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改めて注目したい岐阜のモノづくり。セバスチャン・コンランとのコラボで、日本が誇る伝統工芸が世界へ。

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パリ・コレクションといえば、ファッションシーン随一の花形イベント。それと同じことが、インテリアの世界でも行われているのをご存知でしょうか?1月と9月の年2回、同じくフランスはパリで開催される「メゾン・エ・オブジェ」こそ、インテリア業界における“パリコレ”なのです。

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集まるのは、家具や装飾品、テーブルウェアといったインテリアデザイン全般。そのシーズンのトレンドがここで決まるため、関係者が世界中から集まることで知られています。しかも近年は、パリ・メンズ・ファッションウィークと開催時期を同じにしたものだから、ファッション業界からの来客も増え、注目度もますます上昇。出展すること自体が世界レベルの評価に繋がる、最高峰の見本市といえるでしょう。

そんな展覧会に、豊かな森林と美しい清流に恵まれ、その清流に育まれた多彩な伝統産業が息づく岐阜県が初出展しました。お披露目されたのは、世界的に著名なデザイナーとして知られるセバスチャン・コンランとのコラボコレクション。

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“岐阜”と“コンラン”という一見何の交わりもないように思える両者のコラボが実現したのは、セバスチャン・コンラン氏が抱く、伝統的なモノづくりに対する敬意と危機感から。ちなみにコンラン氏は、本展への出展にあたり、以下のコメントを寄せています。

「伝統的なモノづくりは世界中で消滅しつつあります。その多くは、人件費の問題であったり、手作りのモノに対する消費者の価値観の変化によるかもしれません。日本のモノづくりは、ヨーロッパのラグジュアリーブランドにも引けを取らない高いポテンシャルを持っていると確信しています。歴史ある岐阜県の10社と連携し、コンテンポラリーなデザインで伝統的な技術が引き立った、世界に通用するコレクションを作りました。私が手掛けてきたプロジェクトの中で最もエキサイティングなプロジェクトの1つであり、これにより日本の職人技の再生や手作りの工芸品の価値が再認識されることを願っています」。

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今回発表されたギフ・コレクションには、専門技術を持つ企業全10社とともに制作した、37もの商品がラインナップ。日本の伝統技術とコンテンポラリーなデザインが融合したプロダクト、と一括りにまとめるにはあまりにも惜しいコレクションゆえ、それら全てをここでご紹介します。

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〈セバスチャン・コンラン×浅野商店〉キンカ・ランプ

お盆提灯の技術を用いて、手作業で仕上げられたキンカ・ランプ。電池式LED提灯は、従来のロウソク型よりも安全で、屋内屋外どちらでも使用することが可能。

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〈セバスチャン・コンラン×飛騨産業〉ダイニングテーブル、ダイニングチェア

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〈セバスチャン・コンラン×飛騨産業〉ワークステーション、タスクチェア

飛騨高山地方に伝わる木工技術を使用した家具は、レッドオーク製。ダイニングテーブルとダイニングチェア、ワークステーションとタスクチェアはそれぞれ、現代技術を積極的に取り入れながらも、あくまでも日本文化を反映するデザインにまとめられています。

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〈セバスチャン・コンラン×寿泉窯〉クリスタライン・マグ

クリスタライン・マグは、陶器の表面に花が咲いたような繊細な模様をつくりだす色彩豊かな結晶釉が特徴。釉薬の性質により、同じものは2つとないランダムな表情が生まれました。また、「檜の枡を新しい使い方で楽しんでほしい」という思いから、コースターとしても蓋としても使える枡が付属されています。

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〈セバスチャン・コンラン×カネコ小兵製陶所〉サーブウェア(ピッチャー、ミルクジャグ、カラフェ、ナッツボウル)

彫刻のような造形を持つサーブウェアは、クラシックとモダン、どちらの料理やドリンクでも合うように欧米で使われているサイズで設計されたもの。何世紀にも渡って世界中で愛され続けている日本の陶磁器のエッセンスが詰まった、遊び心あるデザインと手触りのよさが魅力。

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〈セバスチャン・コンラン×カイ インダストリーズ〉スチール・コレクション(ツインフェースグレーター、ユニバーサルシザース)

日本の刀鍛冶の伝統と文化を受け継ぎ、そのプロダクトが世界中で愛される〈カイ インダストリーズ〉と制作したのは、二面のおろし器とハサミ。前者は鎧に、後者は短刀と鞘にインスパイアされた、ユニークかつ洗練されたルックスとなっています。

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〈セバスチャン・コンラン×家田紙工〉オボエル・ステーショナリー(ノートブック(大・小)、折り紙ギフトカード、レターセット)

頭に浮かんだことをすぐに書き留めるため、肌身離さず持ち歩きたいノートの名はズバリ、“オボエル・ステーショナリー”。美濃和紙やスクリーン印刷のノートに伝統的な製本技術や箔押しを用いました。表紙に日本語が入ったタイプは、特に外国人バイヤーから高評価だったよう。

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〈セバスチャン・コンラン×小田陶器〉ヒカリ・コレクション (ディナープレート、サラダプレート、パスタボウル、シリアルボウル、カップ)

高品質の白い器は、素材の厚みに変化をつけることで表面に透き通った模様をつくり、質感と陰影が強調されています。そのプリーツ状の模様は、扇子や提灯をイメージしたもの。

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〈セバスチャン・コンラン×大橋量器〉ヒノキ・ストレージ・コレクション(包丁立て、調理器具立て、卓上小箱、卓上道具箱、保存箱、トレイ)

日本の組木技術を用いて作られる枡の歴史からインスピレーションを得てデザインされた収納ボックス。キッチンやオフィスなど、様々な場所で使用できるバリエーションの豊富さに加え、積み重ねできるのもポイント。

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〈セバスチャン・コンラン×オゼキ〉エアロ・コレクション(フロアランプ(大・小)、ペンダントランプ)

デザインソースは、初期の熱気球や飛行機の軽量構造。床に置くタイプと吊るすタイプ、ともにどんな空間にもマッチする照明器具は、楮を原料とする和紙と竹ひごでひとつひとつ丁寧に手作りしたシェードに、長良杉を用いたフレームが組み合わされています。

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〈セバスチャン・コンラン×志津刃物製作所〉キッチン・ナイフ・コレクション(包丁6点セット、ステーキナイフセット)

世界中のトップシェフに愛用されている日本の包丁の中でも、岐阜県関市で制作されるものは特に有名。最高品質のステンレススチール製ブレードは強度に優れ、腐食しにくく、折り紙からヒントを得てデザインされた角度の付いた木製の持ち手は、手に気持ちよくフィットします。

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特に若い世代には見過ごされがちな日本の伝統工芸が、ほんの少しモダンなエッセンスを加えるだけでぐっと新鮮に、ぐっと身近に感じられるようになり、結果地方にスポットライトが当たる。ただの話題作りではない、コラボレーションの真髄をここに見た気がします。

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岐阜県商工労働部観光企画課 海外戦略推進室 海外戦略推進係
電話:058-272-8090

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