去る4月27日、銀座の街中に突如真っ赤なスペースが誕生しました。それは、さまざまなカルチャーやクリエイターとオンライン・オフラインで繋がるための場、「DIESEL STUDIO」のポップアップストア。
「マロニエゲート銀座」の1FとB1F、〈ディーゼル〉のブランドカラーである赤とグラフィカルなロゴで彩られた空間では、グレン・マーティンスが手掛ける新顔のアイテムがラインナップするだけでなく、東京のカルチャーシーンの先駆者たちを招いた、特別なイベントが開催されています。
第一弾では、「BTS」の振り付けを担当したことでも知られる、ストリートダンサー・アーティストのRIEHATAとのコラボレーションが実現。そして、現在開催中の第二弾では、横浜に日本最大規模のゲーミングベースを構えるプロeスポーツチーム「FENNEL」を迎え、世界的に大きな盛り上がりを見せるeスポーツをフィーチャーしました。
大人気タイトル『APEX』や『荒野行動』で白熱したバトルが繰り広げられるeスポーツ大会「DIESEL CUP」をはじめ、「FENNEL」の選手たちと一緒にプレイ出来るゲーミングクラス、会場からのストリーミング配信など、オンライン・オフライン問わず、eスポーツの魅力を発信するコンテンツが用意されました。
そんな〈ディーゼル〉と「FENNEL」が目指すのは、ゲーミングカルチャーとファッションの融合だといいます。そこで今回、「FENNEL」の代表取締役を務める仏さんに、eスポーツとファッションの関係性から「DIESEL STUDIO」での取り組みまで、お話を伺ってきました。
ーーーーー
日本のeスポーツ界を先導するFENNEL。
PROFILE
1998年生まれ。大学在学中に『荒野行動』のトッププレイヤーとして活躍。2019年にプロeスポーツチーム「FENNEL」を設立し、大会の運営やファッションブランドの展開など、eスポーツ業界に新たな息吹をもたらしている。
FENNELオフィシャルサイト
Instagram:@maximushotoke
ー まずはFENNELがどういった組織か、説明していただけますか?
簡単に言うと、eスポーツチームを束ねている組織です。イメージは、サッカーや野球のプロチームと近いと思います。違うのは、eスポーツの方がよりエンタメに寄っているところ。だから、ファッションブランドを展開したり、大会を開催したり、選手たち自身がYouTubeなどでゲーム実況を配信することもあります。
ー 「FENNEL」はeスポーツチームの運営、大会の開催、ファッションブランドの3本柱で事業を展開されていますが、その中で「FENNEL」にしかないポイントは?
定期的に大会を開催するチームはあるんですけど、ぼくたちはほぼ毎週やっていて。この頻度で開催しているチームは、日本だけじゃなく、世界を見渡しても他にないんじゃないですかね。
アパレルに関して言うと、ほぼ全てのチームがグッズという形でアパレルを販売していると思います。ただ、「FENNEL」ほどファッションに寄せた服をつくっているところはないですね。
ー それほどの頻度で大会を開催するのは、eスポーツ文化を醸成していきたいという想いからですか?
その通りです。あと、eスポーツプレイヤーは、視聴者が集まる大会がない限り、注目されないんです。注目されなかったり、彼らがプレイするゲームが流行らなければ、給料ももらえない。そういう点で、大会をガンガン開くことで、選手やゲームへの注目を集めたいっていう目的もあります。
ー ファッション性の高いアパレルブランド〈FNNL〉も、eスポーツへの注目を高めるための施策でしょうか?
もちろんそういった目的もあるんですが、ぼく自身表現することが好きで、ファッションもひとつの表現だと思っています。だから、単に利益を上げることが目的のグッズをつくるのではなく、より難しくて、より楽しいと思える“ファッション”に挑戦したいという想いがあるんです。
ー 〈FNNL〉はどういったブランドですか?
テーマは、新しいことに挑戦していくこと。だから、幹となるコンセプトは決めずに、その都度ジャンルやデザインが変わっていくようにしています。外部からクリエイティブディレクターやデザイナーを採用して、自分たちだけでものづくりができているのも強みだと思います。
ー ゲームとファッションは馴染みのない関係のように思います。
ゲームをプレイするのは20代前後が一番多くて、ファッションにお金を使うのもその年頃だと思うんです。ゲームとファッションに興味を持つ年代がマッチしているから、日本のeスポーツ業界もどんどんカッコよくなっている印象があります。
eスポーツプレイヤーもみんな、びっくりするほど垢抜けていますし、世間のひとが思い浮かべるようなゲームヲタクみたいなイメージの選手はほとんどいないですね。
ー 「DIESEL STUDIO」で開催されたイベントにも、多くの女性ファンが足を運んでいたと聞きました。アイドルのように、eスポーツプレイヤー個人にファンがついているんですね。
eスポーツは、チームよりも個人にファンがつくことが多いですね。その理由は、自己発信力が高いから。サッカーや野球は、テレビを通じてチームの存在を知って、そこから個人を応援することが多いと思うんですけど。eスポーツプレイヤーはYouTubeなどで配信ができるので、個人が入り口になるんです。
ー 今回〈ディーゼル〉からコラボレーションのオファーが来た時はどう思いましたか?
個人的にすごい好きで、毎年必ず一回は大きな買い物をするブランドだったので、本当なのかなと思いましたよ(笑)。日本でファッションブランドと大型のコラボレーションをするeスポーツチームはなかったので、率直に嬉しい機会だなと。
ー 海外に目を向けると、eスポーツチームとファッションブランドのコラボレーションも増えてきていますよね。
コラボレーションで言うと、海外の方が進んでいます。ただ、ぼくは世界を見渡しても、日本人が一番ファッション感度が高いと思っていて。それは、中流階級の層が厚くて、ファッションに手を出せる人が多いから。でも、アメリカやヨーロッパ、特にイギリスなんかは、貧富の格差がすごいので、みんな数ドルの服しか着ないし、そういう人たちがゲームをやっていることが多いんですよ。eスポーツ業界全体で考えると、日本の方がファッションが浸透する可能性が高いと思っていて、10、20年後がどうなっているか楽しみですね。
ー 〈ディーゼル〉と「FENNEL」の共通している部分はありますか?
挑戦的な姿勢だと思います。〈ディーゼル〉もグレン・マーティンスが就任して、商品のラインナップがガラッと変わったり、リブランディングしているじゃないですか。あと、〈ディーゼル〉のアイコンカラーは赤ですけど、「FENNEL」も“eスポーツに熱狂を”をコンセプトに掲げていて、その情熱を表現するために、チームロゴに赤を採用しているんです。
ー いま「FENNEL」が挑戦していることは?
eスポーツ業界自体が若いので、なんでもチャレンジしているところです。その中でも注力していることは、日本代表を決める大会を開いて、3、4チームをアメリカに飛ばすっていうプロジェクトをやっています。
やっぱり大会は一番盛り上がるイベントなので、その主催者になることで、チームの影響力を高めたり、コミュニティを押さえられるんです。
ー 今回、〈ディーゼル〉初のアスレジャーコレクション「DIESEL SPORT」とのコラボアパレルも発売されます。気に入っているポイントはありますか?
ゲームをするときってずっと座っているので、重かったり、締め付けが強い服はダメなんです。eスポーツチームのユニフォームを見ていると、サッカーのユニフォームを踏襲しているところも多いですし。そういう面で、今回のアイテムは機能性が優れていて、ゲームに集中できる仕上がりになっていると思います。
このコラボでは「FENNEL」のユニフォームもつくったんですけど、そこに〈ディーゼル〉のロゴが入っているのもいいですね。
ー アパレルだけでなく、「DIESEL STUDIO」では大会やゲーミングクラスも開催されていますが、手応えはどうですか?
こういう雰囲気の場所にPCを10台置いて、ファンと一緒にゲームができるイベントは初めてで。SNSを見ているとファンからの反響もすごいいいですし、選手もファンと対面して、応援されている実感が沸いたみたいで、非常にありがたい機会だと思っています。
ー 最後に「DIESEL STUDIO」を通じて、「FENNEL」が発信していきたいことを教えてください。
業界をより活発化させるために、eスポーツはかっこいいということを伝えていきたいです。日本のeスポーツが注目されるには、クリエイティビティやファション性みたいな部分が重要だと思っていて。そこを伸ばしていくために、「FENNEL」が代表してかっこよくなっていて、他のチームにも影響を与えられたなと思っています。
Photo_Masashi Ura
DIESEL STUDIO POP-UP STORE(ディーゼルスタジオ ポップアップストア)
会期:〜6/12(日)
場所:マロニエゲート銀座1 1F・B1F
住所:東京都中央区銀座2-2-14
電話:03-3528-6733
時間:11:00〜21:00
特設サイト