CLOSE
NEWS

構想から1年半! ファン待望の、アメリカ製ニートがついに完成しました。

2018年の春にアップしたこの記事を覚えている方も多いのではないでしょうか?

一癖も二癖もあるパンツブランド、ニートがレショップ金子氏の導きで海を越えました!

一癖ある系のパンツブランド〈ニート(NEAT)〉のデザイナーである西野大士さんと、玄人受け抜群系のショップ「レショップ(L’ECHOPPE)」のコンセプターである金子恵治さんが、極寒のニューヨークで行った商談の様子を余すことなく収録したものでした。

目的は、アメリカをこよなく愛する西野さんならではの、アメリカ製の〈ニート〉をつくるということ。紆余曲折ありながら制作をスタートさせたはずなのですが、待てど暮らせど続報が届かず。気づけば1年半の年月が流れていました。

そしてようやくサンプルが届いたというお知らせをいただいたのが、2019年の5月下旬。すぐにお二人に話を伺ってきました。パンツの発売が7月13日(土)と、目前に迫ったタイミングでのアップ。も、もちろん狙ってますよ。。

ーようやくできましたね。

金子:そうですね。アメリカに行ってから、1年半くらい経ちましたね。。

西野:長かったです。

金子:前の記事でも紹介した工場から、しばらくまったく音沙汰がなくて。ようやくサンプルが届いたと思ったら、思ったような仕上がりではなく。工場に問題があったというより、ボタン屋さんが曲者だったのかな。

ーなるほど。

金子:なので、今この手元にあるサンプルは実は3回目なんです。

西野:最初に上がってきたのは、アウトタック仕様になってました。〈ニート〉のパンツのタックはインタックなので、これはもう絶対ダメだなと(笑)。

金子:でも、2回目のサンプルもアウトタックになってたよね。

西野:そうなんです。だから、インタックのサンプルを見たのは今回が初めてです。

ーちょっと触った感じ、とてもよくできているというか、クオリティが素晴らしいです。

西野:そう、めちゃくちゃクオリティ高いんです。よくよく聞いてみると、かなり有名なブランドのものを縫っていたりするところみたいで。正直日本製のクオリティをおびやかすくらいの出来栄えでした。

ー前の工場も錚々たるブランドを縫ってましたよね。どうやって当たりの工場を引き当てるんですか?

金子:いろいろな情報をもとに探しています。そんなわけでとてもいいものに仕上がったんですけど、当初はもっと軽いイメージだったんです。

ー普通のアメリカのチノパンというか。

金子:そうです。けれど、探し当てた工場がビッグメゾンの仕事をしているところだったので、最初に思い描いたアメリカンな感じはだいぶ薄れたかもしれないですね。いい方向に転んだので、それはそれでいいかなと思ってますが。

ー今回のパンツは全6色展開です。あらためて生地について教えて下さい。

西野:今回のテーマは、アメリカのチノだったんですが、なかなかいい張り感のものが見つからなくて。〈ニート〉のインラインでも、チノっぽい生地もいろいろ集めるんですけど、ちょうどいいのがないんです。柔らかいか、ゴリゴリしてるかのどっちかっていう。

金子:この生地は目の立ち方が特徴的ですね。これくらい目がはっきりしているのって、なかなかないと思うんです。これが西野さんらしいなと思います。

ーサンプルをつくったのがクリームっぽい色と、エメラルドグリーン。すごく主張があるなと思いました。

西野:そうですね。日本だとなかなかこういう色は機屋さん作らないので。2色履くならどれ?って金子さんに聞かれたときにこの色を選びました。黒とか茶色とか、すぐに想像できてしまう色よりは、こういう色で見てみたくて。この色でかっこいいなら、他の色も問題ないだろうっていう。

金子:いい感じにハマりましたよね。

ーところで〈ニート〉を見ていても、西野さんが選ぶ生地ってどこか癖が強いと思うんです。それって昔からなんですか?

西野:そうですね。それは僕が〈ブルックス ブラザーズ〉にいたときにまでさかのぼるんですが、自分が入社したとき、ちょうどトム・ブラウンの〈ブラック フリース バイ ブルックス ブラザーズ(以下ブラック フリース)〉がスタートした時期だったんです。〈ブラック フリース〉って〈ブルックス ブラザーズ〉を上質な感じにしたコレクションブランドだったじゃないですか。で、トム・ブラウンが表現していたクリエイションが、けっこう大げさだったんです。

ー独特のアクがありましたよね。

西野:そう、でもそれがすごく上品で。その影響が未だに自分の中に残っていて、例えばシアサッカーの生地を見ても、こっちは〈ブルックス ブラザーズ〉で使う感じだな、こっちは〈ブラック フリース〉で使ってたな、みたいな感じで見ちゃうんですよね。

金子:へー、初めて聞いた! 西野さん、実は和製トム・ブラウンだったんですね(笑)。

西野:トムがやってたことが、自分の中にすっと入ってきたんですよね。普通とは違う生地を使って大げさな感じにするっていう。

ーということは当時〈ブラック フリース〉着てたんですか?

西野:めちゃくちゃ着てました。

金子:似合いそうだもんね。

西野:当時はクラシコイタリアが人気ありましたし、シャツでもスリムフィットみたいな感じだったので、〈ブルックス ブラザーズ〉は少し大きいなって思ってたんです。でも、いまタンスから引っ張りだしてみると、けっこういいなって。まぁ体が大きくなったっていうのもあるんですけど。

ーそして〈ニート〉といえば、タックです。

金子:そうそう。このプリーツの深さ、いつも気になってました。

西野:最初からインタックの2プリーツでやりたいって決めてました。それも〈ブルックス ブラザーズ〉のときにお世話になった、30年代くらいのスーツをすごく好きな方がいて、その方に「タックはインタックだよ」って教えてもらって以来、ずっとインタック派です。

ーそれなのに、サンプルでアウトタックで上がってきたんですね(笑)。

西野:そうなんです(笑)。ちなみに、〈ニート〉で初めて作ったパンツはもっとタックが浅かったんです。でも、仕上がりを見たときに、この感じなら僕が作らなくてもいいかなって思っちゃったんです。

ー他にもあるし、と。

西野:はい。なのでタックアウトで着ても、タック感がわかるくらいのパンツを作ろうって思ったんです。〈ニート〉のパンツはインタックなので、外側への広がりはあんまりないんですけど、縦に広がるので、横から見たときにきれいに広がるんです。

ー歩いてるときとかに、きれいに見えそうですね。

西野:そうですね。その感じを好んでくれた方がいるのかなって。

金子:僕的には、このややテーパードな形もすごくポイントですね。というのも、〈ニート〉のパンツって大ぶりなテーパードか、極端なワイドのどっちかなんですよね。それが自分のスタイルにはハマらないので、穿きこなすのが難しいなって思ってたんです。それが今回はアメリカのオーセンティックなチノパンということなので、いわゆる普通のテーパードを踏襲しようと。ワイドとテーパードの中間みたいな。だから〈ニート〉は気になるんだけど、シルエットに抵抗があるっていうひとでも履きやすいのかなと。

西野:あとボタンもすごく普通のものを、あえて使ってます。

金子:アメリカのチノパンって、ねりボタン(合成樹脂で作られたボタン)で、ちょっとダサめな感じなので、それを踏襲しました。

西野:オリジナルのマーベルトと、ネームタグ以外は全部アメリカの資材を使っています。

金子:結果、すごくバランスがいいものができたなって。〈ニート〉のいいところも守りつつ、意外ともっともベーシックなものができあがったのかもしれません。

西野:それにしてもついにこのパンツが発売されるんですね。あの記事が出てから、問い合わせがすごかったので。

金子:いや、本当にすごくありました。

西野:未だにあの記事見ました、って言われますよ。

金子:全ニートファンが読んだんじゃないですか?(笑)

ー長い旅路でしたね。

金子:いずれは西野さんが自分でアメリカ生産のものをやるのが一番いいと思います。

西野:そうですね。やりたいです! そして、、今回は手書きでUSAと僕が書いています。

ー今回のモデル名は「ニューアーク フィット(Newark Fit)」です。由来は前回の記事にて。こんな風に地名でやり出したら、いろいろありそうですね。

金子:次はボストンとか? となるとウールなのかな?

西野:マサチューセッツの大学みたいな。

金子:そうそう。LAはショーツとか。

西野:あー、あとはフレアとかもいいんじゃないんですか?

金子:それならロングビーチっていう名前とかね。あーシリーズ作りたいなー。いくらでも作れる、これ。

というわけで、満を持して7月13日(土)11時より「レショップ」にて発売開始です。ご予約・お取り置きは承っておりません。お問い合わせは店舗までお電話にてお願いいたします。

最後に〈ニート〉デザイナーの西野さんの言葉を置いておきます。

今回のNEAT USAは僕の思い描いたNEATの最終着地点かもしれません。
10代から古着が好きで、興味が膨れ上がり22歳の時に初めてアメリカに行きました。
色んなパーツに合理主義が詰め込まれ、カッコつけない格好良さに憧れました。
そんな憧れのワード「made in USA」という夢を叶えてくれたのがレショップでした。
だからこそ今回の企画は「アメリカ人が良く穿いているチノパン」をテーマにし、
太くもなく細くもない一見なんてことないチノパンをNEATらしい深い2インタックで表現しました。
生地もアメリカらしい肉厚なコットン地をアメリカらしいカラバリで選びました。
構想から約1年半かかりましたが、ようやく形にできたNEAT USAをぜひご覧ください。

Text_Ryo Komuta


LʼECHOPPE 青山店
住所:東京都港区南青山 3-17-3 1F
電話:03-5413-4714
発売開始:2019年7月13日(土)11時

このエントリーをはてなブックマークに追加
TOP > NEWS