キュレーションストア「フイナムズ」の中から、編集部員が気になったモノを紹介する「今日のフイナムズ」。大きな反響をいただいているようで、現在売り切れ続出中。そんな読者の期待に応えるため、テーマ性を設け、一挙に複数アイテムをセレクトするこちらのコーナーが新たにスタートします。
記念すべき第一回目のテーマは「この夏活躍間違いなしのTシャツ」。シンプルなプリントものから、社会的なメッセージが込められたものまで、個性溢れるラインナップをどうぞご覧ください。
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▼「HAg-Le」NO FEAR border T-Shirt
ヌーベルヴァーグの旗手ジャン=リュック・ゴダール。今尚語り継がれる名作の数々を世に打ち出し、映画界に革命をもたらした人物です。そんな彼の作品は内容もさることながら、出演者たちのファッションからも目が離せません。
中でも印象的なのは、『勝手にしやがれ』のジーン・セバーグ。ボーイッシュな雰囲気漂うベリーショートの髪型で、ボーダーTシャツを身に纏い、パリのシャンゼリゼ通りを颯爽と闊歩する姿は、男が見ても憧れてしまうほど。
だけど、こうしたフランス映画でよく見かけるボーダーは、上品かつフェミニンの要素が強くて少し尻込みしてしまう。ということであえなく断念したところ、今回ご紹介するTシャツにちょうど出会いました。
ボーダーはボーダーでも、こちらの背景にあるのはモトクロスやエクストリームスポーツといったストリートカルチャー。滲んだような細いボーダーはかしこまりすぎていないちょうどいい塩梅で、クラシックでもストリートでも大活躍。個人的には、ブルージーンズとローファーなんていう典型的なフレンチスタイルながらも、このTシャツで少し気を抜く感じで着てみたい。
胸元には“NO FEAR”の刺繍。これを着て、臆することなくジーン・セバーグを目指せというわけでしょうか。
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▼「HAg-Le」CAMBER MAX WEGHT pocket T-Shirt
夏のファッションに欠かせない無地T。グラフィックやロゴがないからこそ、ボディそのものの質やシルエットが重要になってきます。
代表的なブランドでは〈ヘインズ(Hanes)〉や〈チャンピオン(Champion)〉などが挙げられますが、今回推したいのは〈キャンバー(CAMBER)〉のモノ。
1948年にアメリカはペンシルベニア州にて、生地の生産工場としてスタートし、今尚アメリカ生産にこだわり続けている〈キャンバー〉。そんなブランドを象徴する一品が、このマックスウェイトTシャツです。
ボディに使用されるのは、その名の恥じない8オンスの超肉厚コットン。ガシガシと洗濯してもへこたれない、まさに“ザ・アメリカ”といった生地感です。
そして最も推したいポイントは、なんといってもこのキュッと詰まった首元。普通のTシャツだと中に着ているインナーがチラ見えして不格好になっちゃいますが、これならそんな心配はご無用。
加えて、このインパクト抜群のカラーリングは、軽装になりがちな夏のスタイリングにおいて、一枚でも様になるポテンシャルを秘めています。
パンツはぶっといストレートのスラックスを履いて、アメリカかぶれのスタイリングなんてのも一周回って乙ですね。
無地Tとしては少々値が張るように思えるかもしれませんが、長年愛用できることを考えるとむしろお買い得かと。残すところラストワンサイズですので、気になる方はお早めに。
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▼「Post JUNK」LEVI’S two horse logo T-Shirt
みなさん大好き〈リーバイス(LEVI’S)〉のジーンズ。そこに取り付けられているレザーパッチには、2頭の馬がジーンズを引き裂こうとしている様が描かれています。
このアイコニックなパッチが初めて縫い付けられたのは、遡ること1886年。当時はジーンズの丈夫さを示すための品質保証書だったといいます。しかし、このロゴは今や本来の役割にとどまらず、〈リーバイス〉のデザインに欠かすことのできない一要素にまでなっています。
こちらのTシャツは、そんなツーホースロゴをフィーチャー。フロントのプリントもさることながら、同色が使われたネックリブなんて、いかにも80・90年代を感じさせるデザインで、今のトレンドにバッチリハマりそう。
それこそ、タックインスタイルで〈リーバイス〉のジーンズと合わせるなんて最高でしょう。足元はコンバースのハイカットをチョイスして。
タグが分からないためブート扱いとなっていますが、つくりはちゃんとしていて、状態もよし、値段もお手頃ときました。夏の相棒として、是非ともお迎えしていただきたい一品です。
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▼「Post JUNK」ICE CUBE “IT WAS A GOOD DAY” T-Shirt
先のジョージ・フロイド氏の死亡事件を発端に、全世界で広がる黒人差別への抗議運動“Black Lives Matter”。およそ30年前にその精神性と怒りを一曲の歌に込めて、世界に発信したヒップホップグループ、それが「N.W.A」です。
1988年にリリースされた『Fuck The Police』は、タイトルからも分かる通り、黒人への不当な取締りを行う警官に対するプロテストソング。歯に衣着せない痛烈なリリックは話題を呼び、FBIや警察が公式に非難する一方で、若者を中心に社会現象を巻き起こしました。
こちらは、そのグループの主力メンバーであるアイス・キューブと、彼の代名詞ともいえる楽曲『IT WAS A GOOD DAY』のリリックがあしらわれたプリントT。ちなみに歌詞を直訳すると、「今日はAK(機関銃)を使う必要がなかったから、いい日だった」という平和な一日に感謝するという内容になっています。
個人的な解釈ですが、フロントにでかでかと配された、いかついアイス・キューブのプリントは体制への反抗心、一方背面のリリックは平和的解決を試みる非暴力の精神といったように、相反する二面性が表現されているような気がします。
ただのプリントTの枠を超え社会的役割を持った、まさに“今”着ることに意味がある一品ではないでしょうか。
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▼「Tam」Google T-Shirt
〈ヴェトモン(VETEMENTS)〉が「DHL」とコラボレーションしたあたりから、一躍ムーブメントと化した企業のロゴもの。
世に出回るそうしたアイテムの中でも、マーチャンダイズっぽいものよりは、実際になかの人が着ているようなユニフォーム色強いものに食指が動いてしまいます。ミリタリーやワークウェアと同様で、実生活に紐づいてるっていうバックグラウンドがたまらないんですよね。
そういう意味では、今回ピックアップしたこの「グーグル(Google)」Tシャツはその条件にぴったりハマる一品。
青を基調としたボディに、グーグルのロゴを落とし込んだだけの潔いデザイン。どシンプルなのに確かな主張を感じられるのは、おそらく我々が毎日目にしているこのロゴのおかげでしょう。テック系企業特有のナードな雰囲気も感じられて◎。
しかもボディは〈ヘインズ(Hanes)〉のビーフィー。単なる色物ではなく、Tシャツとしてのクオリティも申し分なしというわけです。