飽くなき好奇心を刺激する趣味の世界。そこには、ハマると戻ってこれない「沼」が存在する。一度足を踏み入れたら平常心なんて忘れてしまいのめり込んでしまう。そこまでするか!? と思わずツッコミを入れてしまいそうな、ヤバーい趣味にハマってしまったひとたちを『フイナム・アンプラグド vol.11』では紹介しました。
WEB版の番外編として、ここではスマホゲーム『ポケモンGO』の “沼” にクローズアップ。未知のポケモンとの遭遇や、ゲットしたポケモンを強化するために、街でスマホの画面とにらめっこをしているトレーナーたちが街中にたくさんいます。そんな「ポケモンGO」の世界に魅了された三浦正貴さんと田村貴之さんに話を聞きました。
「かわいい!」からスタートするポケモンGOの沼。
96年に発売された「ポケットモンスター赤・緑」。それ以来、続編のゲームはもちろん、テレビアニメや映画、そしてスマホゲーム「ポケモンGO」に至るまでさまざまなコンテンツが世に放たれてきました。
田村:「ぼくはポケモンのドンズバ世代じゃないんですよ。フシギバナ、ヒトカゲ、ゼニガメの存在なんて知らない。でもやっぱりピカチュウだけを知っていて、かわいいなぁなんて思っていたんです。そんなとき、2016年に「ポケモンGO」がスタートして。ちょっとミーハーな気持ちでぼくもはじめたんです。そうしたらもう、後戻りできなくなっちゃった。これに関しては後ろめたいことばかりですね」
一方で、もうひとりその魔力に引き寄せられたのが、某出版社で営業をしている三浦正貴さん。
三浦:「ぼくもピカチュウしか知らなくて。でも位置ゲームには興味があったんですよ。それで落としてみたら全然ピカチュウでてこないし(笑)、一時期やめてたんですけど。ひょんなことから渋谷にピカチュウが大量発生してるっていう情報を聞いて、行ったら見事にゲットできて。それで急に楽しくなっちゃいましたね」
大のオトナがふたりしてハマってしまった「ポケモンGO」。どうしてやめられないのか? 三浦さんが語ります。
三浦:「ひとつはポケモンの進化。たくさんゲットしないと進化できないシステムになってて、ポケモンの巣までわざわざ行って大量ゲットしてきたこともありますね(笑)」
田村:「あとはコレクターの気持ちをくすぐるんですよ。服好きならわかると思うけど、ポケモン図鑑を埋めるためにたくさん集めたくなるし、進化させたくなる。その中で自分のお気に入りのポケモンが出てきて、そいつをペットのように可愛がるのも楽しいんです!」
そうしてすでに3年以上もこのゲームにハマっているというふたり。いまでもモチベーションはさがってなく、田村さんに至っては、ポケモンの強化にかなり力を注いでいる様子。
田村:「ポケモンにはそれぞれCPという強さをあらわす数値があって、それを限界まで上げたい。さらに個体値という、ポケモンがそもそも持つ素質をあらわす数値もあるんですけど、ぼくは両方がマックスのポケモンを育てたいんです」
生活スタイルも変えてしまう、強烈な魅力。
そうやって「ポケモンGO」に熱中するあまり、田村さんはとうとう禁断の方法にまで手を染めてしまったらしい。御察しの方その通り、課金です。
田村:「月に12,000円までと決めて毎月してます。これにはすごい葛藤があったんです。もともとは無課金でがんばる方針だったけど、そのときどうしてもゲットしたいポケモンがいて、期間限定イベントで卵から孵化しやすくなってる時期だったんです。だから『孵化装置』というアイテムがたくさん欲しくて…。それを自分の奥さんに相談したら『やりすぎないように』という注意だけを受け、結局課金しました。その直後に無事にゲットしましたけど(笑)」
すでに2年半近く課金を続け、使った金額はすでに数十万円も課金しているとか…。一方で三浦さんの課金へのスタンスをこう話します。
三浦:「ぼくはいままでで2回くらいですね。あんまり課金はしない派。でも、毎日続けているといいポケモンと巡り合います。朝と夜にすこしずつちょこちょこやって、新しいの見つけるためにたまに寄り道しながら帰ったり。だからライフワークとしてやってれば、それなりに集まりますよ」
ふたりの話を聞いていると、私生活はほぼポケモンに支配されているような気がする。ここまでくると、もう完全にポケモンの沼にズブズブだと確信してしまいます。
田村:「家族との時間は別にして、『ポケモンGO』をやりだしてからは映画も見に行かなくなりましたね。なぜなら上映中の2時間のあいだに、いいポケモンが取れるかもしれないから(笑)。どうやってポケモンの時間をつくろうか、それは常に考えてますね。むしろ出かける機会が減ったぶん、お金を使わなくなりました。貯金に繋がってます」
三浦:「もうここまできたら、いまさらやめられないですよ…。続けなきゃなっていう謎の義務感がある(笑)」
田村:「ぼくはなにかをはじめたらずっと続けるタイプの人間なんですよ、性格的に。だからやめません。というかやめる気ゼロです。だって、楽しいもん(笑)」
三浦:「ぼくは仕組みに興味あるんです。『ポケモンGO』がどう人を楽しませるか? というところ。世界中が熱狂しているゲームが、これからどのようにアップデートしていくかが楽しみで、細く長く続けていこうと思います(笑)」
RPGゲームなどのようなゴールが存在しない『ポケモンGO』。沼にハマったふたりの “危険な” 趣味はこれからも続いていくようです。
Photo_Kazunobu Yamada
Text_Yuichiro Tsuji
※現在発売中の『フイナム・アンプラグド』本誌ではインタビューを掲載中! そちらも要チェックです。
unplugged.houyhnhnm.jp