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ボルボのネクストスタンダード。史上最小SUV & 新型EV車『EX30』を、竹村卓がバルセロナで走らせました。

〈ボルボ(VOLVO)〉がEV=電気自動車のネクストスタンダードとして、『EX30』を今年の8月に発表。新型コンパクト電動SUVモデルとして大きな注目を集めるなか、国際試乗会へ参加するためにライター / 編集者として活躍するクルマ好きの竹村卓が、バルセロナへ行ってきました。『EX30』の走りに触れることができる貴重な機会から、〈ボルボ〉の目指す未来がどう見えたのか? 自分たちらしく暮らすバルセロナの街の人たちとそこで運転する『EX30』の向こう側に、竹村卓の目には新しいクルマとの関わり方が見えてきたようです。

Text_Taku Takemura
Edit_Yusuke Suzuki

初めての国際試乗会へ。

初めて訪れたバルセロナ。この街で行われた〈ボルボ(VOLVO)〉のニューモデル『EX30』の試乗会へ参加しました。パリ、シャルル・ド・ゴール空港を経由して夜にバルセロナに到着。市内のホテルに宿泊、翌日には再び試乗会場となるバルセロナ空港へ。迎え入れてくれたボルボのスタッフと合流し、まずはカンファレンスで試乗コースの説明を受けました。海岸沿い、高速道路、ワインディング、市街地とさまざまな道路状況が設定されたコースはバルセロナの風景を見ながらEX30の走りを存分に楽しめそうなルート。


今回試乗に用意された車両は日本で発売が決定している『Single Motor Extended Range』と、その後、日本でも発売が予定がされている『Twin Motor Performance』の2グレード。クラウドブルーとヴァイパーグレーという2色のボディーカラーはどちらも〈ボルボ〉らしい落ち着いた色。エクステリアの色に応じて内装の仕様も異なります。

ぼくにとってEV車のドライブははほぼ初めて。空港の駐車場に寸分のズレもなくビシッと停められた試乗車にまずは感動。鍵となるカードキーを指定された場所に置き、シフトをドライブに入れればすぐにスタートできる、という簡単な始動方法。いまだ鍵穴にキー差し込んでひねる、という車に乗っているぼくは拍子抜け。それより車内に乗り込むと、すでにエアコンが効いていて適正温度になっていたのは嬉しい。当日の気温は25度以上。太陽が照りつける場所に駐車されていたので、本来なら室内は暑くなっていたはず。なるほど、EVであるという利点を走り出す前に感じました。

EX30から見える新しい付き合い方。

『EX30』は〈ボルボ〉の最小SUV、サイズは全長4,235cm・全幅1,835cm・全高1,550cm。普段の足として気兼ねなく乗り回せるサイズに収まっています。『Single Motor Extended Range』は最大出力272ps・最大トルク343Nm・バッテリー容量69kW・航続距離560km。ロングドライブとなる今回の試乗でも、バッテリー残量を気にすることなく楽しむことができそう。


日本での発売開始日_2023年11月22日(水)、お客様へのデリバリー開始時期_2024年 年初より。希望小売価格 ¥5,590,000

空港をスタート、すぐにハイウェイに合流。アクセルを踏むとその分気持ちよく加速。そしてステアリングを切ったときの感覚、ブレーキペダルを踏んだときの減速具合はとても自然で、なにも気を張るところがない。「EVはアクセルを踏んだ瞬間から最大トルクを発生させるので、その加速感は異次元だよ」と周りのクルマ好きから聞いていました。試しにアクセルを床いっぱいに踏み込んでみると、コンパクトSUVとは思えない力強い加速性能。ついその強力な加速感に注目してしまいますが、必要な時に必要なだけの加速がいつでも得られるということは、日常の運転でもストレスなく走ることができるという利点の方が大きいと思いました。

しばらくして海岸沿いの景色のいいところにクルマを停車。少し離れたところから『EX30』を眺めてみました。研ぎ澄まされたエクステリアデザインが、バルセロナの空や海の青さに自然と馴染みます。デザインが必要以上に主張することなく、でもひとつひとつのラインやディテールに制作者の意図をしっかりと読み取ることができる。飽きないし、退屈にならない。クルマを駐車してその場を離れるとき、もう1度振り返りたくなるようなエクステリア。扱いやすさと佇まいはぼくたちの生活をもっと楽しくしてくれる相棒になりそう。


気候変動への取り組みを積極的に進める〈ボルボ〉が新しく発表したこの『EX30』は、〈ボルボ〉史上最小のカーボンフットプリント(原料の調達、生産、ユーザーの使用、そして処分、リサイクルまでのすべての工程)を実現。アルミニウム約25%、スチール約17%、プラスチック約17%というリサイクル素材の使用率になっています。既存の〈ボルボ〉の電気自動車『C40』『CX40』に比べ、カーボンフットプリントを25%減少させることに成功。でもこう説明されてもこの数字にピンと来る人は少ないはず。実はぼくもそうでした。その数字の代わりにこの成果がよくわかるのはインテリア。

運転席に座りまず気がつくことは、センターにある大きなモニター以外物理的なボタンがほとんどないこと。ステアリングの向こう側にはあるはずのスピードメーターすらないし、通常ドアパネルにあるパワーウィンドウのスイッチもありません。ボタンを減らし、スイッチや配線を極力なくし、その結果CO2の排出量を減らしているのです。パワーウインドウのスイッチもセンターコンソールに配置されているのも配線をなるべく短くするため、なるほどね。運転中1番見る機会の多いスピード表示もモニターの上部運転席側に配置。ドライバーの視界に入りやすい場所に表示されているので試乗中に見にくいと思うことはありませんでした。


〈ハーマンカードン(harman kardon)〉社のハイクオリティ・オーディオシステムを搭載し、自分の好きな音楽を上質な音で楽しむことができます。

さらに気に入ったのは使用されているマテリアル。内装の多くの部分に使用されたリサイクル素材。それを見えない場所に使うのではなく、リサイクル素材ならではの質感や特徴をデザインとしてインテリアにうまく落とし込んでいるのです。クルマは高い買い物。大金を払うのだからとぼくたちはついつい高級感を求め、自動車メーカーもそれに答えようとしてきました。しかし『EX30』ではそのリサイクル素材を上手に生かすという発想の転換。これまでの価値観をもサラリと逆転させてしまう、その提案に作り手のセンスが感じられました。ドアパネルにリサイクル素材を使用したアルミニウム製のドアハンドルがとてもいいアクセントになっています。

ぼくたちは地球という美しい惑星をシェアしながら暮らしています。自動車という便利で楽しい乗り物に乗りながら、どうやってこの素晴らしい景色を残していくのか? これまでも議論されてきている温暖化や環境問題ですが、それを数値だけで測るのではなく、ぼくたちの生活の中でそれをどう考えるのか? 広い視点と意識でこの問題に取り組むきっかけを『EX30』は提案してくれているように感じるのです。

 
確かにここに物理的スイッチがあったらもっと使いやすいだろうな、と思う部分がなかったわけではありませんでした。それをあえて割り切り、これまで以上に環境問題を考えた自動車を〈ボルボ〉は提案しているのです。これまでの常識から離れ、この車に自分をアジャストすることすら楽しいと思える。それが『EX30』の最大の魅了ではないでしょうか?

試乗からホテルに戻ると『EX30』の開発に関わった各スタッフに自由に声をかけ質問する機会がありました。各担当スタッフの方々も試乗したぼくたちの感想が聞きたい!と積極的に話しかけてくれ、どんな質問にも熱く楽しく答えてもらえました。そしてみなさん話が始まると盛り上がってなかなか終わらない(笑)! そのくらい熱い熱意を持っている人ばかり。『EX30』の開発に対する情熱がとても伝わりました。

バルセロナの中庭。


日本市場でも発売が予定されている、高性能バージョンの『Twin Motor Performance』にも試乗することができました。こちらは前輪、後輪にそれぞれのモーターを搭載するAWDで最大出力428ps、最大トルク543Nm! エクステリアのデザインからは想像を遙かに超えたスペック! 4輪駆動ということもありさらに安定した走りが楽しめました。

『EX30』の試乗会場がバルセロナだと知ったとき、サグラダ・ファミリアより前にこの街はヨーロッパでのスケートの聖地であるということ。バルセロナ現代美術館、MACBAと呼ばれる有名なスケートスポットが頭に浮かびました。初めて訪れる街は、事前にグーグルマップやストリートビューでチェックするのが習慣になっています。街を航空写真で見てみると、ブロックごとに建物に囲われその内側に中庭があるような街作りになっていることに目がとまりました。調べてみると、各部屋に太陽の光が取り込めるようにそういう構造になっているとのこと。いまはその中庭がどんな使われ方をしているのかが気になりました。宿泊したホテルの中庭側はレストランのパティオとして使われていて、気持ちよさそうに食事をしています。

試乗が終わり自由時間に街に散歩へ。旧市街の細い路地を歩いていると、やはり中庭がいたるところにあるました。そこにテーブルを出して食事やコーヒーを楽しむ人、街の人たちがくつろいでいたり、ストリートミュージシャンが音楽を演奏したりしている人。古い建物が密集している街作りに、こうした開放的なパティオと呼ばれる広場がたくさんありとても暮らしやすそう。ずっとガソリン車に乗ってきたぼくにはまだ遠いと思っていた電気自動車のクルマ社会。今回バルセロナで体験した『EX30』は、ライフスタイルとクルマ社会を新しい視点で改めて考えさせてくれるきっかけになりました。

INFORMATION

ボルボ・カー・ジャパン

公式ウェブサイト
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