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yahyelの描く美しきディストピア。新曲『iron』のMVがGap 1969 RECORDSに登場。

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このたとえが有効に機能するかわかりませんが、yahyelの音楽を聴き、映像を観ていると、村上龍の小説『希望の国のエクソダス』に登場する中学生たちを思い出します。彼らは現代社会の仕組みを的確に理解し、既得権益をフラットな視点にもとづいて有用/無用に区別し、精神的にも身体的にも国境をたやすく超え、そして社会をがらりと変えてゆきます。

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yahyelというプロジェクトは日本のドメスティックな閉塞に対する怜悧な批評性を内包していると解釈しています。それは彼ら自身がインタビューで語っていたことでもあり、どこまでも公正で冷静な視点と、一切の妥協のない姿勢が、前述の小説の主人公たちと共通するような気がするのです。

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前置きが長くなりましたが、〈ギャップ(Gap)〉 は昨年に続くミュージックプロジェクト「1969 RECORDS」において、昨年を大きく上回るさまざまな斬新な試みを行ってきました。その集大成が、yahyelのムービーです。

すでに各所で話題を呼んでいる『iron』のミュージック・ビデオは、一切の留保のないディストピアを描いています。倍音がきれいに響く池貝峻のボーカルは音楽の魔術性を強く増幅し、山田健人がすべてのカットに幾重にも織り込んだ不穏な予感がその飛距離をどこまでも伸ばします。

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ディアスポラとのコラボレーションの際にも思いましたが、〈ギャップ〉のカルチャーに対する愛と敬意は並大抵ではありません。経済と文化が乖離しつつある社会で、この試みは実に意義深いと思います。

ぜひこちらから映像をチェックしてみてください。サイトデザイン・UIもおもしろいですし、ルックの鋭さには言葉が出ませんでした。

Text_Taiyo Nagashima


1969 RECORDS TV:yahyel「Iron」
www.1969records.tv/2017/artists/yahyel

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