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新たなカルチャーのはじまり。福岡の新名所「カイタック スクエア ガーデン」の初イベントをレポート。

福岡・天神エリア最大規模の複合施設「CAITAC SQUARE GARDEN(カイタック スクエア ガーデン)」にて、2021年12月18日〜25日までの期間、開業後初のイベントが開催。

同イベントのメインコンテンツは、「KISS, TOKYO」とのコラボレーションで実現した「KISS, FUKUOKA」。この「KISS, FUKUOKA」に触れることで、人を愛する気持ちと福岡を誇りに思う感情を表現してもらいたい、「カイタック スクエア ガーデン」を訪れる人にWelcomeな気持ちを伝えたい、そんな願いが込められており、フォトブースやアイテム販売、ワークショップなど、さまざまなイベントが展開されていました。ここでは、そのイベントの模様を紹介していきます。

人が自然と集う中庭スペース。

まずは、1階中庭スペースに設置された「KISS, FUKUOKA PHOTO BOOTH」。ネオンが映えるイベントのアイコンが会場中央に鎮座。4階まで吹き抜けになっている「カイタック スクエア ガーデン」のどこからも見える位置にあるとあって、その存在感は抜群。“映えスポット”として来場者を楽しませていました。

そして、同じく1階中庭スペース、「KISS, FUKUOKA PHOTO BOOTH」の前では、東京代田橋駅の古着屋「THE CHARLIE TOKYO」によるワークショップがオープン。Tシャツやジャケットなどに、既存のデザインパターンから、自分の好みに合わせたシルクスクリーンのカスタマイズ体験ができるというもので、またとない貴重な機会ということもあり、多くの方が列をなしていました。

人との関わりが連続するショップ。

国体通りに面する「カイタック スクエア ガーデン」。通りからメインエントランスに続くストロークでは、「KISS, FUKUOKA SHOP」を展開。A棟、B棟、C棟に分かれており、オリジナルロンTやスウェットなどを販売する「GOODS SHOP」、合同会社SWITCHHが運営する”喫茶酒店パーク”で使用しているコーヒーを提供する「DRINK BAR」、キューバの名物料理であるキューバサンドを提供する「CUBASAND SHOP」の3店舗がオープン。ここでもアイコニックな「KISS, FUKUOKA」のマークの威力は絶大で、来場者の多くが足をとめてショップの中をのぞいていました。

新しい作家との出会いの場。

1階からエスカレーターを上がって左手に見える無機質なスペース「Whask」。九州最大規模のイベントスペースと言われているこの場所。今回は、新しい作家との出会いの場「Meet the Art」ということで、第1回として福岡の若手アーティストの合同エキシビションを開催しました。編集者・アーティストとして活躍中の米ちゃんこと米原康正(+DA.YO.NE.)を顧問に迎え、アートに興味を持つ若い世代をサポートし、新しいサブカルチャーへの支援を目指す「WEGO放課後アート部」とのコラボレーションも行うなど、様々なジャンルのアーティストの作品が展示されていました。近年、KYNEやNONCHELEEE、緒方数馬など、福岡出身の若手アーティストが注目を集めていることもあり、ここを起点に新たな表現者が発掘され、世に羽ばたいていく、そんなホットスポットになりそうです。

福岡の秘めたる可能性。

左:株式会社セブンセンス代表の吉田拓巳さん 右:れもんらいふ代表の千原徹也さん。

最後は、今回の仕掛け人であるお二人にインタビューを敢行。「カイタック スクエアガーデン」自体のオープン準備段階からこのプロジェクトに関わり、自身のオフィスも本館の4階に構え、先述の「Whask」の企画・運営を担う、株式会社セブンセンス代表の吉田拓巳さん。そして、「KISS, TOKYO」の生みの親であり、ひと目見てそれと分かるアートディレクションを数多く手がけてきた「れもんらいふ」の代表、千原徹也さん。それぞれ、今回のイベントに対する思いを聞きました。まずは吉田さんから。

新しいカルチャーが生まれるエリア。

ー吉田さんが「カイタック スクエア ガーデン」のプロジェクトに関わるようになったきっかけを教えてください。

吉田:「カイタック スクエア ガーデン」の総責任者を務められているカイタックグループの中原さんとの出会いがはじまりです。中原さんがこの商業施設に入るテナントの誘致をされていた時期に、私もいくつかの提案をさせていただきました。当時は、まだこの土地もまっさらでやっと基礎工事がはじまるぐらいの時期でしたね。以降、ずっとこのプロジェクトに関わらさせていただいています。

ー「カイタック スクエア ガーデン」における吉田さんの役割というのは?

吉田:「カイタック スクエア ガーデン」の2階にあるイベントスペース「Whask」をつくりました。 今回企画した、新しい作家との出会いの場「Meet the Art」もそうですが、私が代表を務める株式会社セブンセンスが、企画・運営・管理を行っていきます。

ー「Whask」とは、どのようなスペースですか?

吉田:これまで海外や東京、大阪などの主要都市でイベント関連の仕事をしてきて、福岡にあって他にないもののひとつが、この規模のイベントスペースでした。これまで 福岡の街のポテンシャルを上げるチャンスを逃していると思うことが多かったので、この「Whask」の存在は、福岡の街にとっても重要な意味を持つと思っています。近年、福岡出身のアーティストの注目度も高く、それに追随するようなかたちで、新たな表現者の発掘ができればと思っています。

ー吉田さんが、福岡を拠点にしている理由というのは?

吉田:ずっと福岡に住んでいるので動きやすいというのもありますが、客観的に見ても福岡はコンパクトで機能的な街ですし、アジアに近いというのも大きな魅力のひとつ。 私自身もそうですが、チーム、スタッフもいい環境に身を置くというのは大切なことだと思っています。

ー吉田さんが考えるコロナ以降の世界とはどのように見据えていますか?

吉田:まったく予想できない事態の中に私たちがいることは間違いないですし、様々な価値観、ライフスタイルの変化も起きてくると思います。 その一方で、このウィルスへの対処策ができた後には、ますます「リアル」なものへのポテンシャルや可能性が高くなる気がします。

ー「カイタック スクエア ガーデン」初のイベント、率直にいかがでしたか?

吉田:やっぱりリアルイベントいいですね。もちろん感染対策をしっかりしながらですが、こうやって人がひとつの場所に集まることで、温度のあるコミュニケーションが生まれて、それがまた新しい何かを生み出すきっかけになる。このエリアは、隣のロンハーマンも含めて、福岡天神の中心からほんの少しずれた場所にあることがとてもいいと思っています。 中心から少しずれていることが、逆に新しいカルチャーが生まれる可能性を秘めている。今後は、「Whask」を通してレベルの高いライブ配信だけではなく、人のスペースもマインドもゆとりがあって、今回以上にお客様自身が参加、体験できるようなイベントを仕掛けていく予定です。楽しみにしていてください。

“KISS”は世界共通言語。だからシンボルにした。

ーそもそも「KISS, TOKYO」とはどういうプロジェクトなのでしょうか。

千原:「KISS, TOKYO」のプロジェクトが立ち上がったのが今から4〜5年前。ニューヨークを象徴するお土産「I♥NY」に着想を得たロゴプロジェクトとしてスタートしました。いずれは、東京を象徴するシンボルとして定着するといいな、「KISS, TOKYO」のロゴが入ったアイテムが、“TOKYO土産”のスタンダードになればいいなと。結果的に実現できませんでしたが、東京オリンピックが有観客開催で、海外の人も大勢東京に来ていたら、この「KISS, TOKYO」がより広まっていたかもしれないですね。今や、ファッションがマスである必要性はないと思うんです。小さい文化がどんどん生まれていって、いろんな組み合わせができる。そのきっかけづくりとして「KISS, TOKYO」が担えればいいなと。

ーその流れからの「KISS, FUKUOKA」。これはどういった経緯で?

千原:KISSって、言ってしまえば世界共通言語のようなもの。自分自身で着たり使ったりするのはもちろん、愛やエールの表現として大切な人に贈るのにもぴったりなんです。「KISS, TOKYO」は、東京から世界へという構想は変わりません。加えて、今のコロナ禍の世の中を考えると、もっと日本全体を盛り上げないといけないと。それで、タイミング良く拓巳くんから声をかけてもらったこともあり、「KISS, FUKUOKA」をやることになりました。いずれはこのマークがライセンスフリーになって「KISS, 〇〇」みたいに一人歩きして勝手に広まっていったら最高だなって思っています。

ー千原さんから見て、福岡のどんなところに魅力を感じますか?

千原:僕のオフィスは渋谷にあります。ここ数年、どんどん再開発され、新しいスポットが出来ていく良さがある一方で、意外と下町っぽいところも渋谷にはある。並木橋のあたりは「田舎の風景だな」と思ったり。右を見ればビルが立ち並ぶ大都会なのに、左を見ると古い住宅街がある。そのコントラストに「安心感」と「高揚感」の両方が湧き上がってくる。ここ福岡、とくに天神エリアにも同じ空気を感じます。高層ビルこそないですが、ゆっくりと、でも止まることなく、街の風土に合った進化を遂げている気がします。このスピード感は福岡独自のものかもしれないですね。そこが、他の街にはない魅力じゃないかなって思います。

ー東京を飛び越えてのリアルイベント。率直な感想はいかがですか?

千原:今回の取り組みは、FUKUOKAという街が持っている可能性との共創です。モノだけじゃなくて、習慣や考え方、物語も未来につなげていく。物語の紡ぎ手は、作り手だけでなく、それをまとう人でもあると思います。だからこそ、より多くの人に手にとってもらい、それを感じてもらいたい。これからもFUKUOKAと一緒に、アートやファッションの力を信じて、前に進んでいけたらいいですね。

カルチャーの芽生え。

コロナ禍で、どの企業もリモートワークを導入。オンライン販売もどんどん増加。さまざまなことが、ネットを通じて行われるようになっている最中、そのことを理解し受け入れつつも、心のどこかで「それで本当にいいのか?」という疑問を持っている。「リアル」を求めるような、何かそういうことを考えられないかなという気持ちがある。ソーシャルディスタンスをうまく保ちながらも、限定的でいいからリアルな場、リアルな状況を作りたい。むしろ、そういうお店やサービスが「体験」として求められるのではないでしょうか。

イベントの在り方、重要性が大きく変わってきた今、今回開催された「カイタック スクエア ガーデン」のイベントは、とても価値のあるものでした。さらにアップデートされた第2回を期待して待ちましょう。

Text_Jun Nakada

INFORMATION

CAITAC SQUARE GARDEN

住所:福岡県福岡市中央区警固1丁目15番38号
オフィシャルサイト

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