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【FOCUS IT.】クルマのロマンに魅せられて。プロダクトレーベル、カーサービスが目指す場所。

ここ最近、メディアやSNS、ふと訪れたショップでもよく目にする〈カーサービス(CarService)〉。自動車を取り巻くさまざまな文化からインスパイアされたアイテムを提案し、これまで〈ディッキーズ〉とのコラボレーションやポップアップを幾度となく実現。昨年にはアーティスト・VERDYさんがグラフィックを描き下ろしたスエットをリリースしたことでも、ぼくらを驚かせてくれました。

アパレルのイメージが先行する〈カーサービス〉ですが、ディレクションを務める橋本奎さんの話によれば「ファッションブランドではなく、プロダクトレーベル」。一見些細な表現の差に見えますが、橋本さんはその違いを大切に捉えているそう。彼の言葉に耳を傾けると、〈カーサービス〉が掲げるミッション、そしてその先に広がる壮大な展望が見えてきました。

PROFILE

橋本 奎
CarService ディレクター

1995年生まれ。東京都出身。PRエージェンシー「4k」のプレスとして活躍する傍ら、カーカルチャーを独自の表現方法で発信するオウンレーベル〈CarService〉を主催。「PULP」のクリエイティブディレクターや東京発のクリエイティブコレクティブ 「YouthQuake」のメンバーとしても知られる。愛車は日産のグロリア。
Instagram:@_hsmt

ファッションはカーカルチャーを表現するためのツール。

ーPRにディレクション、モデル業とマルチに活動する橋本さんですが、〈カーサービス〉を始めた理由を教えてください。

若い世代にクルマを好きになってもらいたいというシンプルな思いから、2014年にスタートしました。なのでこの業界に入る前ですね。最初はSNSでクルマの写真を投稿するだけのInstagramアカウントだったんです。自分にできる表現は何だろうって考えた時に、昔から街中で見かけたカッコいいクルマをずっと撮り溜めていたので、それを放出していこうかなと。

ーSNSでクルマの写真を投稿する一方で、アパレルもシーズンごとに発表していますよね。

はい。今季で3シーズン目になります。ウェアの卸先が増えるにつれ、アパレルブランドとして見られることが多くなったんですけど、〈カーサービス〉はひとつのレーベルだと思ってます。あくまでも目的はクルマに興味を持ってもらうこと。そのために大好きなファッションを通じて、カーカルチャーを表現しているんです。なのでロゴやグラフィックも、クルマに関連するものをモチーフにすることが多いです。

その一方でInstagramのスタンスは変えていないので、ルックやプロダクトの投稿は滅多にしていません。もしアップするにしても、クルマにまつわるビジュアルになっていることが条件。Instagramしか知らない人は、ぼくたちのことを車屋だと思ってるかもしれないですね(笑)

ートータルで1800回以上の投稿がありますが、これらはすべて、橋本さんが街中で見つけたものなんですか?

基本的にはそうです。友人が「こんなクルマ見つけたよ!」って送ってくれた写真を載せることもあります。それと、最近はフォロワーの方が〈カーサービス〉のアカウントをタグ付けして、珍しいクルマを投稿してくれるようになりました。一方的ではなくお互いに情報をシェアできるようになって、すごく良い連鎖反応が生まれてきてますね。

ーそもそも、橋本さんがクルマに興味を持ったのはなぜですか?

父が服もクルマも好きだったので、両方とも小さい頃から身近に感じてました。唯一買ってもらえるおもちゃが、アメリカのミニカーだったり。そういった原体験をヒントにグラフィックをつくることもあります。最近、〈シュプリーム〉が某ミニカーブランドとコラボしてたんですけど、それを見た時はすごく羨ましかったですね。いつかぼくらも一緒に、ものづくりができたらなって。

ーでは、クルマもファッションもお父さんの影響が強いんですね。

そうですね。父はもちろん、西海岸カルチャーの影響も受けました。サーフィンやスケートボード、ヒップホップ、バイク… いろんなストリートカルチャーがクロスオーバーしてる感じが好きなんですよ。西海岸ならではのローライダーも最高ですし、アメカジやワークといったファッションのスタイルもカッコいい。

橋本さんのInstagramより。

自分のなかでマイルールを掲げていて、キャップは全部LAのチームモノしか被らないって決めてるんです。MLBはドジャース、NBAはレイカーズ、フットボールならLA時代のレイダースという具合に、LAのチームのキャップをレペゼンで被る。生まれも育ちも東京なんですけど(笑)、ぼくにとってはそれくらい大きな存在なんです。ルーツみたいな感じですね。〈カーサービス〉でつくるモノも、西海岸テイストのアイテムが多いです。

クルマに触れるきっかけとなる存在に。

ーここからは〈カーサービス〉の今後についてお伺いしたいと思います。昨年12月にはレーベル初となるレーシングカーを発表しましたよね。

愛車のグロリアをいつも修理してくれてる「シャドウ」っていう車屋があるんですけど、そこのお客さんのクルマをベースにデモカーを製作しました。「シャドウ」がレース仕様にチューニングしたBMWの外装を、〈カーサービス〉でディレクションできないかという提案をいただいたんです。これまでファッションを通じた表現が多かったので、個人的にはかなりの前進。「ぜひやらせてください!」と即答しました。

デザインはブルーとイエローのチェッカーを基調に、フレアパターンを入れることで疾走感を表現してます。フロント部分だけラッピングして、リアにいくにつれて〈カーサービス〉のロゴが流線的に入る感じも車体のシルエットや色が活かせて良いかなと。この一台を皮切りに、また別のデザインでディレクションに携われたら最高だなって思っています。

ー〈カーサービス〉としても新境地だったわけですね。

今回、実際にレーシングカーをディレクションさせていただいて思ったのですが、クルマに絡めた取り組みは大事にしていきたいし、やっぱり面白い。ここ数年でアパレルのイメージが強くなりすぎてしまったので、少しずつ原点回帰していきたいと思ってます。表現方法を限定せず、ミックスメディアのように、いろいろなコンテンツでクルマの良さを広めたい。若い子にクルマを好きになってもらうための情報や打ち出しを、アパレルにプラスして発信したりとか。もっとカーカルチャーに入り込んで、説得力を高めたいですね。

ー具体的にはどういった取り組みを想定してますか?

まだまだ先になるかと思いますが、カーウォッシュイベントやカーリース的な動きも考えています。若いファンの方から「この車どう思いますか?」っていう相談も増えてきているので。

橋本さんとその愛車。この日のジャケットは〈カーサービス〉と〈寅壱〉のコラボ。

あとはカーミーティングですね。車好きの友達で集まって、高速を流しサービスエリアに集まるイベントを〈カーサービス〉主催で開きます。カッコ良いクルマに乗ってる仲間が周りに沢山いるので、都内での開催もマストかなと。そうしたらクルマを持っていない子でもフラっと遊びに来れるかもしれないし、クルマに興味を持つきっかけにだってなるかもしれない。イベントを通じて、クルマのロマンとか、男臭い部分を伝えていきたいです。

ー今後はファッションだけでなく、カーカルチャーの核心に迫るアプローチを仕掛けていくと。

そうですね。エンジンやホイールがどうとか、知識があるに越したことはないんですけど、別にそこを知らなくても良いんです。クルマがカッコいい、あの一台に乗ってみたい、そういうピュアな感情を大事にして、ファッションや音楽と同じようにラフな感覚でクルマを楽しんで欲しいですね。そのきっかけを提供するのが、ぼくたち〈カーサービス〉の役目だと思っています。

INFORMATION

Carservice

Instagram:@_carservice
オフィシャルサイト

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