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天才子役が歩んだ途に、本当の彼は居たのか。映画『ハニーボーイ』は俳優シャイア・ラブーフの自伝的映画です。

現在の地点まで、どのような道のりを歩んできたのか。何を得て何を捨てて、自分を形づくってきたのか。

幼少期に芸能界への道を進みはじめた俳優シャイア・ラブーフ。彼は一躍スターに登りつめた矢先、飲酒などのトラブルで世間を騒がし、一時リハビリ施設での療養をしていました。その治療の一環として行ったのが、記憶をひとつひとつ辿ること。辿るなかで書き殴った言葉を自伝として脚本におこし、作品として昇華したのが本作です。

〜ストーリー〜
若くしてハリウッドのトップスターに躍り出たオーティス(ルーカス・ヘッジズ)は、撮影に追われるストレスフルな日々のなかで、アルコールに溺れるようになっていた。2005年のある夜、泥酔して交通事故を起こしたオーティスは、更生施設へ送られる。そこでPTSDの兆候があると診断され、原因を突き止めるため、過去の記憶を辿りはじめる。思い出すのは子役時代、情緒不安定な前科者で無職の父・ジェームス(シャイア・ラブーフ)に振り回された記憶。オーティスを心配する保護観察員、隣人の少女、撮影現場の大人たちとの交流の中で成長していくオーティスは、新たな世界へと踏み出すのだが──。

メガホンを取ったのは映画監督アルマ・ハレル。ポン・ジュノ監督から「2020年代に注目すべき気鋭監督20人」の1人として名前を挙げられており、これからの動向に期待が高まっています。ラブーフと親友でもある彼女は、まだリハビリ中の彼とたびたび連絡をとり、記憶を紡ぐアシストをし、脚本に落とし込んでいきました。

子役として名を馳せる12歳のオーティスを演じたのは、ノア・ジュプ。『ワンダー 君は太陽』『クワイエット・プレイス』『フォードvsフェラーリ』と幼いながら多ジャンルの傑作でキャリアを積んでおり、成長著しい俳優の一人です。理不尽な大人に揉まれ、背伸びしながら必死に食らいつくオーティス。シンプルじゃない人間像を、その経験と才能を携えて見事に全うしました。

10年後のオーティスには、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』でアカデミー賞®にノミネートされたルーカス・ヘッジズ。そして父ジェームズには、先述の通り、脚本も手がけたシャイア・ラブーフ。トラウマの元凶でもあった自身の父をみずからで演じる、という荒療治とも言える配役は、作品とラブーフにどんな影響を及ぼしているのか。

現在と回想が交差しながら進んでいく本作。それぞれの輪郭がくっきりとするにつれ、むき出しになる自身の性(さが)とどう折り合いをつけていけるのかが見どころです。

本日8月7日(金)より公開。ラブーフが這ってきたこれまでの途を、ぜひ劇場で見つめてみてください。

INFORMATION

映画『ハニー・ボーイ』

公開日:8月7日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館 ほか全国順次公開
監督・製作:アルマ・ハレル
脚本:シャイア・ラブーフ
キャスト:ノア・ジュプ『フォードVSフェラーリ』、ルーカス・ヘッジズ『マンチェスター・バイ・ザ・シー』、シャイア・ラブーフ『トランスフォーマー』シリーズ、ブライオン・バウワーズ、ローラ・サン・ジャコモ、FKAツイッグス
配給:ギャガ
字幕翻訳:栗原とみ子 
原題:『HONEY BOY』/2019年/アメリカ/シネスコ/5.1chデジタル/95分
サンダンス映画祭 審査員特別賞、ほか世界各国の映画祭で34ノミネート9受賞
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