方、フィクションだからこそできる構成で、苦しさだけではなく、誰もが受け止められる表現にしている。そこが素晴らしいですね」と傑作との繋がりを解説しました。さらには「本作では、悲劇を描いているけれど、悲しみだけじゃない。その先に希望や光を感じさせる。その意味では『チョコレートドーナツ』を思い出しました」と、難しいテーマを描きながら、観客に多くの共感を生んだ名作『チョコレートドーナツ』(12/トラヴィス・ファイン監督)とも重なる点を語っていました。

さらに、溝口さんは「鑑賞のきっかけとして俳優の演技合戦を見に来るのもいいと思います。沢山の人と観て、語り合ってください」と。奥浜さんは「見に行くことに対して、二の足を踏むのはもったいない。出口には希望がある物語なので、ご覧になった方はそのあたりもお友達にお薦め頂きたいですね」と、多くの人に届く言葉でイベントを締めくくりました。

本作に出演しているミュージシャンのトロイ・シヴァンは制作前に「何があっても関わりたい」と発言していたりニコール・キッドマンも大女優にも関わらず、映画PRのために多数のTV番組に出るなど、アメリカのアーティストの問題意識の高さが伺えます。

この物語は、決して海の向こうの話ではありません。安易に共感できるとは言えませんが、ぼくらの隣の話であり、地続きの話なのです。それがこの映画に対する正しい姿勢と言えるのではないでしょうか。

Text_Shinri Kobayashi


『ある少年の告白』
出演:ルーカス・ヘッジズ、ニコール・キッドマン、ラッセル・クロウ、ジョエル・エドガートン、グザヴィエ・ドラン、トロイ・シヴァン
監督・脚本:ジョエル・エドガートン
2018 年/アメリカ/115 分/原題 BOY ERASED ユニバーサル作品 配給:ビターズ・エンド/パルコ
(C)2018 UNERASED FILM, INC.
4月19日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー!
www.boy-erased.jp

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