急速に成長を続けているアジアのファッションシーン。
この地域から生まれるブランドは、本流のヨーロッパ的価値観とは異なる、オルタナティブな物づくりでその存在感を強めてきました。
そして今、ファッションのイメージが希薄だった中国、韓国をはじめ、それ以外のアジア諸国にも注目が集まりつつあります。
今回紹介する〈ディーワイシーチーム(DYCTEAM®)〉も台湾発のブランド。
ブラックをメインのカラーパレットに、機能素材を使用する「ベーシックコレクション」、デニムを主とする「ブルーコレクション」、この2つのラインを軸としたクリエイションを展開しています。
そんな〈ディーワイシーチーム〉の新作が、セレクトショップ「ジョイント ワークス(JOINT WORKS)」にて販売されます。
こちらは、ワークウェアの定番カバーオールジャケットをベースに、独自のアレンジを落とし込んだ一品。
ダック地やデニムを使用するものが多い中、こちらは伸縮性のあるストレッチコーデュロイを組み合わせることで、ひと味違うミニマルな印象になっています。
一般的なワークウェアというのは、どうしても武骨な印象になりがち。しかし、こちらは畝がほとんど目立たず、ベロアのような上品な艶感がある生地なので、綺麗目のスタイリングでも活躍してくれそうです。
フロントにはポーチのような3Dポケットを配置し、開閉部分にあしらわれる止水ファスナーはアウトドア要素をプラス。
起点はワークウェアですが、モードの雰囲気もかすかに漂う、絶妙な塩梅に着地しています。
〈ディーワイシーチーム〉が使用する素材は、すべてオリジナル。近年は、環境に配慮した素材開発を進めているそうで、このアノラックパーカには、撥水加工を施したリサイクルポリエステルが使用されています。
デザイン面では、胸元から裾にかけて一枚の生地をオーバーレイし、さらにその上からポケットを付けた、パッチワークのような独特のアプローチが印象的です。
アクセントとなるバックルは、アウトドアウェアに見られる本格的なパーツを採用。こうした細かなこだわりからは、物づくりの水準の高さを感じることができます。
フロントのポケットは、文庫本が入るぐらいのサイズ感。荷物が少ない人は、これを羽織るだけで外出できそう。雨の時だって、傘を持つ必要もありませんしね。
デニムジャケットには、ビッグメゾンも使用するテキスタイルメーカーと共作したオリジナル素材を使用。
洗いをかけることで独特の風合いに仕上がりました。随所にあたりが生まれ、裾に向かうにつれて色がフェードしていくグラデーションになっています。
ちなみにこのデザインは、水面を投影したものだそう。ボディ全体に見られるダメージは白いさざ波を表現しています。
これだけ手間がかかっているのに、価格はリーズナブル。自社工場を持っているからこそ実現できる、このコストパフォーマンスの高さも魅力のひとつです。
ここで紹介したのは、どれもベーシックを再編集したアイテム。そこには、個性的だけど、きちんと地に足がついている、そんなちょうど良さがあるように感じます。気になる方は「ジョイント ワークス」にて、実際に袖を通してみてはいかがでしょう。