ビーガン料理=質素で味気ない、と思っている人が大多数でしょう。ルールも厳しいイメージ。その考えを変えるきっかけになるかもしれないスポットが、東京・原宿に誕生しました。ニューヨークに本店を構えるビーガンのバーガーショップ「スペリオリティバーガー(Speriority Burger)」の日本店です。
ニューヨークでは知る人ぞ知るバーガーショップ「スペリオリティバーガー」。連日行列をつくり、その人気ぶりは、本国でレシピ本が発売されるほど。シェフを務めるブルックス・ヘッドリーは、料理界のアカデミー賞と言われる「ジェームズ・ビアード賞」を獲得する腕前です。
その味に惚れ込んだのがニューヨーク在住の文筆家・佐久間裕美子さんと、フイナムブロガーでもある鳥羽伸博さん。
元々親交があり、ともにビーガンな2人が、日本でもおいしいビーガンレストランをオープンさせたいと思い「スペリオリティバーガー」に話を持ち込んだところがはじまりです。そこから2年の歳月をかけ、少しずつイメージを形にしていき、先日ついに「スペリオリティバーガー・ジャパン」をオープン。ディレクターが鳥羽さん、佐久間さんがプロデューサー的立ち位置。
取材時にいあわせたブルックスはこう語っています。「フライドチキンのレストランだらけの場所にフライドチキンの店を出そうとは思わない。それと同じで、ビーガンレストランが少ない東京だからこそ、やってみようと思ったんだ。そりゃあロサンゼルスにお店を出したら、みんなが来てくれるだろうけど、それじゃあつまらないからね」
続けて「ニューヨークの店はいまで5年。お客のほとんどはビーガンじゃない人たちなんだ。単純においしいからとか、興味があるからって理由で来てくれてる。日本のみんなも食べてもらえば、その意味がきっとわかるはずだよ」
運ばれてきた料理は、これまでビーガン料理に抱いていた「味が薄い」「コクがない」「満足感が足りない」というイメージとはかけ離れたもの。食べ応えがあってビールも進む。もちろん動物性のものは一切使っていないからヘルシーです。そうなるともう、敬遠する理由が見当たらない。
昨今、代替肉を使ったビヨンドバーガーやインポッシブルバーガーが流行ってきています。味も食感も、まるで肉。ただしそれは、何百万円の機材と添加物がなせる技であり、さすがに毎日は食べられない。「スペリオリティバーガー」では、時間をかけて丹念に仕込むことで、うまみを凝縮し、食感をつくりあげていきます。余計なものは入っていないから、毎日でも食べられる。
そして、絶対に食べてほしいのがアイスクリームです。メニューのなかで、最もアメリカを感じられる1品。1スクープでは注文できません。必ず3スクープ。フレーバーは随時、更新されていきます。
「アイスクリームに関しては日々アップデートしているよ。日本は四季でメニューを変えたりしているけど、ここでは試作してよかったらその日にやるって感じで。短いものは1日だけしか売らない。だから、インスタを眺めてたりすると『こんなのあったっけ』って思うときもあるよ(笑)」
店内はニューヨークの店をそのまま持ってきたような仕上がり。ブルックスの手書きのメモも、店内に飾られているアートもいちいちクールです。
「受け手側はいまだにビーガンに対して厳しいイメージを持っていますが、『スペリオリティバーガー』に来てもらって、こんなにバリエーションが豊かなんだってことを知ってほしいです。普段の食事と地続きなものであることに気づくはずなので」とは日本店のシェフである斎田さん。ペペロンチーノだってビーガン料理ですからね。
新型コロナウイルスが収束すれば、オリンピックも開催されます。多くの外国人がやってくるだろうし、彼らのなかにはビーガンの人も多い。今年はもしかしたら、日本の“ビーガン元年”になるかもしれません。
SUPERIORITY BURGER JAPAN
住所:東京都渋谷区神宮前2-31-7ビラグロリアB1F
時間:月〜土11:00〜19:00
www.instagram.com/superiorityburgerjapan