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【STAY HOME】あの映画が公開されるまえに知っておきたい二、三の事柄。『デッド・ドント・ダイ』編

新型コロナウイルスの影響で、映画館は閉鎖、公開するはずだった映画は次々と延期になりました。一日でもはやい復旧と公開を願うばかりですが、その間、ただ首を長くして待っているのはもったいない…ということで、いまのうちに映画の予習をしておきましょう! 制作経緯を知ったり過去作を見返すことで、より奥深い映画体験になるはずです。

第1回目に扱うのは、4月に公開予定だった『デッド・ドント・ダイ』。言わずと知れた巨匠ジム・ジャームッシュの最新作です。何気ない日常を描いた前作『パターソン』(2016)とは打って変わって、今度はゾンビをモチーフに製作したそう…もう気になりますね。ではでは、早速いってみましょう!


ストーリー:アメリカの田舎町センターヴィルで、前代未聞の怪事件が発生。無残に内臓を食いちぎられた変死体がダイナーで発見されたのだ。困惑しながら出動した警察署長クリフ(ビル・マーレイ)と巡査ロニー(アダム・ドライバー)は、町をパトロールするうちに、墓地で不気味な穴ぼこを発見。折しも、センターヴィルでは動物たちが失踪するなど異常現象が続発していた。やがて不吉な予感が的中し、無数の死者たちが蘇って地元民に噛みつき始める。いくら倒してもわき出てくるゾンビとの激闘に身を投じるが、彼らの行く手にはさらなる衝撃の光景が待ち受けていた……。


その一、ゾンビの悲しい生態について

Abbot Genser / Focus Features © 2019 Image Eleven Productions Inc.

腐敗した身体でふらふらと歩き、無差別に人間を噛み殺す…ゾンビと聞くと誰もがこの姿を想像するはず。今作でもこんなゾンビが登場するのですが、そもそもゾンビとは何者なのか。

それを理解するには、ゾンビ映画の金字塔ジョージ・A・ロメロ監督の『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』(1968)を観るのが手っとり早いでしょう。ゾンビ映画の方式をゼロから作りあげた、まさに始祖。いまでは当たり前になりましたが、ゾンビに食べられた死者が蘇生する、頭を撃ち抜くと死ぬ、などのルールはこの映画からはじまりました。作品の背景には、ベトナム戦争や黒人と白人の対立があり、そこで残虐な目に遭ってきた人々の象徴としてゾンビは誕生したのです。

ジャームッシュは、この作品にオマージュを捧げながら、ゾンビ映画の強いテーマ性を現代に落とし込んでいます。今作では何を風刺しているのか、ぜひチェックしたいところですね。

ちなみに、最近だと『ゾンビランド』(2009)『アイアムアヒーロー』(2015)、「バイオハザードシリーズ」も同じゾンビ映画。どれも、ウイルスに感染した人間がゾンビとなって生存者を襲うというストーリーで、奇しくも今の世界的な状況と近いものがあります。こちらも合わせて観ると、本作の手助けになるかもしれません。


その二、恐怖を煽ってくるあの音楽

ゾンビ映画に限らず、こういった類のホラー映画は恐怖を煽る音楽がセットですよね。今作は、グラミー賞を受賞し話題になったスタージル・シンプソンがこの映画のために『The Dead Don’t Die』という曲を書き下ろし。耳に残るこの曲を含め、作中のダイアローグなどが収録されたプレイリストが公開されているので、怖がりの方はこちらで免疫をつけておきましょう。どういうシーンで流れるのかを予想しながら聴くのも、また新しい楽しみ方かもしれません。

ジャームッシュが音楽好きというのは超有名な話。作中のBGMにこだわるのはもちろん、これまでミュージシャンを収めたドキュメンタリー映画も数多く残しています。アメリカのロック界に君臨するニール・ヤングと、彼が率いるクレイジー・ホースに焦点を当てた『イヤー・オブ・ザ・ホース』(1997)もそのひとつ。フィクションとはひと味ちがう手腕が見られますよ。


その三、とにかく眩しい出演者の顔ぶれ

© 2019 Image Eleven Productions Inc. All Rights Reserved.

パーマネント・バケーション』(1980)では少年(グリス・パーカー)が踊り狂い、『ミステリー・トレイン』(1989)では工藤夕貴と永瀬正敏が煙草をふかし。ジャームッシュ作品は俳優とセットで語られることが多いですよね。

毎度、キャスティングにも彼のセンスが滲み出てるわけですが、今作もこれまでに劣らぬ見事な顔ぶれ。常連のビル・マーレイ、ティルダ・スウィントン、前作に続いて参加しているアダム・ドライバーに加え、クロエ・セヴィニー、スティーヴ・ブシェミ、トム・ウェイツ、セレーナ・ゴメス…とすでに眩しすぎる面々ですが、何と言ってもこの人でしょう。

Frederick Elmes / Focus Features © 2019 Image Eleven Productions, Inc.

そう、過激なパフォーマンスで“淫力魔人”と呼ばれていたイギー・ポップ。ジャームッシュは2016年に、彼のバンド、ザ・ストゥージズのドキュメンタリー映画『ギミー・デンジャー』を撮っていましたが、まさか今回俳優で、しかもゾンビ役で出演させるとは…あっぱれです。

豪華な顔ぶれとは言え、数秒しか映らないキャストもいるらしいので(贅沢!)、事前に把握しておくが吉でしょう。


その四:ニッポンが好きすぎる監督

Frederick Elmes / Focus Features © 2019 Image Eleven Productions, Inc.

前項でもありましたが、初期の作品に工藤夕貴と永瀬正敏を抜擢したり、『ゴースト・ドッグ』(1999)では武士道にあこがれて剣業に励む黒人を主人公にしたりと、ジャームッシュ作品には日本への関心を感じるものがたくさんあります。今作も、ティルダ・スウィントン演じる葬儀屋の女主人が剣さばきをするシーンがあるそう。お楽しみに。


以上、二、三におさまりきらず…すみません(笑)

今作は、ゾンビ映画的な恐怖はありつつも、滑稽で肩の力の抜けるジャームッシュらしい出来栄え。見通しのつかない状況ですが、いまは、おうちで予習をしながら公開を待つことにしましょう! 次回は、鬼才アレハンドロ・ホドロフスキー監督の最新作『ホドロフスキーのサイコマジック』をご紹介します。

INFORMATION

『デッド・ドント・ダイ』

監督・脚本:ジム・ジャームッシュ
出演:ビル・マーレイ、アダム・ドライバー、ティルダ・スウィントン、クロエ・セヴィニー、スティーヴ・ブシェミ、ダニー・グローヴァー、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、ロージー・ペレス、イギー・ポップ、サラ・ドライバー、RZA、キャロル・ケイン、セレーナ・ゴメス、トム・ウェイツ
日本語字幕:石田泰子 
提供:バップ、ロングライド
配給:ロングライド
原題:THE DEAD DON’T DIE
© 2019 Image Eleven Productions Inc. All Rights Reserved.
近日公開 TOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて
longride.jp/the-dead-dont-die/ 

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