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連載【で、NEW VINTAGEってなんなのさ?】Vol.68 Y2Kスタイルのバッグにお悩みなら “オークリーのアイコン”なコイツを。

1990年代、誕生から100年経過している“アンティーク”に対し、その定義は満たしていないけど、価値のありそうな古着を打ち出す際に使われ出した言葉“ヴィンテージ”。いまではさらに、当時“レギュラー”と呼ばれていた80年代以降の古着にも、“ニュー・ヴィンテージ”という新たな価値を見出す動きがあります。本企画ではこの古着の新たな楽しみ方を、スタイルの異なる4つの古着屋が提案。それぞれの感覚でその魅力を語ります。

ショップが全て入れ替わってリスタートしたシーズン9。1周目のラストを飾る第68回目は、シーズン2以来の再登板となる「ダンジル(danjil)」のコージさん。

Text_Tommy
Edit_Yosuke Ishii


コージ / danjil 店長
Vol.68_オークリーのアイコンバックパック

―シーズン2以来、2度目の登板となります。今回、紹介いただくニューヴィンテージなアイテムとは?

オークリーのアイコンバックパック ¥39,800(ダンジル)

〈オークリー(OAKLEY)〉の「アイコンバックパック」を取り挙げたいと思います。〈オークリー〉のバックパックの中でも、デザインを変えながらリリースされ続けている定番バックパックとして知られる同モデル。この数年で1990年代~2000年代のスタイルが注目されていることもあって、SNSなどでご覧になった方も多いのではないかなと。サイズの大小によって「2.0」と「3.0」の2種類が展開されていましたが、現行では展開されているのは「2.0」のみのようで、今回は1990年代の通称“デカロゴ”と呼ばれるタイプをカラバリで用意しました。

―当時は、『ワープマガジン(Warp Magazine)』のような、エクストリームスポーツも取り挙げるカルチャー&ファッション誌によく載っていたという印象があります。

エクストリームスポーツ! 懐かしい響きですね。これらも1998年頃のモノなので、ちょうどそういったカルチャーが盛り上がっていた時期とリンクしているため、“ならでは”のタフなディテールがいま見ると新鮮です。例えば、ストラップなどに使われているプラパーツは、アメリカ軍も制式採用している〈ITW〉という会社のモノを使っていたりとか。これは特殊部隊用のバッグの設計なども行うドイツ生まれでプロユースのバッグブランド〈バッグジャック(bagjack)〉で使われていることでも有名です。

オークリーのアイコンバックパック ¥39,800(ダンジル)

―デザインは基本的にずっと変わらないんですか?

時代とともにプラスされたディテールもあれば、オミットされたディテールもあるって感じですが、基本となる要素は変わっていません。コーデュラナイロン素材のボディに、ゴツめのハンドル部分やスタッズなどタフさを演出するパーツはじめ、上部のアイウェア用ポケットや背負い心地を高める背面パネル、さらにはデジタルガジェットを保護収納できるオーガナイザーポケットなんかがそう。その中にあって当時のモデルと現行モデルとの違いとして挙げられる最大の特徴が、フロントまでを覆う3点留め仕様のフラップ部分です。

オークリーのアイコンバックパック ¥39,800(ダンジル)

―懐かしい! この機能性を視覚化したオーバーなルックスに当時ヤラれた人も多いはず。

ですよね。あとこのバックパックの魅力のひとつに、荷物の多寡に関わらずフォルムがしっかりキープされるという点があります。当時のストリートってデカいバックパックが流行っていて色んなブランドからリリースされていたじゃないですか。とはいえ、日常的に持ち歩く荷物の量なんてたかが知れているから、背負った状態ではバッグ自体がクシャッと不細工に潰れてしまいがち。そこでデカいバックパックを持ち歩く際には、シルエットを保つために本や着替え用のTシャツを入れるなどして、みんな工夫していました。さらに長めのストラップは“垂らし”というのも当時のマナー。ただしクシャッと潰れたフォルムが好きという人もいるので、そこは各々の好みでご自由にといった感じですかね。

―内部構造はどんな作りになっているんでしたっけ?

3点留めされたフラップをめくると、面ファスナーで観音開きになったメインコンパートメントが現れます。さらにフロント下部は大型ポケットとして機能し、スノボやMTB用のヘルメット、汚れたウェアなどを収納するなど多目的な用途で使うことが可能。他にはサイドポケットなどもあって、要は90年代〜00年代当時に“あればイイな”と考えられていた機能は全部押さえられています。

オークリーのアイコンバックパック ¥39,800(ダンジル)

―いちいち男ゴコロをくすぐりますね。近年、テックスタイルの人気もあって“あの頃”の〈オークリー〉が再評価されていますが、このアイテムもやはり古着市場では高騰化しているんしょうか?

メチャメチャ高くなっています。ですがそれも、状態によりけり。ラバー素材やプラスチック素材を用いたパーツが経年劣化で破損していたり、ボディ自体も生地のコーティングが剥がれたり臭いがあったりというケースが多く見受けられます。なので、大体2万円から完品状態で4万円くらいが相場でしょうか。

―なるほど。当時最先端のつくりがゆえの弊害ですね。

とはいえ、個人的には“時とともに壊れるパーツ”を使っているところが好きなんですよね。「一生モノではない」という諸行無常な感じがまたタマラナイと言いますか。

―となると探している人も多そう。

Y2Kブームでメチャメチャ増えました。ウチの場合は、この辺のアイテムをずっと推し続けていたので、たまたま時代にハマったという感じですけどね。最近、ウェアはY2Kスタイルなんだけれどシューズやバッグがキマってなくて「あと一歩なのに、もったいないなぁ」と感じるケースがチョイチョイありまして。そういったバッグ難民の方々にオススメしたいですね。こんな先行き不透明なご時世ですので、「両手を常に空けて生活してほしい」という思いも込めて(笑)。

コージ / danjil 店長
2003年、東京・西南エリアにおける古着のメッカとして知られていた町田に、1980年代〜2000年代のアメリカンカルチャーにまつわるアイテムをラインアップする古着屋「danjil」をオープン。今年7月7日に20周年を迎えた同店では、ストリートカルチャーやアメリカンスポーツにまつわるアイテムがところ狭しと並び、訪れる“好き者”たちを悶絶させる。また、新進気鋭のブランド〈コットンパン(COTTON PAN)〉のディレクターでもある。
インスタグラム:@danjil2

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