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岩井俊二が怪獣に託したのは、ミニシアターと人間の未来。映画『8日で死んだ怪獣の12日の物語』が公開です。

コロナが依然、世界で猛威を振るっています。政治も経済も滞り、人びとの生活は窮地に立たされました。日本のカルチャーシーンを支えていたエンターテインメントも例に漏れず、その影響を多大に受けています。

映画『8日で死んだ怪獣の12日の物語』はこんな状況下でも、新しいエンターテインメントを届けたいという想いから動き出しました。映画『シン・ゴジラ』監督の樋口真嗣さんら5人の監督が立ち上げた「カプセル怪獣計画」、その番外編にあたるのが本作で、監督は『スワロウテイル』『四月物語』『リリィ・シュシュのすべて』などでおなじみの岩井俊二さんです。

〜ストーリー〜
通販サイトでコロナと戦ってくれるというカプセル怪獣を買ったサトウタクミ(斎藤工)。毎日怪獣の成長を配信しているタクミの元には、通販で宇宙人を買ったという後輩の丸戸のん(のん)や、コロナの影響で無職になってしまった先輩のオカモトソウ(武井壮)など、いろいろな人から連絡がくる。日に日に怪獣は成長していくが、どうもYouTuberもえかす(穂志もえか)が育てる怪獣とは種類が違うようだ。怪獣に詳しい知り合いの樋口監督(樋口真嗣)にノウハウを聞きながら、日々怪獣を育てていくタクミ。果たしてタクミはきちんと怪獣を育てることができるのか? そして、この怪獣はコロナをやっつけてくれるのか?

主人公のサトウタクミを演じるのは斎藤工。最近は俳優だけではなく、監督やプロデュース、コメンテーターまでもこなし、次世代の映画人として業界を背負っています。本作ではその卓越した演技力で、リモート撮影という特殊な状況下をも手玉にとり、物語の軸をしっかりと支えます。

岩井監督からのラブコールに応え、劇場版で追加出演したのん。意外にも岩井組初参加でしたが、軽やかでエッジの効いた存在感を画面上でも発揮しています。また、サトウタクミの先輩オカモトソウを演じるのは武井壮。そして、話題作への出演が続く穂志もえかがYouTuber“もえかす”を演じます。

さらに映画の背中を優しく押してくれるのは、小泉今日子。これまた監督の熱烈オファーを受け、1987年の彼女の名曲「連れてってファンタァジェン」をリアレンジ、主題歌としてセルフカバーしました。

コロナ禍の閑散とした東京を写しながらも、その片隅で行われる、怪獣と我々人間のささやかな交流、確執、沈黙。全編ほぼリモートで撮影されたという本作は、フィクションでありながらも、ドキュメンタリーのようにも感じられます。作品が世に放つ一縷の光を、ぜひその目で耳で触れてみてください。

最後に監督からのコメントをどうぞ。

(前略)コロナという、いま世界中で猛威を振るっている世紀の災厄。誰もが対岸の火事ではいられないこの事態。我々エンターテインメントの世界も、真っ先に甚大な被害を被りました。僕は仕事を作る立場の側です。その責任の重さを今回ほど強く感じたことはなかった気がします。この作品を作ることそのものがコロナ禍にあって自分のできるせめてもの抵抗だった気がします。気の休まらない日々の中、この作品が誰かのせめてもの気休めになってくれたら。そんな想いです。ー岩井俊二

※本作の売上の一部は、ミニシアター支援に充てる予定です。

INFORMATION

映画『8日で死んだ怪獣の12日の物語』

公開日:7月31日(金)
脚本・監督・造形:岩井俊二
原案:樋口真嗣
キャスト:斎藤工、のん、武井壮、穂志もえか、樋口真嗣
音楽:蒔田尚昊=冬木透
プロデューサー:宮川朋之、水野昌
制作:ロックウェルアイズ
配給:ノーマンズ・ノーズ
ⓒ日本映画専門チャンネル/ロックウェルアイズ

YouTubeリンク
映画公式サイト
Twitter(岩井俊二映画祭)

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