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連載【で、NEW VINTAGEってなんなのさ?】Vol.31 “乗れずとも、着るならイケそう” 。メルセデス・ベンツのアパレル。

そもそもニュー・ヴィンテージとは?

1990年代、誕生から100年経過している“アンティーク”に対し、その定義は満たしていないけど、価値のありそうな古着を打ち出す際に使われ出した言葉“ヴィンテージ”。いまではさらに“レギュラー”と呼ばれていた80年代以降の古着にも、“ニュー・ヴィンテージ”という新たな価値を見出す動きがあります。本企画ではこの古着の新たな楽しみ方を、スタイルの異なる4つの古着屋が提案。それぞれの感覚でその魅力を語ります。

第31回目は「トゥーゴー(TOXGO)」の山上タツオさん。

Text_Tommy
Edit_Yosuke Ishii


山上タツオ / TOXGO オーナー
Vol.31_メルセデス・ベンツのレーシングジャケット&ナイロンジャケット

―今回紹介いただく、ニュー・ヴィンテージなアイテムとは?

今回のテーマは〈メルセデス ・ベンツ(mercedes-benz)〉です。もちろん世界的には高級車としてお馴染みではありますが、ぼく自身もそうであるように、古着業界的にはヒップホップなどとも関係の深いブランドとして、カルチャー的文脈で語られることが多く、種類も結構あって面白いんです。

―どんなモノが見つかるんでしょうか?

大きく分類すると、カテゴリーは4つ。まず古着というカルチャーで考えた際に、1番に思い浮かぶ“ブート”。80年代に多いのですが、〈グッチ(GUCCI)〉や〈ヴェルサーチェ(Versace)〉なんかと同様に、スウェットをよく見かけます。本物を手に入れることはできないけれど、せめて気分だけでも! という感覚で勝手に作られた、オフィシャルではあり得ないような愛情過多なデザインが魅力。次が、工場やディーラーのスタッフが着用していたワークウェア。90年代〜00年代に放出されたモノが多く、要は“ユニフォーム”ですね。同じく00年代からは、公式で“アパレルライン”も展開するようになります。

―なんとなく〈ハーレーダビッドソン(Harley-Davidson)〉に近いイメージですね。

タグに“メルセデス・ベンツ コレクション”と書かれているのがそうですね。ちなみに現行モノは、ディーラーの中に併設されているショップ・イン・ショップとオンラインで購入できるようです。最後が“販促モノ”。ディーラーで顧客に進呈していたであろうバッグやTシャツなど、ワンポイントものが多い印象で、アパレルラインと見分けるのが難しいけれど、作りが簡素だったりと違いが見受けられます。またこの中には、ゴルフやサッカーなど協賛していたイベントで製作されたアイテムも含まれます。というワケで今回は、これらの中からアイテムを2着持ってきました。

右上から時計回りに メルセデス・ベンツのナイロンジャケット ¥11,000 /ミニサッカーボール 参考商品 /クマのヌイグルミ 参考商品 / メルセデス・ベンツ(ブート)のレーシングジャケット ¥22,000(すべてトゥーゴー)

まずは古着的定番である“ブート”のレーシングジャケットから。ボディにはモータ―スポーツ系の古着でよく見かける〈スタイルオート(STYLE AUTO)〉のサテン素材のジャケットが使われているのも“作法を分かっている感”があります。フロントは小ぶりなスリーポインテッドマークをシンプルに刺繍。その分、背面にも同じデザインがドンッ! と鎮座。袖にもブランドネームが刺繍されていますが、生地も吊れていないし、全体的にバランスが良くてクオリティも高め。

メルセデス・ベンツ(ブート)のレーシングジャケット ¥22,000(トゥーゴー)

―コレは普通に格好いいです!

お店によっては結構、値段を付けるかもしれませんね。一口にブートといってもピンキリですが、これなんかは最上級レベルと言っていいのでは。続いて“ユニフォーム”からナイロンジャケットを。パッと見は胸のロゴ以外に、それと分かるデザインが無いので地味ですが、90年代〜00年代の雰囲気があってオススメ。タグから察するに2000年代頃のモノで、防水されていて脇の下にはベンチレーションが。その他にも、フラップポケットや止水ジップを装備したフロントポケットといったディテールから予想するに、ディーラーや工場などで室外作業をする人が着ていたアウターと思われます。

メルセデス・ベンツのナイロンジャケット ¥11,000(トゥーゴー)

―アウトドアではなくワーク出自で、このデザインというのも良いですね。

ボディは〈バイキング(VIKING)〉……って書いてありますが、なんでしょうねコレ?(笑)。機能性に関してもあまり期待できませんが、このロゴがあるだけで何かイイじゃんって。着ているだけで「何それ!?」とツッコまれる面白さもがありますし、ベンツには乗りたいけれど手が届かないっていう人に、ぜひ! なんせ駐車場も必要ないし、何着持っていても維持費ゼロ(笑)。

―あまり周囲と被らなそう。というのもポイントなのかなと。「トゥーゴー」でも結構扱っているんですか?

Tシャツやスウェットはピックするところも結構あると思うのですが、この辺はなかなか好き者じゃないと選ばないアイテムですからね(笑)。もちろんウチでも、近日ここら辺のアイテムが多数入荷予定! 最近は、みんなが知らない面白いアイテムを自分で発掘してやろう! という気概のある人が減ってきているなとは感じますし、そこであえて“オレしか選ばないでしょ!”というアイテムにも挑戦してもらえると、もっと古着が楽しめるんじゃないかなって思っています。

山上タツオ / TOXGO オーナー
2008年に、友人とともに原宿に古着屋「キンセラ(KINSELLA)」を開業。2015年に池ノ上のセレクトショップ「ミンナノ(MIN-NANO)」の中津川吾郎氏との協業による「トゥーゴー(TOXGO)」を、KINSELLAの地下フロアにオープン。お互いの強みを生かしつつも、かなり偏ったラインナップは一度ハマれば病みつきに。
公式サイト:www.toxgo.jp
インスタグラム:@toxgo

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