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巨匠・市川崑があぶりだしたのは、球児の健闘の美。『第50回全国高校野球選手権大会 青春』は甲子園のドキュメンタリー映画です。

甲子園は日本の夏の風物詩。暑さを凌駕するその熱気は、毎年ひとびとを興奮の渦へと巻き込んできました。しかし今年はコロナウイルスの影響で中止を余儀なくされ、心にぽっかりと穴が空いたような、そんな気持ちの人も多いのではないでしょうか?

なくなって初めて甲子園の重要さを噛み締めたいま、ある映画が52年の時を経てソフト化、リバイバル上映されます。

〜ストーリー〜
大鉄傘に風の音が鳴る冬の甲子園球場。人影一つない風景、夏の烈日の下にエネルギーを爆発させる球児の姿が幻のようだ。第1回全国中等学校優勝野球大会は、豊中球場に10校を迎えて村山朝日新聞社長の始球式で、熱戦の火蓋をきった。大正13年、甲子園球場完成。昭和23年、その名称は全国高等学校野球選手権大会と改められた。数々の激闘、球児たちの青春の歴史は日本全国で力強く受継がれ、ついに第50回の記念大会を迎えた。

巨匠・市川崑監督は、国民的映画として大ヒットとなった『東京オリンピック』の製作後、国民的一大イベントである夏の高校野球をテーマにしたドキュメント映画を構想。朝日新聞社と高校野球連盟が全面協力し、1968年開催の第50回を迎える記念大会を圧倒的なスケールで映画化しました。

通常のドキュメンタリーで思い浮かべる映像、手法とはひと味ちがいます。甲子園という題材は、市川崑映画の土俵にあげられ、そのほとばしる汗とともに、さらに力強く写されています。その大胆な構図やリズミカルなカットつなぎたるや、圧巻です。

脚本制作には、井手雅人・白坂依志夫・伊藤清・谷川俊太郎が参加。前年の冬から撮影をはじめ、練習に励む全国の球児たちを追いました。いざ甲子園の試合はというと、20数台のカメラと120人のスタッフを球場の各所に配置し撮影され、さらに望遠・ハイスピード・ズーム・広角レンズとさまざまな視点から、彼らの一挙手一投足を捉えました。

それらの映像には、会場の音だけではなく、観客や審判、選手などのこまかな音声も編集で加えられ、ノンフィクションであるはずなのに、臨場感と叙情が感じられます。

これまで日本の高校野球が築きあげてきたものを、映画がすくいあげたその健闘する姿を、ぜひ劇場でご覧ください。

INFORMATION

『第50回全国高校野球選手権大会 青春』

総監督:市川崑
総指揮:広岡知男
製作:衣奈多喜男、菅野⻑吉
脚本:井手雅人、白坂依志夫、伊藤清、谷川俊太郎
企画:朝日新聞社
監修:日本高等学校野球連盟
製作:朝日新聞社/朝日テレビニュース社
配給:日活
公開日:8月14日(金)より渋谷アップリンクを中心に全国の劇場で公開
1968年/日本/96分

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