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【FOCUS IT.】中部地方の雄、JB Voiceの新たな門出に際して、N.ハリウッドとグラフペーパーが初めてのタッグ!

〈N.ハリウッド(N.HOOLYWOOD)〉の尾花大輔氏と〈グラフペーパー(Graphpaper)〉の南貴之氏。こうしてお名前を並べてみると、意外だなという感想を持つ方が多いのではないでしょうか。

長い業界歴のなかで、互いの存在は知っていたものの、こうしてタッグを組んで何かを作るのは初めてのこと。というわけで、スペシャルなコラボレーションとなった今回のアイテムの製作背景をお二人に伺ってきました。

対談が進むうちに話が微妙にそれていき、コラボとは、ものづくりとは、みたいなことにまで話題が及びました。その脱線した部分こそを読んでいただきたいなと思っています。

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両者の持ち味が絶妙にブレンドされた傑作。

ー今回、意外な組み合わせに驚きました。

尾花:けど、お取り引きとしては前からしているよね。

南:そうですね。けど、ブランドとしてのコラボは初ですよね。

尾花:これまではどこぞの飲み屋で会ったりとか、そういう感じでしたね。

南:そう。だから最近ですね。ちゃんと話したり、展示会に行かせてもらったりしているのは。ちなみに初めてお仕事をさせていただいたのは「グラフペーパー」のお店を始めるタイミングで、ピンポイントでこのアイテムを取り扱いたいんですけど、っていうお願いをしに行ってからです。

ーなるほど。見ている方にとっても意外な絡みかもしれません。ただ今回のプロジェクトは、愛知県、岐阜県にて複数の店舗を展開する「ジェービーボイス(JB Voice)」という会社の代表、樋口謙太郎さんとのご縁があって、スタートしたと伺っています。

尾花:はい。名古屋にある「JACK IN THE BOX」というお店は、10年前、名前から内外装まで全てをデザインさせていただきました。お店のなかに天井座敷みたいな場所も作り、そこを〈N.ハリウッド〉の名古屋店にさせてもらっています。

南:僕たちも、そこでは〈フレッシュサービス〉のフランチャイズ店舗をやらせていただいたり、と結構深い関係性でお世話になっています。

ーそれで今回は、樋口さんが還暦を迎えられたことをきっかけにスタートしたプロジェクト「JACK IN THE RED」を受けて、アイテムを制作がスタートしたと。

南:はい。めったに連絡こないのに尾花さんから連絡きたもんだから、すぐにピンときましたね。あの件だなと(笑)。

尾花:(笑)。だいぶ前に樋口さんとご飯食べてて、「南くんとはお友達なの?」みたいな聞き方をされたことがあって。それで今回、僕たちでものづくりするってなったらどう思いますか?って聞いたら興味あるとのことだったので、僕から南くんに連絡したんです。

ー晴れて今回、二つのアイテムが完成したわけですが、やりとりはどんな感じだったんですか?

尾花:構想の大枠は僕が考えたんですけど、アイテムは南くんが考えてくれました。実際、アイテムの選定が一番難しいので。そのあとのインフラ整理みたいなことは僕は得意なので。

ーインフラというと?

尾花:ただ好きな物を作るだけでは、理由と意味が成立し辛い。ものごとには大義名分って必
要だと思うんです。なので今回は、お互いのアイデンティティが際立つ長年の中での名品を選
んで、Back to Backな考えで、生地やディテールをクロスオーバーさせて制作しました。

南:〈N.ハリウッド〉のことは、それこそキャットストリートにお店があるときから知っているので、そういえば当時でっかいデニムをやってたな、しかもジッパー付けてやってたなというのを思い出して。それをリクエストしたんです。

尾花:“ねじれデニム”は、何回か復刻してるんですけど、すごく人気があるモデルなんです。ただ、今回のような座組であれば、また違ったものになるだろうなと思いました。

ーブランドの初期を代表するアイテムの一つですよね。資料には“2002S/S N.HOOLYWOODに発表したコレクション“RECLAMATION/再生”を象徴するアイテム”とあります。ですが、その前から古着をリメイクしてアップデートさせたりはしていたわけで、その萌芽はあったように思います。

尾花:そうですね。2000年の12月1日にお店を作ったんですが、そのあたりから何かそういうことはやっていたと思います。

南:最近、個人的に〈リーバイス〉のすごく大きいサイズのデニム、40インチくらいのものを買っていて、それで今回大きいデニムをやりたいなって思ったんですけど、それだけだと〈N.ハリウッド〉のお客さんに響かないと思っていたんですが、このアイデアであればいいのかなと。

尾花:なるほど。僕らが当時リメイクをやってたときは、46インチ以上じゃないとダメというか、成立しなかったんです。それをウエストを29インチにしてました。当時はそれくらい大きいサイズのデニムは今よりも全然安く買えたんですけど、今はもう状況が変わってきてますよね。

RECLAMATION JEANS
¥31,900 Size:36 / 38 / 40

2002S/S N.HOOLYWOODに発表したコレクション“RECLAMATION/再生”を象徴するアイテムの一つと言える名品を細部に至るまで復刻。古着をリメイクしていくうちに生まれた名作、通称”ねじれデニム”。

ビッグサイズのデニムを巻きつけるように、本来フロントにあるボタンフライをサイドに、その反対側にファスナーを取り付け腰にフィットする仕組み。


途切れたバックポケットのステッチは履きこまれたヴィンテージデニムを表現。今回はステッチ・ボタン・リベットなど付属のカラーは〈グラフペーパー〉がセレクト。

¥37,400 (Wash)

南:最初はリメイク的なことがいいのかな、と思っていたんですけど、それだけなら〈N.ハリウッド〉だけでよくなっちゃうなって。だったら僕らの方で新品の生地(注:「クラボウ」が1973年に開発した国産初の本格的デニム生地「KD-8」を使用。タテ7番・ヨコ6番のムラ糸は、ストレート糸よりも僅かにムラがあり、濃色はクリーンに経年変化による色落ちはキレイなタテ落ちを表現できるのが特徴)を提案してっていう流れでできたらいいかなと。

尾花:そうだね。それでうちで縫製をして。ちなみにもうひとつのMA-1の方は、うちのディテールは入れてるけど、南くんのところの工場と生地、パターンを使って作ったものです。

南:結果〈グラフペーパー〉っぽい感じにはなってますよね。でかいし。このMA-1とデニムで、結果的に渋カジみたいな感じになっていいよね、ということになりました。

Reversible Flight Jacket
¥63,800 Size:M / L

MA-1型フライトジャケットの最終型である、地上作業を行う際に着用されていたGROUND CREWモデル「MIL-J-8279G」をベースに製作。裏地がレスキューカラーになっていないのが大きな特徴。

「JB Voice」のエクスクルーシブであることを示すミルスぺックがアクセントに。


表生地と同色のキルトライニングやIDEALジッパー、ペン指しの付きのシガレットなど象徴的なディテールを踏襲しつつ、 ボリューム感のあるシルエットに。オリジナルにはないギミックとしてリバーシブル仕様に。

ーパッと見で、両者のテイストがうまく混ざっている感じがして、正しくコラボレーションしているアイテムだなと思いました。

尾花:そうですね。こういうのは、どっちかが経験が浅いとなかなか難しいんですけど、お互いにいろいろやってきているし、プロダクションチームも慣れているので、スムーズにいきました。だから飲みながらあーでもないこーでもない、というのはなかったですね。

南:まぁ、コロナ禍というのもありますしね。でなければ、何かにかこつけて一回くらい飲みには行ってたかもしれないですよね(笑)。

尾花:たしかに。せっかくなら飲もうってなるもんね。けど、その感覚がここ2年くらいないよね。

南:ないですね。

ーけれどコロナ禍のなかでも、両ブランドそれぞれいわゆるコラボレーションはやられていたわけで、これまでとは作り方、進め方が変わったんでしょうか?

尾花:うーん、どうでしょう。そもそも僕の場合はコロナ禍になる前から、人×人ではなく物×物のコラボレーションの方が多いんです。

ーなるほど。

尾花:それこそ昔の裏原って、人×人という形でのコラボレーションが頻繁にあったと思うんですが、僕はもう随分そういう作り方はしてないですね。

ーコラボレーションを、物×物、人×人という軸で考えたことがなかったんですが、たしかに前者でのものづくりの方が多いのかもしれません。

南:まぁ、仲のいい人と作ったとして、マスターベーションみたいになってもしょうがないなというのもありますね。

尾花:そうだね。だから裏原はすごかったと思います。お互い無形のところから、グラフィックを出しあったりして進めていくわけで、ある意味アーティスティックですよね。人と人で何か新しいものを作れる人はすごくクリエイティブだと思います。僕は物で育ってきてしまっているので、物を通してじゃないと会話ができないんです。

ー今回もまさにそういうやり方ですね。

尾花:感覚的になにかを作るというのはあまり得意ではないんです。そういう意味では、アーティストに何かをお願いするのも難しいですね。思っていたのと違う物が上がってきたときに困ってしまうというか。

南:僕はそういうときでも、ズバッと言うタイプですけどね。アーティストへのリスペクトをもちろん持ったうえで、ですけど。ただ、一からなにかを作ってもらうのはたしかに怖いですよね。

尾花:そう。だから描き下ろしてもらうのが結構難しい。ただ、海外のアーティストにはボンっと投げますね。

南:けど、僕たちはファンタジーのある服をつくっているわけではないので、あんまりそういうことはしないですよね。

尾花:南くんもデザイナーっていう感覚でやってないもんね。ディレクションというか。僕も元々は古着屋の出身だしね。

ー洋服の作り方において、デザイン画を描いてこそみたいな風潮って、昔からありますよね。最近はいろいろな作り方をする方がいるので、そうでもないのかもしれませんが。

尾花:まぁありますよね。例えば、ドン小西さんの画ってめちゃくちゃうまいんですよ。抽象的でかっこいい感じで。よくそれを服に落とし込めるなということなんですけど、そういう意味においては、パタンナーこそがデザイナーですよね。

南:うん、だいたいそうですよね。

尾花:カール(ラガーフェルド)の画とかもすごく抽象的なんですけど、その横にスタッフがいて、それを形にしていくっていう。

ーモデリストあってこそですよね。

南:そうそう、その人たちなしでは服作れないですからね。

ーちなみにお二人はデザイン画を描かれるんですか?

尾花:描きますよ。けど、最近あんまり描かなくなってきてますね。概念とかをアシスタントに説明して、資料をクリッピングして見せてみたいなやり方が多いかもしれません。

南:僕はめちゃくちゃ描きますね。そもそもが、絵描きになりたかったような人間なので。

尾花:へぇ、そうなんだ!

南:とにかく昔から描くのは好きだったんですけど、美大に入るような人ってすごいじゃないですか。それを見てだめだってすぐ思いました。けど、今でも洋服のデザインから内装まで全部描きます。いまはiPadを使って描いてます。最初はちょっと抵抗ありましたけど、慣れるとすごく楽ですね。

尾花:僕はiPad、あんまり得意じゃないなぁ。ペンの筆圧で描いてるのが大事だから、どうしてもそれでやってるんです。愛用のペンが廃盤になっちゃったから、何本も買ったりして。

ーいまや、漫画とかもデジタルが多いですよね。

南:スクリーントーンも廃止みたいだしね。けど、漫画家さんの微妙なタッチを画面上で表現するってすごいですよね。

南:海外のデザイナーさんって、生地を触らないみたいですよ。見るだけ。僕なんかどうやってできてるのか、みたいなことが気になって仕方がないタイプなんですけど。

尾花:へぇ、そうなんだ。僕は組成までは調べなくても、やっぱり大判で仕入れて、ドレープ感とか縦ジワ感を見て、何に合っているかっていうのを見るけどね。まぁチームがあるから、最初は好き嫌いでいいんだろうね。

ー分業が進んでいるってことですよね。

南:そうそう、海外はすごく分業ですね。家具とかもそうだし。

ー日本だと一人でやることが尊い、みたいなムードってありますよね。

南:あるある。

尾花:けどだからこそ一人でできるような人に注目が集まるんじゃない? 服もやって、内装もやって、音楽も選んで、みたいなマルチなひとの方が評価が高いというか。けど、最近の若い子で、これしかできない、みたいな子もいるけどね。

ー最後に、尾花さんが作られたこのロゴ?についても聞かせてください。087(オバナ)、373(ミナミ)なわけですが。

南:勘が悪いタイプだから、最初全然わからなくて(笑)。

尾花:「JACK IN THE BOX」、そして樋口さんを通して繋がっている僕たちの共通点ってなんだろう、って思って「7」があるなということでこれを作ったんですけど。某ブランドの数字とかも全部チェックして、そのうえで全部オリジナルで作りました。

ーそうなんですね。0、3、8のフォルム、すごく好きです。丸みの加減というか。

尾花:ありがとうございます。こういうのもオリジナルで作らないと、著作権とかに引っかかるので。コピーライトも「© 2021 087373」ってつけて。

南:これが服にはついてないっていうのがまたすごいですよね。

尾花:ところが、こういうスタンプを作りまして。

南:お! というか、聞いてましたね。。いま思い出しました。

尾花:そう、これを当日現場でスタンプしても面白いかなと。

ー販売初日の10月16日(土)には、お二人が「JACK in the BOX」に立たれるんですよね。

尾花:はい。お客さんにただ接客するだけよりもいいし。MA-1にハンコ押してもいいし、Tシャツに押してもいいし。

南:失敗が怖いですね(笑)。

尾花:大丈夫。失敗しても喜んでもらえるよ(笑)。

Photo_Masayuki Nakaya

INFORMATION

N.HOOLYWOOD× Graphpaper for JACK IN THE BOX Reversible Flight Jacket / Jeans

発売日:2021年10月16日(土)

JACK IN the BOX
住所:愛知県名古屋市中区大須3-1-65
電話:052-265-9517

SP.
住所:岐阜県岐阜市玉宮町1-19
電話:058-269-4655

ARGUS
住所:岐阜県岐阜市玉宮町1-10-3
電話:058-214-8217

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