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連載【で、NEW VINTAGEってなんなのさ?】Vol.3 “何かイイ感じ”が丁度いい、サンフランシスコのスーベニア物。

そもそもニュー・ヴィンテージとは?

1990年代、誕生から100年経過している“アンティーク”に対し、その定義は満たしていないけど、価値のありそうな古着を打ち出す際に使われ出した言葉“ヴィンテージ”。いまではさらに“レギュラー”と呼ばれていた80年代以降の古着にも、“ニュー・ヴィンテージ”という新たな価値を見出す動きがあります。本企画ではこの古着の新たな楽しみ方を、スタイルの異なる4つの古着屋が提案。それぞれの感覚でその魅力を語ります。

第3回目は「シエスタ(SIESTA)」の青木崇さん。

Text_Tommy
Edit_Yosuke Ishii


青木 崇 / SIESTA店主
Vol.3_サンフランシスコのスーベニア物

―青木さんにとっての、ニュー・ヴィンテージとは?

ウ〜ン、正直言うと分かんない!(笑)。そもそも80年代以前の、例えば50〜60年代のアイテムなんかでも、いまだ古着業界的に価値が定まっていないモノってあって。それをどこかのタイミングで誰かが「価値があるって言ったもん勝ちっしょ!」って言い出して、ヴィンテージとして認知されるようになるわけですよね。これまでの古着業界を見ていても、それの繰り返しだったわけですし。ここで言うニュー・ヴィンテージっていうのも、基本的に同じなのかなとは思っています。ただ、誰かの物差しではなく、例えば音楽やスケボーなど、自分の好きなカルチャーと紐付いていたりとか、自分にとって価値のあるモノを選ぶのはイイことだと思いますよ。

―その上で選び出す際の基準って、なんでしょうか?

まず、希少性=レアかどうかっていうのは、どうでもいいんですよね。これまでのヴィンテージって、例えば〈リーバイス(Levi’s)〉の501®︎でも、みんなが全く同じモノを探していたじゃないですか。それに対してニュー・ヴィンテージは、もっとザックリと“同じ雰囲気のモノでいい”みたいな。言い換えるなら、ジャンルとかカテゴリーという大枠が一緒ならOKって感覚。それがウチの場合は、“サンフランシスコ”になります。

―たしかに、「シエスタ」=サンフランシスコのイメージがあります。今回、紹介していただくのは、そんなサンフランシスコのスーベニア(お土産)物。まずはTシャツですね。

サンフランシスコのスーベニアTシャツ 左から¥6,500+TAX、¥7,000+TAX、¥9,000+TAX(すべてシエスタ)

これなんかは、ココペリ(アメリカ先住民・ホピ族に伝わる、豊穣の神様)がワンポイントで入っています。しかもなぜか刺繍で(笑)。ココペリといえば、ちょっと前に〈ルックスタジオ(LQQK Studio)〉も、同じくココペリをデザインしたフリースジャケットをつくっていましたよね。あれも、彼らのインタビューを読むと「(ココペリは)楽器を吹いていて、俺たちも音楽が好きだから」って答えていて。要は“なんかイイ感じだったから”っていう(笑)。きっかけなんて、そんなもんでいいと思うんですよ。フィーリングで。例えば、好きなバンドのメンバーが、知らないバンドのTシャツを着ていたら、何だコレ? って調べて、そのバンドの音を聴いてみるじゃないですか。モノ選びって、そこからどう広がって繋がっていくかが重要なのかなと。そうやって、その人なりのニュー・ヴィンテージが生まれるわけですし。

―どう感じ取って、そこからどう広がるかが大事と。他にも101匹ワンちゃん的なヤツやマップ柄など、見ているだけで楽しいですね。

正直、もう出てきたのを買うってノリですが、結局は自分が着たいかどうか。このマップ柄なんかは、「GX1000」っていうサンフランシスコのスケートクルーがつくったフーディーでもサンプリングされていました。いくらお土産物とはいえ、こんなトボケたデザインのTシャツを、どういった人たちが買ったんだろうと想像するのも楽しいじゃないですか。アルカトラズ島に見学に行って、そこのお土産物屋で買ったのかなぁ。じゃあ、内陸の人なんだろうな。で、買って帰ったけど、ずっとクローゼットの奥にしまい込んだままで、それを息子の学校のバザーで売ったのかな? とか(笑)

―それが巡り巡って、日本の原宿で売られていると(笑)。ストーリーがありますね。

そうそう。そこが古着の一番面白いところですよね。そもそも、最初にファッションとして古着を着始めた人たちって、人と同じモノじゃイヤだっていうのが、あったと思うんです、初期衝動として。それが時を経て、みんながイイと評価するモノじゃなきゃダメってなっちゃって。基本的に雑誌やメディアで紹介されたモノなんて、もう店頭では既に売り切れているんですよ。古着ってそういうものだし。その代わり、“同じ雰囲気のモノ”はあったりするので、ショップスタッフに、「○○○が好きなんです」って伝えれば、じゃあこういうノリも好きなんじゃない? って教えてくれるはず。そういう中で、“自分の中での格好いい”という感覚が出来上がってくる。それが古着を探して、着る醍醐味だと思っています。

―なるほど。続いてはスウェットですが、これはよく見かけるデザインですよね?

サンフランシスコのスーベニアスウェット ¥6,500+TAX(シエスタ)

かの地の象徴、ゴールデンゲートブリッジと頭文字の S・Fがデザインされています。たしかにサンフランシスコのスーベニア物ではよく見るんですが、どうもオフィシャルかアンオフィシャルか不明なんです、どれも。古着以外でも、〈ベイエリアギフトショップ(Bay Area Gift Shop)〉のようなブランドでも使われていたりしますし。まぁ、それだけ人々から愛されているデザインということで。

―なんともいえない、力の抜け具合というか。

ポイントは、“なぜプリントではなく刺繍?”という点。これも大した意味はなく、なんか刺繍の方が高級感あるって感じじゃないかなって。ボディに使われているのは、90年代の〈ヘインズ(Hanes)〉ですが、個人的にもこの辺りのアームホール太め&ボックスシルエットが好きですね。またこのボンヤリしたピンクの色味も、気が抜けていてたまらない。古着的な楽しみ方としては、文字のフォントなんかが微妙に違ったりしているのを見比べるのも楽しいけど、かといってその先に何かがあるわけでもなく…(笑)。雰囲気で選んで楽しむのが正解でしょうね。

―結局は、選び手側のセンスにかかっているというか。

そもそも、この辺りのアイテムって、カッコいいとか、既にそういう概念を超越しているというか。俺らの世代だと、当時のスケートビデオや映画の登場人物って、みんな普通のアメリカの服を着ていて、それに憧れていたわけじゃないですか。なので、古いからとかレアだからイイという感覚は、元々持ち合わせていなかったんですよね。たまたま、自分自身がオッサンになっていくと同時に、当時から好きだったモノも、いわゆるニュー・ヴィンテージになっちゃっただけというか。まぁ、深く考えないで、他の人が見たら価値がないモノだけど、自分はイイと思うモノ。それを見つけるのが一番じゃないですか? 何より安いし(笑)

青木崇 / SIESTA 店主
渋谷・神南エリアの人気古着屋「I&I」を経て、インポート&古着、自転車のパーツなども取り扱うショップ「シエスタ(SIESTA)」を、原宿・とんちゃん通りにオープン。アメリカ西海岸周辺のカルチャーの匂いを感じさせるセレクトで、スケーターや自転車乗り、シティボーイから業界関係者まで幅広くファンを獲得。今年でめでたく10周年を迎えた。
公式HP:www.siesta81.com
インスタグラム:@siestastore

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