CLOSE
NEWS

【FOCUS IT.】モンスターを10年描き続けるアーティストによる「トマソンランド」が京都に建国!合言葉は“取り戻せ、僕らのモンスタープライド”。


単純計算すると3650体。10年もの間、1日たりとも欠かすことなくオリジナルモンスターを描き続ける唯一無二のアーティスト、TOMASONさん。彼の生み出すモンスターたちは、色あざやかでとびきりチャーミング、それにピリッとした毒っ気をはらんでいて、思わず惹かれてしまいます。

そんな彼による4度目にして過去最大となる体験型エキシビション『TOMASON LAND』が、京都の老舗百貨店・藤井大丸で11月23日(月・祝)まで開催されています。未だ謎多きTOMASONさんのパーソナリティとイベントに込めた思いに迫るべく、『TOMASON LAND』にお邪魔しました。

PROFILE

TOMASON
アーティスト、キュレーター

岐阜県出身、2011年より日課であるモンスターのライティングをスタート。そのエキセントリックな活動が話題を呼び、地元・岐阜県と東京を中心に個展やアートフェスなども開催し、様々なセレクトショップとのコラボアイテムをリリースしている。19年には表参道に自身のギャラリー「MAT」をオープン。さらに今年春にはオリジナルモンスターをまとめた図鑑『MONSTER BOOK』も出版。

インスピレーションは、何気ない日常から。

ーTOMASONさんは10年間モンスターを描き続けていますが、それはどうしてですか?

物心ついたときから怪獣やモンスターが大好きで、愛読書は水木しげるの『妖怪図鑑』でした。ウルトラマンを観ていても、なぜか敵側の怪獣のほうが気になるんですよね。だけど彼らは正義のヒーローに倒されて、すぐにいなくなってしまう。それがなんだか寂しくて、いつもこっそり怪獣のイラストを描いていました。

最初は何となく描いているだけでしたが、大学に入学するタイミングで自分の将来のことを考えたとき、ずっとモンスターを描き続けていきたいと思ったんです。その頃から10年間、どんなに忙しくても体調が悪くても毎日欠かさずモンスターを描いています。

ー10年はすごいですね! TOMASONさんの描くモンスターはポップな色使いとユーモラスな表情が印象的です。なにに影響を受けたんですか?

小学生のときに家族旅行でNYへ行って、ティム・バートンのフィギュアをたくさん買ってもらったんです。そこから海外のポップカルチャーにハマって、アメコミやマーク・ゴンザレスをはじめとしたスケーターブランドに惹かれるようになりました。ビビッドなカラーリングや、悪役だけど憎めないキャラクターがすごく好きで。あと、僕はポスカを使ってコピー用紙にモンスターを描くのが日課なので、原色を用いた作品がベースなんです。

ー日々描いているモンスターは、どんな発想から生まれるんですか?

近所を散歩しているおじさんの帽子とか、道端に落ちているゴミのシルエットとか(笑)。その日、見たものや感じたことがベースになっています。モンスターを描くことは、僕の頭の中を記録する日記に近いのかも。実際のところ、毎日描いているとすぐにネタが尽きてしまうので、日々の何気ない気付きから、インスピレーションを得ることが多いですね。

そもそも『TOMASON LAND』ってなんだ?

ー今回の『TOMASON LAND』は過去最大の規模ということですが、まずはどのようなイベントなのか教えてください。

これまで僕が描いてきたモンスターの世界を体験できるエキシビションです。広いフロアを丸ごと使って、モンスターと人間が共存するポップでカオスなテーマパークを表現しました。

―コロナ禍での開催に踏み切った経緯もお聞きしたいです。

実はこんな状況になる前に、藤井大丸さんから『TOMASON LAND』のオファーを受けていて。僕自身、昨年ギャラリーをオープンして、今年の春にアートブックを出版……と、本来なら2020年はとても重要な一年になるはずでした。だけど、コロナの影響でいろんなプロジェクトがストップしてしまい、かなりモチベーションが下がっていたんです。正直、開催直前のいまはお客さんが来てくれるかもわからないですし、こんな状況であえて大変なことをするのもどうかなと。一時は断ったほうがいいんじゃないかと本気で悩みました。

そんなとき、たまたまギャラリーに来てくれたお客さんに「こんなご時世だからこそ挑戦してほしい」と励まされたんです。改めて考えると、以前はものづくりができるだけで、ただイラストを描いているだけですごく楽しかった。だけど今の自分は、時代にフィットしているかということばかりに捉われて、自由なアートワークができなくなっていました。日々の忙しさに追われて、いつの間にかアートを純粋に楽しむ気持ちを忘れてしまっていたんです。初心、言い替えればモンスタープライド。それをもう一度取り戻すため、『TOMASON LAND』の開催を決意したんです。

ー今回の『TOMASON LAND』は、どのような展示になっているんですか?

テーマは“モンスタープライドを取り戻す”ことです。皆さんには、モンスターと人間が共存する世界に足を踏み入れてもらいます。最初は某テーマパークをオマージュした空間を楽しんでもらうんですが、あるとき両者の仲を引き裂く残虐な事件が起きて。それをきっかけに、少しずつ不穏な空気が漂い始める……。

某テーマパークをイメージした空間には、オリジナルモンスター“ジャスティンベアー”のビッグなオブジェをディスプレイ。絶好のフォトスポットだ。

何やら不穏な空気が漂う第2エリア。その壁際には、モンスターの“松本ダイ”(左)と“松本ダイ・レクイエム” (右)が吊るされている。結構グロい。

と、あまり多くは語れませんが、今回のために描き下ろした作品のなかには、モンスターたちが血を流して戦うシーンもあって。ときには血を流すほどの思いと覚悟を持って、今の状況を打破することも大切だというメッセージを込めました。

楽しげな遊園地のようにも見えるが、その地下空間ではモンスターによる恐ろしい策略が練られている。

あのタレントやアイドル、世界を股にかけるミュージシャンすらもモンスターだったという衝撃のリーク情報も⁉

イベントのために描き下ろした新作には、己のプライドを取り戻すため、激しい戦闘を繰り広げるモンスターの勇姿が。

ーこうやって会場を回ってみると、ひとつの映画を観ているようなストーリー性があっておもしろいですね。

ありがとうございます。こうやって実施できたのは、モンスターのぬいぐるみをつくってくれた叔母や設営を手伝ってくれた地元の友人をはじめ、たくさんの人に支えられたからこそです。そんな周りの人たちへの愛をちりばめたエキシビションになっています。このイベントを通して一人ひとりが自信や誇りを取り戻し、今の状況に負けない強いマインドを手に入れてほしいですね。

中央に鎮座するのはTOMASONさんの叔母による“ジャスティンベアー”と“スピークボーイ”のぬいぐるみ。それを取り囲むのは、彼をサポートする地元の仲間たちのオブジェ。

『TOMASON LAND』を根こそぎ楽しむコツ。

ー最後に『TOMASON LAND』をもっと楽しむコツはありますか?

展示はすべて写真撮影OKです。ぜひたくさん撮影して、 #TOMASONLAND2020のハッシュタグと一緒にSNSにアップしてほしいですね。僕も案内人として『TOMASON LAND』に立つ予定なので、タイミングが合えば直接お話できるかも。それと、その人の雰囲気からインスピレーションをもらって、即興でモンスターを描くワークショップ「似顔絵モンスター」もやるので、記念にやってもらいたいです!

TOMASONさんが来場者を描く「似顔絵モンスター」。ツインテールの彼女は“JENNY”というモンスターに。

ちなみに物販コーナーは無料。インテリアのアクセントになるカラフルなフィギュアは¥3,000~。

Photo_Nagisa Nishijima
Text_Yuka Muguruma(TRYOUT)

INFORMATION

TOMASON LAND in KYOTO -GET BACK MONSTER PRIDE-

会期:~11月23日(月)
住所:京都府京都市下京区貞安前之町605 藤井大丸7F 特設スペース
電話:058-213-7709
時間:13:00〜18:00、土曜〜19:00 ※最終日は〜16:00
入場料:¥1,000 in TAX ※物販コーナーのみの入場は無料
イベント詳細
Instagram:@new_tomason

このエントリーをはてなブックマークに追加
TOP > NEWS