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韓国の気鋭監督キム・ボラが掬いあげたのは、ある少女の小さな羽音。映画『はちどり』がユーロスペース他にて公開されます。

羽を1秒間に80回動かし、蜜を求めて長く飛びつづける「はちどり」。希望、愛、生命力の象徴とされ、世界で最も小さい鳥のひとつとされています。本作は、そんなはちどりのように小さなウニが、さまざまな人間関係に揉まれ、それでも世界に羽ばたこうとする物語です。

〜STORY〜
1994年、韓国・ソウル。88年にオリンピック開催を果たし、国際化と民主化が加速、空前の経済成長を迎えていた。家族と集合団地で暮らす14歳のウニは、学校に馴染めず、他校の親友やボーイフレンドと過ごしていた。両親は小さな店を必死に切り盛りし、ウニに無関心。ひとり孤独な思いを抱えていた。ある日、通っていた漢文塾に女性教師のヨンジがやってくる。ウニは、自分の話に耳を傾けてくれるヨンジに次第に心を開いていく。ある朝、ソンス大橋崩落の知らせが入った。それは、いつも姉が乗るバスが橋を通過する時間帯だった。ほどなくして、ウニのもとにヨンジから一通の手紙と小包が届くー。

メガホンを取ったのはキム・ボラ。コロンビア大学院で映画を学び、2011年に監督した短編『リコーダーのテスト』が、アメリカ監督協会による最優秀学生作品賞をはじめ、各国の映画祭で受賞をし注目を集めました。本作が長編デビューになるわけですが、ベルリン国際映画祭をはじめ国内外の映画祭で50を超える賞を受賞。また、韓国では昨年8月に公開され、単館規模ながら観客動員15万に迫る異例の大ヒットとなりました。

少女の繊細な感情を見事に演じ切ったのはパク・ジフ。2013年にデビューして以来、数々の作品に出演、本作をきっかけに大きな注目を集めています。河瀨直美がプロデュースの『ひと夏のファンタジア』(14)で主演を務めたキム・セビョクは教師役で。『グエムル』(06)のチョン・インギや『息もできない』(08)のイ・スンヨンなども名演を残しました。

男性が優遇されることが当たり前の時代に、女性として生きるということ。学校や家族という集団のなかで過ごすということ。だれしも通る思春期の葛藤がウニを通して描かれます。彼女の言葉にならないもやもやは、ささやかに、でもしっかりとした重さで写されていて、思わず息を飲んでしまうはずです。

今週6月20日(土)から、ユーロスペースを皮切りに全国で公開されます。ぜひ劇場で、彼女の羽音ひとつひとつに耳を澄ましてみてください。

INFORMATION

映画『はちどり』

監督・脚本:キム・ボラ 
出演:パク・ジフ、キム・セビョク、イ・スンヨン、チョン・インギ
(C) 2018 EPIPHANY FILMS. All Rights Reserved.
提供:アニモプロデュース、朝日新聞社
配給:アニモプロデュース
公式サイト:animoproduce.co.jp/hachidori/

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